返礼品を受け取ることもできて、さらに節税効果もあるといわれる「ふるさと納税」。
ふるさと納税は給与所得者だけでなく、不動産投資で譲渡所得・不動産所得がある人にとってもいい節税方法なのでしょうか?
今回は、ふるさと納税によって不動産投資家が得られるメリットや、ふるさと納税のやり方を解説します。
また、ふるさと納税以外で、不動産投資家におすすめの節税対策もご紹介しましょう。
目次
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は、地方自治体の活性化を目的として総務省により始められた制度です。
基本的には、応援したい地方自治体へ寄付することでその地域に貢献し、寄付額から2,000円を差し引いた金額が控除の対象となるというものです。
地方自治体によっては返礼品をくれるところも多く、節税とのダブルメリットを受けられます。
このように、ふるさと納税は寄付してもらう側・寄付する側の双方でメリットがあるため、2008年の創設以来、通年で多くの人が行う制度となっています。
不動産投資家がふるさと納税をする5つのメリット
不動産投資で所得がある人がふるさと納税を行った場合、以下の5つのメリットを得られます。
節税になる
上記でも触れましたが、ふるさと納税で納めた寄付額から2,000円を差し引いた金額は、所得税と住民税の控除対象になります。
簡単にいえば、その年の所得税と翌年に支払い予定の住民税が軽減されるというものです。
これは「寄付金控除」とよばれるメリットであり、不動産投資家で所得の多い人にとってはとくに大きな節税効果が期待できるでしょう。
返礼品がもらえる
ふるさと納税では、基本的にその地方自治体の特産品が返礼品として用意されていることが多いです。返礼品の種類としては、食料品・民芸品・家電・アクセサリーなどさまざまです。
人気が高いのは、地方の特産牛肉やお米などになります。
今回は、お礼の品掲載数No,1ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で、人気の高い返礼品を調べてみました。
- 畜産物(黒毛和牛切り落とし・牛タン・やきとり・ハンバーグ・豚詰め合わせ)
- 魚介類(いくらの醤油漬け・ズワイガニ・うなぎ蒲焼き・ほたて・ブラックタイガー・ウニ)
- 農産物(新米・シャインマスカット・みかん・あまおう苺・佐藤錦・りんご)
参考:ふるさとチョイス
ふるさと納税でもらえる返礼品ランキング、自治体別の還元率などを見ることができるサイトは他にも多く存在していますので、ぜひチェックしてみてください。
手間がさほど増えない
不動産所得・事業所得がある人や、給与所得者で副業として不動産所得・事業所得もある人の場合、ふるさと納税の制度を利用するために確定申告を行わなければなりません。
しかし、不動産投資家は確定申告をしているケースがほとんどですので、追加で行う手間はほんの少しで済みます。
ふるさと納税の上限額が上がる
全額控除されるふるさと納税額(年間上限)は、所得によって設定されます。
所得金額が多ければ、その分上限額も上がる仕組みです。
サラリーマンなどの本業に加え、副業として不動産投資を行っている場合、全額控除されるふるさと納税の上限額を決める所得対象は「本業の給与+不動産収入(譲渡所得・不動産所得)」となります。
事業所得・雑所得などがある場合にもすべて含み、基本的には以下のように計算されます。
つまり、不動産投資家がふるさと納税を行う場合は、全額控除される上限額がさらに上がるのです。
住宅ローン控除と併用できる
ふるさと納税による控除と住宅ローン控除の併用が可能な点も、不動産投資家にとっては嬉しいポイントです。
住宅ローン控除では、毎年の年末時点におけるローン残高の1%が、所得税・住民税の対象となる所得額から控除されます。
住宅ローン控除で得した分をふるさと納税にまわせば、返礼品+節税効果でメリットが大きくなります。
不動産投資家がふるさと納税をする際の5つの注意点・対処法
翌年の納税額を減らすことができるふるさと納税は、不動産投資家もぜひ利用したい制度です。
ただし、ふるさと納税をうまく利用するにはいくつかコツがあります。
以下でご紹介する注意点をしっかり押さえて、節税効果を最大限に引き出しましょう。
控除額の上限を超えた分は自己負担になる
ふるさと納税を利用して所得から控除される金額は、「ふるさと納税で納めた寄付金額のうち、2,000円を超えた分」です。
しかし、全額控除されるふるさと納税額は所得により人それぞれ決まっていて、その上限を超えた分は自己負担となります。
お得だからといってたくさんのふるさと納税を利用しすぎると、全額控除の上限を超えて自己負担分が増えてしまいますので、十分注意しましょう。
そうならないためにも、「ふるさと納税のしくみ(総務省)」で自分の上限額の目安を知っておくことが大切です。
所得税・住民税以外は控除対象にならない
ふるさと納税を行うことによって控除される税金は、所得税・住民税だけです。
相続税や贈与税などその他の税金は、ふるさと納税による控除対象とはなりませんので覚えておきましょう。
返礼品を50万円分以上受け取ると課税される
なるべく還元率の高いふるさと納税を狙う人も多いと思います。
ただし、受け取った返礼品は税務上で一時所得扱いとなりますので、返礼品の合計額が50万円超となった場合には申告が必要です(50万円超の部分のみが申告の対象)。
返礼品の評価については、返礼品の規制強化によって「寄付金の30%相当額=返礼品の評価」となっていますので目安にしてください。
ふるさと納税では100万円を超えるものも存在しますので、高額な寄付を行う際にはご注意ください。
ワンストップ特例制度は利用できない
ふるさと納税で寄付金控除のメリットを受けるためには、以前まではどんな人でも確定申告が必要でした。しかし、創設からしばらくして、確定申告を行うことなくふるさと納税による控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が導入されています。
しかし、このワンストップ特例制度は、給与所得者のみが利用できる制度となっていますので、不動産投資家がふるさと納税の節税効果を得るには、今まで通り確定申告を行う必要があります。
資金繰りが悪化する可能性がある
不動産投資では、ローン返済・物件の維持費・固定資産税など、多くの経費がかかります。
得するからとふるさと納税を行う場合でも、これも「出費」のひとつですので、手元の資金が少なくなる原因にもなりかねません。
設備の補修など急な出費にも備えて、資金繰りに注意しながらふるさと納税を行いましょう。
ふるさと納税以外にも注目したい節税方法
不動産投資家の場合、ふるさと納税以外にも以下の3つの方法で節税が可能です。
青色申告
不動産所得がある場合、白色・青色のどちらかの方法で確定申告を行います。どちらを選ぶかは申告者の自由ですが、青色申告を選べば、最大で65万円の特別控除を受けることが可能となります。
白色申告のほうが簡単ではありますが、不動産投資家は、少々大変でも節税効果の高い青色申告を選びたいところです。
準備しなくてはならない書類は多いですが、オンラインの会計ソフトなどを利用すればそれほど大変な作業ではありませんので、青色申告がおすすめです。
経費の計上
投資物件の維持費やローンの利子などは、確定申告時に経費として認められますので、課税所得を減らせます。
不動産投資の勉強代(書籍代・メルマガ代・セミナー参加費や交通費)も含まれますので、漏らさず経費に計上しましょう。
法人化する
不動産所得が多額になる場合は、法人化したほうが節税になります。
法人税の税率は800万円を境にして15%と23.2%の2つのみですが、所得税の税率は超累進課税ですので、所得が多ければ税率もどんどん高くなるのです。
また、法人の設立で融資が受けやすくなるというメリットもあります。
まとめ
ふるさと納税はどんな人にもメリットがありますが、不動産投資家が行うことによって、より多くのメリットが生まれます。
ご紹介した注意点をしっかり押さえて、節税のためにもぜひふるさと納税を活用しましょう。