少子高齢化社会の加速により、2020年8月の時点で日本の人口は減少し続けています。
誰もが予想しなかったコロナ禍の影響も考えると、不動産投資による賃貸経営の行く末を心配している投資家も多いことでしょう。
結論から言えば、人口減少は続くものの、国内でマンション投資を始めることに問題はないと言えます。
今回は、現在の日本における人口減少の状況、そして不動産投資に与える影響を踏まえて、マンション投資を始めて問題がない根拠を解説していきたいと思います。
併せて、マンション投資の収益を上げるために重要なポイントもご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
日本の人口減少の状況
まずは、いま日本の人口減少がどのような推移をたどってきているのか、公的データをもってご紹介しましょう。
2008年をピークに今後も減少が続いていく
総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、外国人住民を含んだ日本全国の人口は令和2年1月1日時点で1億2,713万8,033人、うち日本人住民は1億2,427万1,318人となっています。
外国人住民は6年連続で増加しているものの、日本人住民は前年と比較して約50万人の減少となり、2008年(平成20年)をピークに減少し続けているという調査結果が公表されています。
11年連続の減少という結果から、今後も総人口の減少は続いていくと予想できるでしょう。
人口が増加するのは東京と沖縄のみと予測される
厚生労働省の施設的機関となっている「国立社会保障・人口問題研究所」が行った日本の地域別将来推計人口(平成30年/2018年)を見てみましょう。
これまでの人口推移から考えて、令和2(2020)年から10年後の令和12(2030)年の間において、東京都・沖縄県以外の都道府県では総人口が減少すると推計されています。
東京都の人口は、2020年7月1日時点で推計1,399万9,624人となっていて、対前年同月比でも約7万人増加していることが分かります。
また、沖縄県では「沖縄県人口増加計画」をベースに人口減少に歯止めをかける対策を打ち出しているほか、沖縄本島では出生率が高いという点も挙げられます。
このように、東京と沖縄では、2020年以降も人口が増加すると見込まれているのです。
人口減少していてもマンション投資を始めて問題ない!
2020年以降に予想される人口減少が住宅過剰社会を導き出し、賃貸住宅需要の落ち込みにつながると考える人は少なくないかもしれません。
しかし、東京と沖縄では増加すると予測されていることに加え、以下の3つの点からも、マンション投資を行うことに問題はないと言えます。
不動産投資に悪影響なのは人口減少ではなく世帯数の減少
マンション投資やアパート経営を始めるかどうかの肝は、人口減少ではなく、世帯数がどのくらい減っているかを把握すること。
一つの賃貸物件に住むのはファミリーだけでなく単身(単独)世帯の場合もあるため、総人口が減少してしまっても、求められる賃貸物件数に直接結びつくわけではないのです。
それまで家族と暮らしてきた人が進学や就職で一人暮らしを始めると、全体的に一世帯増えることになり、その分住宅需要が高まる、ということになります。
賃貸需要を支える単独世帯数は増加傾向にある
国立社会保障・人口問題研究所が2019年に行った「日本の世帯数の将来推計」のデータによると、いわゆる一人暮らしの「単独世帯数」は、2015年からすべての家族類型の中で最大の割合を占めています。
その割合も2015年の14.5%から始まり、2040年推計では18%にまで増加すると見込まれています。
これは、核家族化、少子高齢化による高齢者の単独世帯などの増加が理由です。
コロナ禍により首都圏への人口集中化は軽減傾向にありますが、それでも雇用を求めて都市部へ人が転入し続けていることも、単独世帯の増加につながっています。
特に東京は今後も物件の供給不足状態が続く
では、人口がさらに増え続けると予想されている東京の単独世帯数について、2020年~2035年の推計を見てみましょう。
|
2020年 |
2025年 |
2030年 |
2035年 |
---|---|---|---|---|
東京都の 単独世帯数推計 |
329万世帯 |
336.7万世帯 |
340.6万世帯 |
341.2万世帯 |
対して、首都圏における単身者向けマンションの供給戸数は、1971年~2020年上半期で30万戸となっています。
2020年現在でも明らかに住宅の供給不足だという状況が分かりますし、今後首都圏で人口が増え続けることから、住宅の供給不足はさらに続くでしょう。
また、東京23区では、近隣トラブルの防止やファミリー世帯向け住戸の安定した供給を目的として、区ごとに独自の「ワンルームマンション条例」を設けています。
この規制により、単身者向けのワンルームマンションを増やしづらい環境であることも、住宅の供給不足の一因となっているのです。
さらに、首都圏ではマンションを新しく建てる用地そのものがほとんどないのも事実です。
マンション投資の収益を上げるために重要なポイント
人口が減少し続ける現在、投資用マンションを購入し失敗なく運用していくためにも、以下の3つのポイントを押さえて物件探しをしていきましょう!
三大都市圏の利便性が高いエリアを選ぶ
人口の流入の多さで考えてみましょう。
国内でも人口流入の多い東京・大阪・名古屋という三大都市圏で、さらに交通の便が良い、買い物に不自由しないといった利便性の高いエリアであれば、収益性の高い土地にある投資用物件を見つけやすいです。
東京圏は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の4都県、大阪圏は大阪府・兵庫県・京都府・奈良県の4府県、名古屋圏は愛知県・岐阜県・三重県の3県のことを指します。
これらは都心への通勤圏内ということで賃貸需要が高いですので、特に初心者の場合は大きく三大都市圏というカテゴライズで物件を探し始めるのがベストです。
世帯数が増加しているエリアを選ぶ
次に、世帯数の変化でエリアを厳選してみましょう。
全国の世帯数の推移と、これから世帯数が増加していくことが予測される都道府県をご紹介します。
大きく増える東京都・沖縄県に加え、愛知県と滋賀県でも2030年までに世帯数が増える見込みですので、マンションの高い需要は続くものと見込まれます。
都道府県別一般世帯数の推移 |
2015年 |
2020年 |
2025年 |
2030年 |
---|---|---|---|---|
全国 |
5,333.2万世帯 |
5,410.7万世帯 |
5,411.6万世帯 |
5,348.4万世帯 |
東京都 |
669.1万世帯 |
692.2万世帯 |
705.4万世帯 |
710.7万世帯 |
愛知県 |
306万世帯 |
314.9万世帯 |
319.7万世帯 |
320.8万世帯 |
滋賀県 |
53.7万世帯 |
54.8万世帯 |
55.4万世帯 |
55.5万世帯 |
沖縄県 |
55.9万世帯 |
59万世帯 |
61万世帯 |
62.5万世帯 |
単身世帯向けマンションに積極的に投資する
都市部への人口流入、単身世帯の増加が確実視される中、マンション投資を始める場合は単身者向けの物件を選ぶことをおすすめします。
空室リスクが低いだけでなく、ワンルームマンションであれば、ファミリータイプよりも不動産価格が安いため、初期の自己資金も少なくて済み、住宅ローンもそれほど大きくないため返済負担も少ないといったこともメリットです。
まとめ
日本全体で人口減少が叫ばれ、コロナ禍という強大なアクシデントも続く中ではありますが、三大都市圏や滋賀・沖縄では世帯数が増えると予想されています。
三大都市圏以外でも、市街地から政令指定都市への流入増も見られますので、世帯が増えているエリアを狙うことで、不動産投資での失敗を回避させることができます。
単身世帯もさらに増えていきますし、物件の供給戸数も不足していますので、不動産投資用に物件を選ぶ際はコンパクトマンションであれば大丈夫でしょう。