都心の眺望を日々の暮らしのなかで楽しむことができるタワーマンション。
立地のよさなどメリットが多いタワーマンションですが、実際にはいくつかのデメリットがあることをご存じでしょうか。
今回はタワーマンションの購入を考えている方や、タワーマンションから別の住まいに移ろうと考えているという方に向けて、タワーマンションがもつ10個のデメリットを紹介します。
タワーマンションの人気の秘密や、タワーマンションから引っ越すタイミングについても解説しますので、お悩みの方はぜひ参考にしてください。
タワーマンションのデメリット10選
東京オリンピックの選手村があったタワーマンションも大きな話題となりましたが、このような超高層マンションが都心をはじめ、地方都市にも徐々に増えてきています。
多くの人の憧れとなっているタワーマンションですが、以下のようなデメリットがあることも知っておきましょう。
ベランダに洗濯物が干せない
一般的なタワーマンションの定義は「20階以上の建物」となっています。
このような超高層階では周りに遮るものが少なく、常に風が強く吹いている状態です。
低階層では大きな問題にはなりませんが、ベランダに洗濯物を干したり、ましてや布団を干したりすることは危険視されています。
このような理由から、なかには超高層階の部屋でベランダが設置されていない物件もあります。
眺望のよさを求めて、最上階を選択する場合にはとくに注意が必要といえるでしょう。
宅配便の受け取りが面倒くさい
一般的なタワーマンションでは、エントランス、エレベーター前、玄関ドアなど複数のオートロックが設置されているところが多いです。
そのため宅配便を受け取る際には、これらのオートロックをそのたびに解除しなければなりません。
また、宅配ボックスの利用時には、重い荷物を自分で上階まで運ぶ必要があります。
エレベーターの乗り降りに時間がかかる
新しいタワーマンションでは、住戸数に合わせて必要なエレベーターの台数を算出し、中層階や高層階の住人専用のエレベーターを設置するなどの工夫をしています。
しかし築古のタワーマンションでは、平日のラッシュ時にはエレベーターがなかなか停まらず、ストレスに感じてしまうこともあるようです。
また、地震などが発生した場合にはエレベーターが緊急停止します。
2019年10月の台風19号による豪雨では、武蔵小杉のタワーマンションで内水氾濫が発生し、機能不全に陥りました。
このように、災害時には階段を使う場合もあるということを頭に置いておきましょう。
住人の質が幅広い
タワーマンションにはさまざまな人が住んでおり、子育て世帯のほか、毎週末ホームパーティーを開いている住人も少なくありません。
そのため、お互いに騒音トラブルなどを起こさないように注意する必要があります。
管理費が高い
国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によると、20階建て以上のタワーマンションの毎月の管理費(一戸あたり)は、平均で25,069円となっています。
19階までのほかの階層マンションでは14,965円~16,892円となっており、タワーマンションでは管理費の負担が1万円ほど大きいことがわかります。
修繕積立費が不足している
集合住宅であるマンションは、経年劣化に対して10年~15年ごとに大規模修繕をおこなうのが一般的です。
そのため多くのマンションでは、大規模修繕にそなえて修繕積立金制度を設け、区分マンションの所有者からお金を預かり積み立てています。
タワーマンションの場合、大規模修繕でも大きな資金が必要となりますが、売ることを重視して修繕積立金を低く設定している物件も少なくありません。
大規模修繕時には追加で修繕費を請求される可能性も出てくるなど、社会問題化するおそれもあるといえるでしょう。
引っ越し時にかなりの手間がかかる
タワーマンションは設備やセキュリティーの面で好評価な分、引っ越し時には設備を傷つけないための養生作業に手間と時間がかかるようになります。
超高層階の場合は移動距離も長くなるため、養生に手間がかかるだけでなく、料金も割高になってしまいます。
共用施設の予約が取りにくい
ラウンジやパーティールーム、ゲストルームなどの共用施設が利用できるのも、タワーマンションの魅力の1つです。
しかし、予約を取ることが難しいタワーマンションも多く、せっかくの共用施設でも使ったことがないという人も少なくありません。
住んでいる階数でヒエラルキーが存在する
低層階の住民を、物件価格のより高い高層階の住民が下に見るというようなヒエラルキーが存在するタワーマンションも少なくありません。
ささいなことでストレスを感じるようになり、場合によっては隣人トラブルに発展してしまう可能性もあります。
気圧の変化で身体が影響を受けることがある
超高層階では、地震時に揺れを大きく感じるほか、上下階を行き来することで気圧の変化を感じ、頭痛や不眠など体調を崩すこともあります。
大人はもちろん、小さな子どもやご年配の方などはとくに注意が必要です。
タワーマンションの人気が高い理由とは?
タワーマンションには多くのデメリットがありますが、以下のようなメリットもあり、憧れを抱く方も多いです。
ここからは、タワーマンションの代表的なメリットについて解説していきます。
ステータス性の高さ
タワーマンションは、主に都心の再開発地域に建設されます。
また、豪華なラウンジなどが併設されているタワーマンションもあり、ベイエリアの勝どきにある58階建てのタワーマンション「ザ・トーキョー・タワーズ」では、低料金で宿泊できるゲストルームのほか、シアターやカフェラウンジ、プールやサウナなどが完備されています。
このようなステータス性の高さは、物件の売却時にも大きな利点となるでしょう。
利便性のよさ
タワーマンションは交通の便のよさにくわえ、マンションの下に大型スーパーがあるといった買物環境にも優れています。
また、エントランスにコンシェルジュが駐在しているタワーマンションもあり、宅配便やクリーニングの受け渡し、ハイヤーの手配などもおこなってくれます。
セキュリティー面の安全さ
先述のとおり、一般的なタワーマンションでは、各住戸にたどり着くまでに複数のオートロックや防犯カメラが設置されていることが多いです。
エレベーターを利用する際には専用のキーが必要な物件もありますので、防犯性も比較的高いといえます。
タワーマンションから引っ越すおすすめのタイミングはここだ
多くのメリットに憧れて、実際にタワーマンションに住んでいる人も多いでしょう。
しかし、メリットよりもデメリットのほうが気になりはじめた場合にそなえて、新しい住まいに移るベストなタイミングを知っておくことも大切です。
大規模修繕の前に引っ越す
タワーマンションによって異なりますが、修繕積立金の月額費用が少々低めに設定されている物件も多くあります。
大規模修繕の際、不足した分を一度に請求される可能性もあるため、引っ越すのであれば「大規模修繕の前」がよいでしょう。
いざというときに焦らないためにも、大規模修繕の時期をしっかりと把握しておくことが大切です。
高値で売れる間に引っ越す
タワーマンションは価格の高い新築だけでなく、少し手頃な中古物件の需要も高いです。
しかし、タワーマンションの人気が落ちていく可能性もゼロではありません。
タワーマンションの売却を考える場合には、高値で売れる間に手続きを済ますことをおすすめします。
譲渡所得税が軽減されたタイミングで引っ越す
個人がタワーマンションなどの不動産を譲渡(売却)し、利益を得た場合には、その譲渡所得額に以下の税率で税金(所得税+復興特別所得税+住民税)が課されます。
- 譲渡収入金額-(取得費+譲渡諸費用)=譲渡所得
- 譲渡所得-特別控除=課税譲渡所得
- 課税譲渡所得×税率=譲渡所得税額
【短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率の違い】
譲渡した年の1月1日を基準とした 所有期間 |
税率 |
---|---|
5年以下 (短期譲渡所得) |
41.1% (所得税30%+復興特別所得税2.1%+住民税9%) |
5年超 (長期譲渡所得) |
22.1% (所得税15%+復興特別所得税2.1%+住民税5%) |
※復興所得税は令和19年まで
売却する場合には、譲渡所得税が軽減される「所有期間5年超」となるタイミングをねらいましょう。
もし2~3年で売りたい場合、居住用の不動産であれば3,000万円の特別控除を使えるケースもあります。
なお、こちらは短期譲渡・長期譲渡ともに適用されます。
まとめ
タワーマンションの購入を考えている場合は、メリットだけでなく、タワーマンションならではのデメリットも知っておくことが大切です。
移動に時間がかかる、不要なマウントを取られるなど、ストレスの原因になってしまうこともたくさんあるので、メリット・デメリットをしっかりと頭に入れてから購入を検討しましょう。
もし売却する場合には、高値がついている間に手続きを済ませ、新しい住まいに移ることをおすすめします。