本業のほかに副業で稼ぐなど、ネットの普及により一昔前とは収入を得る方法が様変わりしてきています。
副業の1つに賃貸経営がありますが、大家さんとしてどのような仕事をしているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は大家さんの仕事について、その内容や収支、賃貸経営のメリット・デメリットなどを紹介します。
大家はラクに不労所得を得られる?仕事内容や収入・支出に関して解説
大家さんはどのような仕事をおこない、不労所得としてどのくらいの利益を出すことができるのでしょうか。
まずは大家さんの仕事内容と年収について見ていきましょう。
大家の仕事内容は?
大家さんの仕事内容は、主に以下の3つとなります。
- 入居者の管理
- 物件の管理
- 資金の管理
入居者の管理は、入居の時期によってその仕事内容が変わります。
- 入居前:入居者の募集・入居希望者へ物件案内・審査・家賃交渉・賃貸借契約の締結
- 入居中:クレーム対応・契約違反の有無チェック
- 退去時:立会確認・敷金の返還
とくに入居前には多くの仕事をこなす必要があります。
また、入居者のマナーにもよりますが、入居者のクレーム対応に追われるケースも少なくありません。
また物件の管理は、空室・共用部の清潔の維持(アパート経営の場合)、設備や内外装の修繕、防犯設備の見直しなどが挙げられます。
そして資金の管理は家賃の徴収・ローン返済・滞納分の督促・修繕費の積立・納税・保険料払込・原状回復費の精算など、こちらも多岐にわたります。
なお、これら3つの管理業務(ローン返済以外)は、不動産管理会社や仲介会社に委託することも可能です。
大家の年収はどのくらい?
賃貸経営での家賃収入が「収入」であり、ここから必要経費を差し引いた分が「所得」となります。
賃貸経営では、家賃・共益費(管理費)・駐車場賃料・礼金・更新料など入居者から受け取るお金が「不動産収入」として計上されます。
必要経費として認められるものは、ローン返済の金利(建物部分のみ)・管理委託手数料・火災/地震保険料・共用部の水道光熱費など多岐にわたり、正確な所得を計算するにはこれらをきちんと把握しなければなりません。
ほかにも設備や建物の修繕費・不動産会社への仲介手数料・税金(不動産取得税、登録免許税、固定資産税など)といったものも必要経費に含まれるため、大家さんは必要経費の全体像を把握する必要があるといえるでしょう。
国税庁が毎年公表している「申告所得税標本調査」によると、令和2年における不動産所得者の平均所得金額は521万円となっています。
こちらは前述したように、収入から必要経費を差し引いた「手取り年収」です。
なお、年収別で見ると以下のような割合となっています。
【不動産所得者における年収別の割合(令和2年版)】
100万円以下 | 100万円超200万円以下 | 200万円超300万円以下 | 300万円超500万円以下 | 500万円超1,000万円以下 | 1,000万円超2,000万円以下 | 2,000万円超5,000万円以下 | 5,000万円超1億円以下 | 1億円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
7.4% | 19.8% | 16.8% | 23.2% | 21.9% | 8.2% | 2.3% | 0.3% | 0.1% |
出典:「申告所得税標本調査結果(令和2年)」|国税庁
300~500万円ほどの収入を得ている方が多いことがわかります。
健全な経営を心がけることで、安定した収入を得ることができる仕事だといえるでしょう。
賃貸経営で大家が効率よく収益を上げるポイントとは
賃貸経営では、家賃収入とローン返済などの収支管理を徹底して黒字にする必要があります。
できるだけ効率よく収益を上げるために、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
実際にどのくらい不動産所得を得ることができるのかを、収支予想からしっかりと把握し、キャッシュフローを増やしていきましょう。
・減価償却費と経費の使い分けをする
資金管理で使用するコンピューターや賃貸物件の設備であるエアコンなどは、減価償却費として計上することが可能です。
1年限りの必要経費とは異なり、減価償却費は複数年にわたって控除されるため、可能なものは減価償却費として計上するようにしましょう。
・建物の維持管理はこまめに
劣化をチェックしつつ修繕していくことで、空室リスクを下げることができます。
・管理会社を変更する
管理手数料は管理会社によって異なります。
管理手数料が高いと感じたら、管理会社の変更も検討してみましょう。
大家に向いている人はこんな人!
賃貸の大家さんは以下のような人に向いているといえます。
①効率的に仕事を回せる人
副業で賃貸経営をおこなうのであれば、限られた時間をできるだけ効率よく使う必要があります。
業務を管理会社に委託するなどして、無理のない範囲で大家さんの仕事を回していくのが理想です。
②人とかかわるのが得意な人
大家さんの業務では、入居者や管理会社とのやり取りが必要となる場面があります。
空室率を下げるためにも、コミュニケーション術に長けた人が望ましいといえます。
➂努力を継続できる人
不動産経営では、物件に修繕が必要かどうかのチェックや、収支管理といった細かな仕事がついて回ります。
このような仕事をコツコツとおこなえる人に、大家さんは向いているといえるでしょう。
④長期的な経営ができる人
賃貸経営によるキャッシュフローは、ローン返済完了後に大きな黒字に変わります。
そのため、長期的な経営ができる人には賃貸経営はぴったりな投資方法だといえます。
賃貸経営の5つのメリット
ここからは、不動産投資における賃貸経営で得られるメリットについて解説します。
メリット①:長期的な収入につながる
建物の劣化は避けられませんが、物件の手入れを怠らなければ長期的な家賃収入が期待できます。
メリット②:節税になる
減価償却や旧居所得との損益通算により所得税や住民税が、不動産投資用の物件の場合には相続税が節税できます。
メリット➂:生命保険の代わりになる
ローンを組んだ場合、団体信用生命保険への加入で万が一の際にはローン残債がなくなるほか、家族には投資物件を残すことができます。
メリット④:少ない資金ではじめられる
最近では諸費用も含めてローンを組める金融機関が多くなってきているため、自己資金が少ない場合でも賃貸経営をはじめることができます。
メリット⑤:現物資産として保有できる
賃貸物件や土地は、そのものに価値や信用をもつ「現物資産」です。
バブル崩壊やリーマンショックなど不況の際には価格が少し下がることはあっても、建物自体の価値は残ることになります。
賃貸経営の4つのリスクを知っておこう
メリットの多い不動産投資ではありますが、以下のようなリスクもあることも覚えておきましょう。
リスク①:空室リスクがある
駅が遠い、物件が古いといった理由から、投資用物件が空室になることもあります。
空室が発生すると家賃収入が途絶え、自己資金からローン返済をすることになってしまいます。
空室を避けるためにも、需要の高いエリアを選びましょう。
リスク②:建物が老朽化する
建物の劣化は避けることができません。
とくに災害の多い日本では、建物の劣化・修繕に気を配る必要があります。
建物が老朽化する前に、リフォームやリノベーションすることをおすすめします。
リスク➂:ローンの返済額が上がることがある
ローンで変動金利を選んだ場合は、途中からローンの返済額が上昇する場合もあります。
このようなリスクにそなえるには、頭金を増やして借入額を少なめに設定する、5年以下の固定金利を選択するといった方法が有効です。
リスク④:希望価格で売却できないケースがある
出口戦略として投資用物件を売却する場合、築10年の中古物件は新築の半分の価格となってしまうケースが多いです。
できるだけ希望価格で売却するためにも、建物の状態や設備、築年数を常に確認するようにしましょう。
まとめ
大家さんにはするべき仕事がたくさんありますが、そのほとんどは管理会社に委託することができます。
業務を管理会社などに委託すれば自主管理の手間が省けるため、副業としてアパートやマンションの経営者になっている人も多いです。
賢く経営すれば不労所得を得ることができるようになるため、賃貸経営のメリット・デメリットを把握して挑戦してみてはいかがでしょうか。