不動産業に関連した資格では、宅建士(宅地建物取引士)をはじめさまざまなものがあります。
中でも比較的新しいのが
「賃貸不動産経営管理士」という資格です。
今回は賃貸不動産経営管理士という資格について、宅建試験との違い、難易度はどのくらいなのか、資格試験を受験するメリットなどを解説していきます。
必要な勉強時間やおすすめの勉強法もあわせてご紹介しますので、ぜひお見逃しなく。
目次
そもそも、賃貸不動産経営管理士とは?
賃貸不動産経営管理士は、アパートやマンションといった賃貸物件の管理を適正におこなうために存在します。
専門的な知識や技能に加え倫理観をあわせ持ち、さまざまなトラブルに対応するスペシャリストです。
資格試験は平成25年度から始まったもので、賃貸不動産経営管理士協議会が主催しています。
賃貸住宅管理の重要性が高まる近年では特に注目を集めている資格だと言えるでしょう。
業務内容・役割
賃貸不動産経営管理士の主な業務は、物件のオーナーに対する契約内の重要事項説明(書面交付)や、家主と入居者の両方において発生するさまざまなトラブルに対し専門的な知識を持ってサポートすることです。
具体的には、家賃や敷金、更新や賃貸契約終了時にかかわる管理事務作業をおこなったりします。
賃貸住宅管理業者登録制度(任意)
賃貸住宅管理業者登録制度とは、2011年より国土交通省にて創設された任意登録制度です。
賃貸住宅における管理業務の適正化に向けて、トラブルを防ぐ役割を果たす目的で作られたこの制度は、1事務所につき1名以上の賃貸不動産経営管理士(もしくは6年以上の管理事務の実務経験を持つ者)を置くことで登録が可能となります。
オーナーが不動産管理会社を選ぶ際に、この任意登録制度が1つの基準となっているわけです。
宅建とはどう違うの?
不動産関連の資格と言えば「宅建」が挙げられますが、こちらは国家資格です。
賃貸不動産経営管理士は公的資格という位置づけですが、需要が高まってきていることから国家資格化が見据えられています。
この2つの資格は、業務内容においてもその対象が異なっています。
宅建は借主(入居予定者)に対して契約上の重要事項を説明するのに対し、物件の貸主(オーナー)へ重要事項を説明するのが賃貸不動産経営管理士なのです。
資格試験の難易度について、単純な比較はできませんが、合格率で言えば宅建は15%、賃貸不動産経営管理士では50%前後となっていますので受かりやすい資格だと言えるでしょう。
賃貸不動産経営管理士試験の難易度は?
賃貸不動産経営管理士の資格試験は年1回の開催で、試験日は例年11月中旬頃となっています。
40問40点満点で、四肢択一のマークシート式試験です。
受験資格は年齢、性別、学歴など制約がなく、どんな人でも挑戦することができます。
申込は、公式サイトより試験リーフレットをダウンロードし、郵送にておこなってください。
試験合格後に資格登録をすることで、正式に賃貸不動産経営管理士の取得となります。
資格登録には、宅建士の資格所有、もしくは賃貸府相談関連業務に2年以上従事している(していた)ことが条件となっています。
近年の合格率は50%前後
平成25年度の創設年度には合格率が85.8%と高いものでした。
そこから年々低下を続け、平成29年の個数問題や組み合わせ問題の導入で50%を一旦切りましたが、平成30年には50.7%に復活しています。
4問免除講習修了者は合格率が高め
「賃貸不動産経営管理士講習」を受けた場合は、40問中4問が免除され、最初から得点としてカウントされるというメリットがあります。
公式サイトの平成30年度統計データによると、4問免除講習修了者のほうが高い合格率となっていますので、何が何でも合格を狙うのであれば講習を受講したほうが得策だと言えるでしょう。
2020年度から試験内容が大幅に変わる!
賃貸不動産経営管理士公式サイトでは、国家資格化へ、向け令和2年度(2020年)より試験概要が変わることがすでに発表されています。
創設年度より現在まで全40問(90分)だったものが、全50問(120分)に変更されることから、合格率が下がる可能性もあります。
宅建と同様に合格率が固定され、それにあわせて合格点が調整されることになれば、合格率が下がるのは必然でしょう。
賃貸不動産経営管理士試験を受験するメリット
近い将来に国家資格化が濃厚な賃貸不動産経営管理士の資格。
取得後には広い分野においてメリットがあります。
就職・転職で有利になる
不動産関係の資格の中でも比較的新しいものですので、有資格者の数はまだそれほど多くありません。
民間の公的資格としてでも、不動産業界への就職や転職にはとても強みを発揮しますので、ビジネスチャンスも増えます。
業務の幅が広がる
不動産業界で鉄板な資格である宅建を持っている人は多いですが、そこに賃貸不動産経営管理士の資格もあわせ持っていれば、業務の幅はかなり広がります。
・不動産会社から家主までの経営管理だけでなく、入居者までを含めた総合フォローが可能
・家主と入居者の両方との信頼関係を作り上げることができる
・専門的な知識を生かして、建設業界でも建物の活用といった分野を手掛けることができる
・業務の幅が広がることから、キャリアアップに繋がる
あらゆる面でメリットが多いですので、できれば宅建士と賃貸不動産経営管理士の両方を取得しておくことをおすすめします。
賃貸不動産経営管理士試験に合格するために必要な勉強は?
将来性の高さが見込める賃貸不動産経営管理士の資格を取得するには、この資格試験の特徴を押さえて効率良く勉強することが大切です。
賃貸不動産経営管理士試験ならではの傾向と対策をご紹介します。
公式テキストをやり込む
賃貸不動産経営管理士の試験問題は、
98%以上が公式テキストからの出題となっています。
文言などはそのままであったり、少々変えられたりしているものの、出題傾向に慣れておくことで試験当日には正解を導き出すことができるでしょう。
公式テキストを繰り返し勉強するのが、合格への近道です。
4問免除講習を受講する
4問免除講習の受講者と、非受講者では、合格率が4%から多い時では14%以上も違っています。
たった4問という考え方もありますが、その4問で合否が分かれるケースも少なくありません。
この講習は2日間のみという短いものですので、時間的にも心理的にもそれほど負担は大きくないでしょう。
4問免除講習を受講して、少しでも合格へのアドバンテージを増やしておくのが得策です。
約1ヶ月間の勉強時間は確保しておきたい
公式テキストだけでなく、過去問も3年分はやりましょう。
過去問を3年分解くだけでも6時間を要しますし、解けなかった問題の復習などもやる必要がありますので、ゼロから始めた場合には勉強時間に50時間以上はとりたいところです。
普段別の業種に従事している人や、学生さんなど本分の勉強があるという人では、全くの白紙から始めることになりますので、1ヶ月間ほどの余裕を持って臨んでください。
2019年11月試験での合格を目指そう!
来年からは試験時間や試験問題数が変わりますが、問題のレベルは変わらないことが予想されます。
しかし、合格基準点には変化が現れるはずですので、それにともない難易度は上がる可能性が高いとも言えるでしょう。
試験の傾向と対策が変わる前に、2019年の賃貸不動産経営管理士試験を受験し、合格しておくことをおすすめしたいです。