【不動産投資】収益還元法とは?概要をわかりやすく解説

収益還元法とは?活用するメリットや計算式をわかりやすく解説

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居住用の不動産や不動産投資用物件を売買する際は、その不動産の価値を査定する必要があります。
その鑑定評価方法の1つが「収益還元法」です。

今回は、不動産投資用に物件を購入する際よく耳にする「収益還元法」について、その仕組みや採用するメリット、実際の計算方法を解説します。
収益還元法以外の不動産価値の評価方法についてもご紹介しますので、参考にしてください。

 

不動産の鑑定評価「収益還元法」とは?

収益還元法とは?

 

収益還元法とは

収益還元法とは、主に不動産投資の対象不動産が未来に生み出すと期待される純収益の金額を予想し、その不動産価格を算出するという方法です。
賃貸に出すことを想定すれば、居住用不動産の価格算出にも適用させられます。

 

収益還元法には「直接還元法」「DCF法」の2種類がある

直接還元法」は、対象不動産における特定期間の純収益をもとにして、還元利回りで割り、直接収益価格を求められます。
比較的簡単にできる算出方法です。

DCF(英語:Discounted Cash Flow)法」は、対象となる不動産が保有期間中に生み出すと予想される純収益・空室や家賃の下落リスク・売却益などを現在価値に計算し直し合算することで、現在の投資金額に対する返金率を予想し比較するという方法です。
社会情勢や物価変動などを考慮すると、現在利益として得た1円と、1年後、2年後に受け取る予定の1円は価値が異なります。
そこでDCF法では、予測される将来の事業的価値を現在価値に置き換えるという行程が必要です。

それぞれの具体的な計算方法はのちほど詳しく説明します。

 

収益還元法を活用するメリット

収益還元法を活用するメリット

上記2種類の収益還元法を活用することによって得られるメリットは、以下の3つです。

 

不動産の収益力がわかる

収益還元法によって算出できるのは、対象不動産の「収益価格」と呼ばれるものです。
収益価格はその対象となる不動産がどれだけの儲けを生み出せるのかを表しますので、不動産投資においてとても重要な項目といえます。

 

取得価格が適正かどうかわかる

不動産投資用に購入しようと考えている物件の収益価格がわかれば、その物件の取得価格が適正かどうかの判断材料にもなります。
たとえば、将来的に予想される収益価格に対するこの取得価格が高すぎる場合は、購入をやめておいた方が良いと判断できるでしょう。

 

不動産投資ローンを組む際の有効な資料となる

少ない自己資本で総合的には大きな利益を得られる(レバレッジ効果)という特徴がある不動産投資では、投資ローンを組む人がほとんどです。
金融機関でローンを申請する際には対象物件を担保に入れる必要があり、その収益性の高さで融資額が決定されます。
収益還元法で物件の収益性を理解しておくことは、不動産投資ローンを組む際、とても有利に働くのです。

 

計算方法

計算方法

不動産投資を始めようと考えている人は、自分でもできる収益還元法の計算方法を覚えておきましょう。
2種類の方法をそれぞれ詳しくご紹介します。

 

直接還元法

直接還元法の公式は以下の通りです。

年間純収益(家賃収入―経費)÷還元利回り(%)=対象不動産の収益価格
※年間純収益=年間の家賃収入から火災保険料・管理委託料などの物件維持にかかる経費を差し引いたもの

還元利回り(キャップレート)は、国土交通省のサイト「土地総合情報システム」の「不動産取引価格情報検索」にて検索した物件近隣の利回りを参考に算出できます。
ちなみに、還元利回りの全国平均は5.9%となっていて、都心に近いほど低くなる傾向にあります。

還元利回り(%)=予想される年間純利益÷不動産価格 ×100

それでは直接還元法を利用して、以下の物件の収益価格を実際に算出してみましょう。

  • 月額家賃8万円、年間経費12万円
  • 近隣の似た条件物件の還元利回り:5%

【直接還元法による不動産価格】
(8万円×12ヵ月-12万円)÷5%=1,680万円(収益価格=適正な不動産価格)

 

DCF法

DCF法の公式は以下の通りです。

毎期純利益の現在価値+将来の売却価格の現在価値=不動産価格

毎期純利益の現在価値は、年間純利益、将来価値を現在価値に変換する割引率、所有年数を使って算出します。

毎期純利益の現在価値=年間純利益(家賃収入―経費)÷(1+割引率)^n
※^n=n乗、n=所有年数

それではDCF法を利用して、以下の物件の不動産価格を実際に算出してみましょう。

  • 月額家賃8万円、空室率15%(年間家賃収入=81万6,000円)
  • 年間経費12万円(年間純利益=69万6,000円)
  • 5年後の予想売却価格1,200万円、割引率3%、所有年数5年

【DCF法による不動産価格】

1年目 69万6,000円÷(1+0.03)^1 67万5,728円
2年目 69万6,000円÷(1+0.03)^2 65万6,046円
3年目 69万6,000円÷(1+0.03)^3 63万6,938円
4年目 69万6,000円÷(1+0.03)^4 61万8,386円
5年目 69万6,000円÷(1+0.03)^5 60万375円
売却時 1,200万円÷(1+0.03)^5 1,035万1,305円
合計 1,353万8,778円

※小数点以下切り捨て

 

収益還元法以外の不動産価値の評価方法

収益還元法以外の不動産価値の評価方法

土地や建物といった不動産の価値を鑑定する方法として、解説した「収益還元法」の他にも「積算法(原価法)」と「取引事例比較法」という2種類があります。
収益還元法との違いもあわせてご紹介しましょう。

 

積算法(原価法)

不動産鑑定法の中でも積算法は、新しい造成宅地や中古住宅の建物部分の価値を査定する際によく利用される計算方法。 対象不動産を再造成・再建築すると仮定した場合の「再調達原価」から経過年数分の減額修正を行うことで、不動産価格を算出します。
この再調達原価とは、建設を担当する建設会社やハウスメーカーなどが得る利益分も含めた価格のことです。

また減価修正額は、建物の耐用年数と残存年数からその割合を求められます。積算法(原価法)の公式は以下の通りです。

再調達原価―減価修正額=不動産の積算価格(試算価格)

収益還元法は物件の収益性に焦点を当てている反面、積算法では物件の再調達原価に重きを置いているという違いがあります。

 

取引事例比較法

取引事例比較法は、近隣地域の類似物件における不動産取引の事例を収集し、そこに必要に応じて事情補正や価格水準との比較により価格修正を行い、不動産の試算価格を求める方法です。
事情補正では、場所的制限・ローンの金利といったさまざまな事情により、減額や増額の補正を行います。

取引事例比較法は、マンション査定でよく使われる不動産価格の算出方法です。
不動産価格を算出する場合、収益還元法では還元利回りや割引率がわかっていれば計算できますが、取引事例比較法では近隣地域に類似物件がある程度ないと信頼できる結果を導き出すことが難しくなります。

 

記事まとめ

記事まとめ

収益還元法は不動産価格の算出方法の1つであり、投資用の不動産を購入したい場合や不動産売却を考える際にはぜひ利用したい手法です。
ご紹介した計算式を知っておくことで、投資ローンを組む際に融資可能額を試算することができるなど、さまざまな面で有効に働きます。

不動産投資で失敗しないためにも収益還元法を理解して、きちんと利益を出せる収益性の高い物件を選択できるようにしましょう。

 

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