高騰が続く不動産価格は、不動産投資への資金流入を促しており、多くの投資家からの期待が寄せられています。
これから不動産投資をはじめようと考えている方も増えていますが、不動産投資におけるリスクに不安を抱いている方も多いことでしょう。
そこで今回は、不動産投資における失敗事例を紹介し、原因と失敗しないための対策を解説します。
目次
- 1 不動産投資での失敗とは?
- 2 不動産投資でよくある失敗事例とその原因
- 3 不動産投資で失敗しないための対策
- 4 まとめ
- 5 関連記事
不動産投資での失敗とは?
「不動産投資での失敗」だといえるのは、具体的にどのような状態のことなのでしょうか。
初心者でもわかりやすい定義がこちらです。
キャッシュフローを悪化させてトータルで赤字に陥ること
不動産投資における「キャッシュフロー」とは、「毎月の家賃収入からローン返済などの必要経費を差し引いて利益がきちんと残る」というお金の流れのことです。
ほとんどのオーナーは、金融機関でローンを組み、投資物件を購入します。
ローンを申請する際には「いくらまで借りることができるのか」ということに意識がいきがちです。
しかし、安全なキャッシュフローを維持するためには、「毎月いくらのローン返済であれば可能なのか」ということのほうが重要です。
毎月の家賃収入を期待して限度額いっぱいにローンを組んだものの、空室が発生してキャッシュフローが悪化し、ローン返済が滞ってしまうと、自己資金から返済をしていかなければなりません。
このようなキャッシュフローの悪化が続くと、トータルで赤字となってしまいます。
不動産投資を続けたくても続けられない状態(=失敗)といえます。
一時的な赤字計上は不動産投資の失敗にはならない
家賃収入を目的とする不動産投資は、出口戦略としての物件売却までを含め、長期的な視野が必要となる投資方法です。
最初は不動産所得税などの納税により赤字の時期があったり、キャッシュフローがそれほど多くなかったりしても、ローンの完済後には家賃収入が残ります。
最終的に黒字に変わるならば、運用中の赤字は失敗ではないといえます。
不動産投資でよくある失敗事例とその原因
不動産投資にはよくある失敗事例があり、それらを押さえておくことは、大きなリスク回避につながります。
では、失敗事例の紹介とそれに伴う原因について解説していきましょう。
空室になり資金を回収できなくなってしまった
空室になるということは、入居者がいないということであり、入居者がいないということは、家賃収入が途絶えることを意味します。
そのため、不動産投資では、空室リスクを可能な限り抑える必要があります。
原因①:入居付けしにくい物件だった(物件の下調べが不十分)
原因の1つ目が、入居付けしにくい物件であることです。
入居付けしやすい物件とは、駅近等の条件が整っている物件であり、常に需要がある物件を指します。
入居付けしにくい条件の整っていない物件だと、表面利回りが高かったとしても、空室が発生してしまう原因になります。
原因②:勉強不足だった
原因の2つ目には、勉強不足が挙げられます。
不動産投資は、非常に多くの専門知識が必要になるため、自ら勉強し、知識を身に付ける必要があります。
その知識を活かして、実地調査を行い、需要を確かめておかないと、空室リスクにつながってしまうでしょう。
原因③:近くにあった大学・大企業などが移転してしまった
原因の3つ目は、近くにあった大学や大企業などが移転してしまったことが挙げられます。
入居者の多くを近隣の施設に依存していると、それらが移転等でなくなってしまった際に、大きな空室リスクが発生します。
不動産投資において、空室により資金回収できなくなることは最も多い失敗事例の1つです。
さらに、立地条件や知識の習得、入居者の偏りなども、空室リスクを引き起こす原因として挙げられます。
ローンが返済できなくなくなってしまった
キャッシュフローの悪化により、ローンの返済ができなくなってしまうことがあります。
不動産投資は多くの場合、ローンを組んで返済を行いながら、長期の運用を行うものです。
ローンの返済ができなくなると、担保にしている物件の差し押さえの可能性もあるため、リスク回避を行う必要があります。
原因①:高額のローンを組んでしまった
ローンの返済ができなくなる原因の1つ目が、高額のローンです。
月々の家賃収入が、ローンの返済に追いつかず、返済額と家賃収入のバランスが崩れてしまうことがあります。
高額なローンはキャッシュフローを悪化させてしまい、返済できなくなってしまう原因になります。
原因②:繰り上げ返済に失敗してしまった
ローンの返済方法として、繰上げ返済を行うことはありますが、この際にも注意が必要です。
不動産投資では多額のローンを組むことになるため、繰上げ返済失敗により、ローンの返済が困難になる場合もあるのです。
売却時に価格が下がってしまった
不動産は、新築であっても中古であっても、経年劣化とともに価値は下落します。
家賃収入で利益を出していたとしても、不動産購入金額と売却金額で大きな差が生まれた場合には、損失が発生してしまいます。
原因①:相場よりも高値で購入してしまった
地価の値段相場や物件の値段相場は変わっていなくても、売却時に価値が下がる原因として、購入時に高値で購入していることがあります。
そのため、相対的に、売却時には価値が下落してしまっているのです。
本来の値段よりも高値で購入してしまっていることが、売却時に価格下落を引き起こす原因になります。
原因②:新築を買ってしまった
中古と比較して、新築は売却時に大きく価値が下落します。
これは、ワンルームマンションやアパート、戸建てであっても同じです。
理由は、中古に比べて新築の場合は初売り出しに、費用が大きくかかるためです。
初期費用が上乗せされている新築物件は、物件のみの価値よりも上乗せされているため、売却時に価格が下落する原因になるのです。
思ったほどの節税効果を得られなかった
不動産投資を行うことで節税効果があるのは、主に所得税と相続税です。新築物件の購入では登録免許税・不動産取得税といった租税公課があるため、所得税率を下げる効果があります。
つまり、物件管理費を多く使うなどの赤字経営が続けば、税率が下がることになります。
しかし、赤字経営を続けていくと、当然の結果として不動産投資の失敗につながります。
節税効果どころの話ではなくなってしまいます。
原因①:そもそも自分にとっては節税にならなかった
現金よりも不動産で資産を所有しているほうが、万が一の際に遺族にかかる相続税を抑えることができます。
ただ、所有している資産がよほど大きいものでない限り、効果は薄いといえるでしょう。
原因②:急に海外転勤になった
海外へ転勤になっても、日本国内で不動産投資を続けることは可能ですが、不動産所得がある場合は確定申告が必要です。
このような場合は、親族など信頼できる人に納税管理人をお願いするのが一般的です。
確定申告による還付請求が可能であれば節税効果は高いですが、還付請求権には5年という期限があります。
海外転勤の間は自分で還付請求を行うことが難しいのが現状ですので、親族にこまごまと依頼する、もしくは帰任後にまとめて行うことを忘れないようにする必要があります。
天災により、莫大な修繕費が必要になってしまった
不動産投資における修繕費は自己負担であるため、修繕費の圧迫により、不動産投資が失敗してしまう場合があります。
自然災害は避けることができないものですが、最低限のリスク回避行動は必要です。
原因①:修繕費のことを考慮していなかった
修繕費には、天災によるものもありますが、経年劣化による修繕も含まれます。
上記のとおり、修繕費は不動産所有者の自己負担です。
修繕費を考慮していない投資計画は、キャッシュフロー悪化の原因になります。
原因②:保険に加入していなかった
天災であれば、火災保険等の保険で損失を補てんできる場合があります。
保険に加入していないと全額自己負担となるため、こちらもキャッシュフロー悪化の原因となるのです。
不動産会社にのせられてキャッシュフローの低い物件を購入してしまった
不動産投資では、初期を除き、キャッシュフローが出なければ意味がありません。
不動産会社に勧められるままキャッシュフローの低い物件を購入したために、不動産投資の失敗につながった、というケースもあります。
原因①:不動産投資会社選びに失敗してしまった
物件探しや物件購入、物件の運用と、長い間お世話になるのが不動産投資会社です。
その数はとても多く、その中から信頼できる会社を選ぶのは、実は大変な作業です。
自社の利益を重視し、キャッシュフローが低くてなかなか売れない物件を売りつけてくる会社もあるので注意しましょう。
原因②:うまい話に釣られてしまった
「今なら物件価格を割引します」「この条件でこの物件価格はあまりありません」といった口車にのせられて、投資用物件の購入を即決しないように気をつけてください。
「実は駐車場がついておらず空室が埋まりにくかった」「老朽化により全面改修の時期が目の前にせまっていた」など、トータルで見てキャッシュフローが低い物件だったということもあります。
不動産投資で失敗しないための対策
上記では、不動産投資における失敗例とその原因について解説を行いました。
では、不動産投資失敗を回避するためにはどのような方法があるでしょうか?
不動産投資におけるさまざまなリスクを回避するために、以下のことを特に注意する必要があります。
不動産投資会社は複数社を比較して選ぶ
信頼できる不動産投資会社を選ぶためには、1社だけでなく、必ず複数社を比較しましょう。
不動産投資会社の経営状態や今までの実績、どのような物件に強みがあるのか、そして口コミもチェックしたいところです。
車を購入するときを考えてみてください。 車体価格だけではなく、営業マンの人となりも大きく関係するのではないでしょうか。
それと同じように、不動産投資会社の担当者とやりとりをしてみて、メリットだけではなくデメリットも説明してくれ、親身になってくれるところを選びましょう。
物件選びは慎重にする
不動産投資において、物件選びは最初に注意する点であり、慎重に選ぶ必要があります。
物件は一度選んでしまうと、替えが効かないため、多面的に判断し選ぶようにしましょう。
節税よりキャッシュフローが重要
不動産投資において、キャッシュフローを維持することは重要項目です。
初期を除き、空室発生や補修費などほんの少しの赤字でも、それが毎月積み重なっていくと、キャッシュフローの悪化はどんどん大きくなってしまいます。
もともとない得(節税)を期待するよりも、毎月の資金のやりくりがうまくいくようにすることに目を向けてください。
表面利回りではなく実質利回りを重視する
物件を選ぶ際に参考とする数字の1つに、「利回り」があります。
表面利回りで提示されることもありますが、実質利回りで判断することが大切です。
空室リスクや各種費用を考慮した上での利回りである、実質利回りを重視するようにしましょう。
現地をしっかり確認して慎重に選ぶ
自ら足を運び、現地の状況や、人の動きを確認してから物件を選ぶことも大切です。
地域の雰囲気や立地条件を再確認してから、物件を選ぶようにしましょう。
1つの大学や企業に依存しない
入居者を1つの大学や企業に依存してしまうと、それがなくなったときに大きな損失が生まれてしまいます。
そのため、移動してしまうリスクを考え、需要が継続する物件を選ぶことが大切です。
相場価格をしっかり調べる
「購入時の不動産価格は適正なものか」「提示されている利回り計算に使われている家賃は適正なものか」を判断するために、相場価格を調べておく必要があります。
売却時に大きな損失を出さないためにも、しっかりと調べておきましょう。
資産価値が下がりにくい中古物件を選ぶ
新築物件と比較すると、中古物件の価値は下がりにくいものとなっています。
そのため、物件を選ぶ際は、中古物件を選ぶことが望ましいとされています。
買ってはいけない物件でないか確認する
キャッシュフローが低い物件は、基本的にはおすすめしません。
しかし、中にはキャッシュフローがたとえ低くても、周辺に新駅ができる予定があるなど、フォローできる要素がある物件の場合もあります。
不動産投資の失敗につながる可能性のある「買ってはいけない物件」ではないかを、実際に現地に赴き、しっかりと確認することが大切です。
資金計画をしっかり立てる
不動産投資は長期にわたる投資方法であるため、金利を含めた資金計画をしっかりと立てておく必要があります。
さまざまなリスクを考慮し、細かい支出も計算した上で、資金計画を立てるようにしましょう。
自分の生活を圧迫しない借入額を計算する
借入額が多くなると、一時的な自己資金の流出を抑えられる反面、日々の返済額は上昇してしまいます。
そのため、借り入れを行う際は、収益のバランスが非常に大切となり、生活を圧迫しない借入額の計算を行う必要があります。
空室期間があっても余裕があるようにする
不動産投資を行う上で、空室期間はどうしても生まれてしまいます。
空室期間があることを前提として、余裕がある資金繰りを行う必要があります。
空室保証を利用する
空室リスクは避けては通れない問題ですが、空室保証を利用することで、空室リスクを抑えることもできます。
使用できる保証は使用して、リスク回避を行うようにしてください。
災害等のリスクに備えて適切な保険に加入する
災害による修繕費用は、不動産所有者の自己負担となるため、修繕費用を補うために保険への加入はとても大切です。
災害に備えた保険を活用し、万が一のケースに対応できるようにしておきましょう。
管理費・修繕費のことまで考えておく
不動産投資では、家賃収入のように入ってくるお金もあれば、管理費や修繕費など、出ていくお金もあります。
それらの支出も考えた上での資金計画が必要です。
賃料などの条件や物件の管理に気を配る
賃料の条件や、物件の管理は、利用者を呼び込み、手放さないためには非常に重要です。
現状の維持も大切ですが、細かいところにも気を配り、需要の増加につなげることが大切です。
不動産投資について勉強する
不動産投資は、多くの専門知識を必要とする投資方法であり、管理会社の仲介を使う方がほとんどだとは思いますが、自身でも不動産投資について勉強をする必要があります。
特に税制などは毎年新しくなるため、常に最新の知識を持つようにしましょう。
まとめ
不動産投資における失敗事例と、その原因や解決方法を解説しました。
不動産投資にはさまざまなリスクがありますが、一つひとつのリスクを事前に察知し、手を打っておくことで回避できるものも多くあります。
投資を行う際はリスクを最小限に抑えて、投資成功を目指してください。