不動産投資では、投資用物件を購入するために金融機関で不動産投資ローンを組む人がほとんどです。
そのため、「ローン返済が滞って自己破産するのでは」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、不動産投資における自己破産のリスクや理由、自己破産を回避する方法について解説してきますので、不動産投資に不安を持っている方はぜひチェックしてみてください。
不動産投資で自己破産する可能性もある
不動産投資でローンを組んだ場合、賃貸経営をおこないながら家賃収入でローン返済をしつつ、収益を得ていきます。
しかし、空室発生が長く続くなどの理由で返済が滞り、自己破産に陥るケースもあるのは事実です。
不動産投資における自己破産率
不動産投資家の自己破産率は統計として調査されていませんが、東京商工リサーチによる「リスク管理債権状況調査」の結果を代用することができます。
この調査結果によると、2021年3月期単独決算にて国内107銀行における「リスク管理債権比率」は1.33%(前年度よりも0.14%上昇)となりました。
リスク管理債権とは「返済が延滞されている貸出金」のことであり、リスク管理債権比率とは「全債権のうち、返済が延滞されている貸出金の割合」のことを指します。
これらのことから、1.3人/100人はローンの返済が難しい状況であるといえるでしょう。
数は少ないものの、ここから自己破産を選ぶ人が出てくることになりますので、おおよその自己破産率も1.33%と同等くらいだと予想されます。
不動産投資で自己破産するとどうなる?
不動産投資での失敗とは、ローン返済が滞り、借金が重なってしまうことです。
もし自己破産をしてしまった場合、以下のような状態となり、さまざまな手続きをする必要が出てきます。
借金はなくなる
自己破産は、いわば借金を帳消しにするためにおこなうものといえます。
帳消しになるのはローン残債であり、税金や弁護士費用などはあてはまりません。
ただし、不動産投資による借金は自己破産の免責事項として認められないケースも多々ありますので、自己破産するかどうかは、免責事項をしっかり確認してから決める必要があるといえます。
物件が任意売却・競売にかけられる
物件は、金融機関から融資を受ける際に担保となっていますので、自己破産した際には金融機関により債権回収業者へ売却されることになります。
債権回収業者は買い取った物件を任意売却、もしくは競売にかけて資金を回収していきます。
財産が処分される
自己破産をした場合、破産管財人により車や貴金属などの財産が換価されます。
ただし、現金のうち99万円までは自由財産として所有が認められます。
失業する可能性がある
自己破産の手続開始後には、一定の資格が失われ、登録もできなくなります。
自己破産に伴う資格制限は、弁護士・税理士・公認会計士・行政書士・社会保険労務士・宅地建物取引士・地方公共団体の役員など多岐にわたります。
復権するまでの間、上記に挙げた仕事をすることはできませんが、そのほかの職業には制限はありません。
信用情報機関に登録される
自己破産すると、信用情報機関に5~10年ほど個人情報が登録されることになります。
これは、いわゆる「ブラックリストに載る」というものです。
信用情報機関では、新規の借り入れ申請を受けた貸金業者が申請者の信用情報を確認することができ、自己破産などの登録がある場合には貸付がおこなわれません。
つまり、クレジットカードの作成や住宅ローンなどは申し込めなくなります。
官報に掲載される
自己破産をすると、破産手続開始決定時と免責許可決定時の二度にわたり、官報に氏名などが掲載されることになります。
官報とは、国が発行している広報冊子のことです。
内閣官房令や国会事項、入札公示など、政治経済にかかわる事柄が記載されています。
官報への自己破産者の情報掲載は、主に損害を被る可能性のある借入先の金融機関が、破産情報を逐一チェックできるようにするためにおこなわれます。
不動産投資で自己破産する理由
不動産投資で自己破産となってしまうのは、以下の7つの理由が考えられます。
大きな借金を背負ってしまわないよう、それぞれ詳しく見ていきましょう。
物件を高値で購入した
不動産投資では、初期投資として少なくとも数百万円以上を準備しなければなりません。
ローンを組んで準備するのが一般的ですが、空室発生でローン返済が難しくなり、自己破産となってしまうケースが考えられます。
金利が高い
ローンの金利が高いと、返済額の合計も大きくなります。
その分返済期間も長めになり、その間に家賃収入が滞ってしまった場合、返済ができなくなって自己破産にいたるというケースも少なくありません。
家賃収入が想定を下回った
不動産投資で継続的に得られる主な収益は家賃収入です。
そこから毎月のローン返済や管理維持費の支払いをおこなっていくことになりますので、家賃収入が想定よりも下がってしまった場合には、収支の計画が崩れてしまいます。
リスクや費用の見通しが甘い
不動産投資をおこなう際には、空室や災害といったリスクが必ずあります。
物件価格が手頃だからという理由のみで物件を選ぶと、駅から遠いといった理由で次の入居者が見つからなかったり、台風の影響で設備が故障したりするなど、やっかいなトラブルが起こることも少なくありません。
しっかりと予算を立てておかないと、突然の修繕費とローンの負担が重なり、自己破産となるおそれがあります。
フルローンで購入した
フルローンで購入した場合、突然の修繕発生や、自身や家族の入院といった緊急を要する資金が必要となった際、金利の影響で支払いに困ることが予想されます。
また、オーバーローンになるリスクもあり、売却額よりもローン残債のほうが高くなった結果、自己破産となってしまうことも考えられます。
営業マンのセールストークをうのみにした
「相場的に安い物件価格です」「近くに将来駅ができる予定があります」といったセールストークをうのみにしたばかりに、想像以上の損をしてしまったというケースも少なくありません。
セールストークの内容が確信のないものだったとしても自己責任であり、多額のローンだけが残ってしまうケースも珍しくはありません。
出口戦略を立てていない
不動産投資の際、収益が見込めなくなったときのことを考えて「出口戦略」を立てておく必要があるといわれています。
大事な資産としての投資用物件を売却することになった際、どれくらいの損が出るかどうかを計算しておくことが重要です。
安値での取引となる程度ならよいのですが、なかなか売れずに借金だけが膨らんでいるという場合、自己破産となってしまうことも考えられます。
自己破産を回避する方法
ここからは、自己破産を避ける4つの方法について解説していきます。
大事な資産を守るためにも、事前にしっかりと把握しておきましょう。
収支シミュレーションを徹底しておこなってから投資する
不動産投資で失敗のリスクを減らすためには、物件購入前に収支シミュレーションをおこなうことが重要です。
物件広告に掲載されている表面利回りだけでなく、管理維持費や税金の支払いなども含めた「実質利回り」で年間の収支を計算しましょう。
信頼できる不動産投資会社を見つける
不動産投資では、信頼できる不動産投資会社と出会えるかどうかも大きな重要ポイントです。
メリットだけでなくデメリットについてもきちんと教えてくれる不動産会社であれば、自己破産の心配も少なくなるでしょう。
また、不動産投資会社を決める際、一社だけでなく複数社を比較検討することが大切です。
「マンション経営比較ガイド」では、厳選する会社の中から複数社をピックアップし、それぞれ比較検討して紹介してもらえます。
初心者の方をはじめ多くの方が利用していますので、困ったときは相談してみてください。
自己資金に見合った借り入れをする
借りられるからとフルローンにしてしまうと、万が一の修繕や入院などで資金が必要となったときや空室が続いた際に、ローン返済が苦しくなってしまいます。
ローンを組む際はある程度の現金を手元に残しておきながら、借入額も自己資金に見合ったものにするようにしましょう。
不動産投資の勉強を入念におこなう
営業マンのセールストークに乗せられないためにも、自分でしっかりと裏を取れるように勉強しておくことも大切です。
投資経験者のブログやコラム、書籍などを読めば、不動産投資で大事な法則などを知ることができます。
また、信頼できる不動産投資会社が主催しているセミナーに参加し、利回りや運営方法などについて相談するのもよいでしょう。
まとめ
不動産投資で自己破産となる可能性は低いものの、場合によっては大きな借金を背負ってしまうことも少なくありません。
不動産投資を成功させるために、土地活用・アパート経営・ワンルームマンション経営などについてしっかりと勉強する必要があるといえます。
今回ご紹介したポイントを押さえつつ、自分のリスク許容度を考えながら不動産投資にチャレンジしてみてください。