日本でも徐々に増えているシェアハウスですが、さまざまな利点があることから、都市部においては特に需要が高まっています。
住むだけでなく、不動産投資の対象として考えている人も少なくありません。
今回は、投資用にシェアハウスを検討している人へ、普通の投資とは異なるメリットや注意点について解説していきます。
目次
まずはシェアハウスについて知ろう!
シェアハウスとは、広めのLDKやトイレ・浴室を複数の入居者同士で共有し、個室はそれぞれの入居者が使用するというタイプの賃貸物件です。
同じようなスタイルで「ルームシェア」という形態もありますが、こちらは「契約者が一人」です。
シェアハウスでは、複数人の入居者がそれぞれ賃貸契約を結びます。
そんなシェアハウスで賃貸経営を行う場合、「通常の投資よりも利回りが高いことが多い」「少ない初期費用で済む」「空室になりづらい」といったメリットがあります。
ただし、シェアハウスならではの注意点もあるので、しっかりと把握しておきましょう。
シェアハウス投資のメリットとは
不動産投資用の物件にシェアハウスを選んだ場合に得られるメリットを、具体的に見てきましょう。
通常の投資よりも高い利回りが期待できる
たとえば床面積30坪(99平米)を基準に、1Rの単身者用賃貸住宅とシェアハウス物件を想定して、それぞれの表面利回りをシミュレーションしてみましょう。
総務省統計局による平成30年住宅・土地統計調査を参考にし、月額家賃の全国平均が約5.5万円、シェアハウスは1Rよりも家賃相場が下がることから約5万円と仮定します。
単身者向け賃貸住宅 |
シェアハウス物件 |
|
---|---|---|
設計可能な部屋数 |
1R×4戸 |
7~8平米×10居室 |
想定年間賃料収入 |
56,000円×12ヶ月×4戸 =268.8万円 |
5万円×12ヶ月×10居室 =600万円 |
シェアハウス物件のほうが、高い利回りを期待できることがわかります。
低い初期費用で始めることができる
建築費や物件価格は、1戸ごとにキッチンやトイレ、浴室などの設備を必要とする単身者向け賃貸住宅のほうが高くなります。
そのため、不動産投資を始める際には、単身者向け賃貸住宅よりもシェアハウスのほうが初期費用を抑えることが可能です。
手ごろな価格で入居ができるので空室になりづらい
単身者向け賃貸住宅よりも建築費が安く済むことから、シェアハウスの家賃は通常の物件よりも低めに設定されている場合がほとんどです。
また、近年は入居者の年齢層が高めになっている傾向にあり、幅広い年齢層に需要が広がってきていることから、シェアハウスは空室が発生しにくい投資物件だといえるでしょう。
シェアハウス投資をする前に確認したい注意点
高い利回りや空室リスクが少ないなど、シェアハウス投資にはさまざまなメリットがあります。
しかし、サブリースに絡んだ詐欺事件もあったことから、投資を始める前に必ず把握しておきたいポイントがあります。
定められた基準をクリアする必要がある
一般住宅(床面積100平米以上)をシェアハウス投資用にする場合、法律上でその物件は「寄宿舎」として扱われることになります。
一般の賃貸住宅とは異なる規制として、防火性能の高い間仕切り壁の用意や廊下への非常照明の設置などが挙げられます。
これらの基準をクリアしなければ、その物件をシェアハウスとして投資運用することはできません。
入居者が短期間で退去してしまう可能性
シェアハウスの最大の特徴は、共有のLDKを通してほかの入居者と交流できることにあります。
しかし、入居者同士でトラブルが発生してしまうことも少なくありません。
「入居者とゲームの話で盛り上がりたいと考えて入居したシェアハウスで、ゲーム好きが見つからなかった」といった理由で退去してしまう人もいます。
シェアハウス投資を成功させるためには、そのシェアハウスのコンセプトをしっかりと統一しておくことが重要です。
出口戦略が少ない
多くの被害者を出した「かぼちゃの馬車事件」の影響により、シェアハウスはローン返済が滞る可能性が高いと判断する金融機関が増えるようになりました。そのため、シェアハウスは、金融機関から融資をしてもらいにくいというデメリットがあるといえます。
また、売却しようと思っても、希望者が購入を断念しやすい傾向にもあり、最終的に投資物件を売却するという出口戦略が使えないケースも多いです。
気になるシェアハウスのトラブル発生のしやすさ
シェアハウスだからこそ発生しやすいトラブルにも触れておきましょう。以下の項目以外にもたくさんありますが、特に発生しやすい3つをご紹介します。
人間関係トラブル
恋愛問題、入居順による序列ができることによるイジメなどが挙げられます。
シェアハウスではこの人間関係のトラブルが一番多いです。
共有スペーストラブル
LDKを散らかしたままにしておいたり、水回りの設備の使い方や使用時間などで意見が合わなかったりなど、共有スペースの使い方でトラブルになることも少なくありません。
物や金銭についてのトラブル
共有の冷蔵庫に入れていた食べ物がなくなった、同居人にお金を貸したのになかなか返してくれないなどのトラブルが発生することもあります。
まとめ
シェアハウス投資は、大きな初期投資がかからず、高い利回りも期待できる投資方法だといえます。
ただし、出口戦略が少ない、入居者同士でのトラブルの発生など、いくつか注意したい点もあります。
運用が軌道に乗ってきた際は、入居者間でルールを徹底させることも大切なポイントです。
挑戦する場合はデメリットもきちんと知ったうえで、しっかり対策を立てるようにしましょう。
関連記事