マンション一棟より手軽に見える投資用区分マンションですが、マンションごとに管理組合や管理規約があり、投資家はルールに則って物件を管理・運用していく必要があります。
管理組合や規約に無関心でいると、自分が所有する物件の価値が下がったり、場合によっては物件を失ったりするおそれがあるので注意しましょう。
ここでは投資用区分マンションの所有者がぜひ知っておきたい管理組合や管理規約の基礎知識について説明します
目次
マンションの管理全般を担う管理組合の目的と役割
管理組合とは、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第三条に定められた「建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体」のことです。[注1]
ここで言う「管理」とは、マンションの共有部分の日常的な清掃や定期点検、メンテナンス、修繕など多岐に亘っており、区分所有者全員が一丸となってこれらの業務を担うことになります。 ただ、区分マンション所有者の中には不動産投資とは別に仕事を持っているサラリーマンやOLも多く、本業の合間にこれらの管理業務を行うのは困難です。
そのため、実際の管理業務全般はマンションの管理会社に委託しているケースが大半を占めています。 委託費や実際の修繕費などは管理組合員から徴収する管理費によってまかなわれるのが一般的で、金額は管理組合ごとに異なります。
[注1]e-Gov:建物の区分所有等に関する法律
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000069
マンションを購入すると意思に関係なく自動的に管理組合に加入する
区分所有者の中には、管理の手間を省くために区分マンションを選んだという方も多く、管理組合への入会に抵抗を感じる方もいます。
しかし、区分所有法第三条では区分所有者全員が建物等の管理を行うよう定めていることから、投資用区分マンションを購入すると所有者の意思に関係なく自動的に管理組合に加入することになります。 実務は管理会社に一任するケースが多いと説明しましたが、マンション管理の方向性や修繕の実施を決めるのは管理組合員ですので、全くの無関心ではいられません。
たとえ所有しているのがマンションの一室のみでも、共有部分であるエントランスやエレベーターなどに不備があればマンション全体の資産価値が著しく低下し、所有している区分マンションの価値も相対的に下がってしまいます。管理組合の一員である自覚を持って行動することが大切です。
マンションのルールを決める管理規約の対象や注意点を紹介
区分マンション所有者は、マンションごとに定められた管理規約に則り、ルールを守って物件を所有・管理することを義務づけられています。
いわば区分マンションのルールブックである管理規約の基礎的な情報について、4つの項目にまとめてみました。
1.敷地や付属施設を含めたマンション全般が管理規約の対象となる
管理規約は建物そのものだけでなく、その敷地や付属施設なども適用対象となります。
「建物」に関しては共有部分はもちろん、それぞれが所有する専有部分も対象となるため、「自分が所有している物件だから何をしてもかまわない」という勝手は通用しません。
2. 管理規約で定められる事項と定められない事項がある
管理規約はマンションのルールブックと説明しましたが、事項の内容によって定めることができるものとできないものがあります。 管理規約によって定められる代表的な事項としては、管理費用の負担割合や共有部分の割合のほか、議決権の割合、普通議決権要件などがあります。
一方、管理規約の設定や変更、廃止や共用部分の変更、建て替えなど、議決を要する事項に関しては管理規約によって定めることができない仕組みになっています。
3. 管理規約を変更する場合は決議が必要となる
管理規約の設定や変更、廃止といった事項に関しては、総会を開いた上で、区分マンション所有者および議決権の4分の3以上の決議を得ないと実行することができません。
ただ、実際には所有者全員が顔を合わせて総会を開くのは難しいため、多くのマンションでは全員合意による書面決議を行うのが一般的となっています。
4. 生活上の注意事項は使用細則に記載されている
管理規約では主に区分マンションの管理や使用に関する事項を定めているため、生活上の注意事項に関しては別途「使用細則」にまとめられています。 具体的な内容は管理組合ごとに異なりますが、専有部分のリフォームや駐車場の使用方法、物の放置の禁止、そして違反者に対する措置などが定められています。
使用細則は管理規約と合わせて作成・発効されるのが一般的で、区分マンション所有者は両方に定められた規約を遵守して物件を管理することになります。
区分マンション所有者になる時は、必ず管理規約と使用細則を確認しよう!
区分マンション所有者は専有部分のみ適切に管理していれば良いと思ってしまいがちですが、実際には管理組合の一員としてマンション全体の管理に携わっていかなければなりません。 管理の軸となる管理規約の内容は組合ごとに異なりますが、もし違反行為を行った場合、管理組合から違反行為の停止や専有部分の使用禁止を請求されるおそれがあります。
悪質だと判断された場合は管理組合が強制的に物件を競売にかけることもできますので、無意識のうちに違反したりしないよう、管理規約や使用細則にはしっかり目を通すことが大切です。