不動産投資を始めようといろいろ調べてみますと、「クラウドファンディング」という言葉をよく目にするようになるかと思います。
実は、クラウドファンディングで不動産投資を行うことも可能です。
今回は不動産投資型クラウドファンディングについて、その仕組みやメリット・デメリット、始め方を解説します。
REITなど他の不動産投資手段との比較もしていきますので、方法を選ぶ際の参考にしてください。
目次
不動産投資型クラウドファンディングとは?
不動産投資型クラウドファンディングは、基本的に不動産を投資対象として金銭的リターンを得ることを目的としたクラウドファンディングです。
不動産事業者がクラウドファンディングを通して、一般の投資家から共同出資を得て住居向けの不動産物件を購入し、家賃収入等の収益を各投資家へ分配します。
不動産投資信託(REIT)との違いは?
この2つで大きく異なる点は、不動産物件を自分で選ぶことができるかどうかでしょう。
REITではプロの目で適切な物件を選んでくれますが、不動産投資型クラウドファンディングでは投資家自身が好みの物件を選ぶことができます。
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投資対象 |
運用方法 |
流動性・換金性 |
不動産の選定方法 |
---|---|---|---|---|
不動産投資型 クラウドファンディング |
住居向け不動産物件 |
共同出資 |
低い |
投資家が自分で選べる |
REIT (不動産投資信託証券) |
さまざまな不動産物件 (オフィス、ホテル等) |
共同出資 (投資証券の購入) |
高い |
プロが選定 |
他のクラウドファンディングとの違いは?
では他のクラウドファンディングとは、どのように違っているのでしょうか。
出資者・投資対象・リターンされるものという3つのポイントで比較してみましょう。
日本のソーシャルレンディング事業者一覧によると、不動産投資ができる参入事業者が増えてきていることが分かります。
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出資者 |
投資対象 |
リターンの形 |
---|---|---|---|
不動産投資型 クラウドファンディング |
一般の投資家 |
不動産物件 |
不動産運用利益からの配当 |
ソーシャルレンディング (貸付型クラウドファンディング) |
一般の投資家 |
企業経営や事業 |
運用利回りからの配当 |
投資型クラウドファンディング |
一般の投資家 |
未公開株、ファンド等の有価証券 |
資産運用・売却による利益からの配当 |
購入型クラウドファンディング |
不特定多数の人(支援者) |
さまざまなプロジェクト案件 (起案者によるもの) |
商品、サービス |
クラウドファンディングで不動談投資を始めるメリット・デメリット
さまざまな投資方法をご紹介しましたが、自由度があまりにも高い方法は初心者にとっては難しいと言えます。
その点不動産投資型クラウドファンディングは、以下の点で初心者にもおすすめできる投資方法です。
メリットだけでなくデメリットもご紹介しますので、投資方法を選ぶ際の判断材料として把握しておきましょう。
メリット①:1万円からの少額投資ができる
不動産投資は多額の資金が必要だと思いがちですが、「FANTAS funding」などの会社では1万円という少額から始めることができる不動産投資もあります。
共同出資ですからこそ、少額投資が可能となっているのです。
メリット②:リスクが少ない
不動産投資型クラウドファンディングでも元本割れのリスクはもちろんありますが、出資金以上のマイナスとなる可能性はありません。
これは、不動産投資型クラウドファンディングが持つ「優先出資」と「劣後出資」という仕組みによるところが大きいと言えます。
一般の投資家は優先出資者という扱いになっており、利益の受け取りと損失の回避を優先的に行うことができるのです。
そしてその反対の条件が課されている劣後出資者とは、主体となっている事業者ということになります。
不動産投資型クラウドファンディングは、この仕組みがあるためリスクが少なく、初心者向けだと言えるでしょう。
メリット③:自分で投資物件を決められる
不動産投資型クラウドファンディングの最大のメリットです。
投資対象が「住居向け物件」となっていますが、最近では古民家や保育園などを改修して宿泊施設とした物件などに投資するケースも出てきています。
経験値が上がってきた頃におもしろい物件を選んで投資するのもいいでしょう。
メリット④:初心者でも高額物件にチャレンジできる
共同出資となることから、多額の出資金がない場合でもマンション1棟など高額物件への不動産投資に挑戦することが可能です。
日本に口座開設をしている人であれば誰でもチャレンジできますので、初心者にも向いています。
デメリット①:大きなリターンはあまり見込めない
不動産投資型クラウドファンディングには「レバレッジ効果が薄い」という特徴もあります。
不動産投資におけるレバレッジとは、少額投資による大きなリターンのことです。
マンションなどを実際に購入して行う不動産投資を考えてみましょう。
手持ち資金が少ない場合でも物件を担保にして金融機関から融資を受けることができますので、ある程度の高額物件の購入が可能となり、その分大きな家賃収入や売却益を得ることができます。
不動産投資型クラウドファンディングでは、1万円からの少額投資が可能ですが、投資額に見合ったリターンとなります。
デメリット②:途中キャンセルができない
事業者と結んだ契約を途中で解約したくなったり、自分の持ち分だけを売却したくなったりしても、不動産投資型クラウドファンディングではほとんどの場合で規約違反と見なされます。
証券市場でいつでも売買できるREITよりも換金性が低いのはこの理由からです。
デメリット③:頻繁にトラブルが発生している
日本におけるクラウドファンディングでの不動産投資の歴史はまだ浅いため、情報開示が不十分であったり、情報管理に不備があったり、投資先からの支払が延滞したりといったトラブルが時々発生しています。
不動産投資型クラウドファンディングを始める際には、事業者(会社)の見極めがとても重要なポイントとなるのです。
不動産投資型クラウドファンディングは会社選びが重要!見極めるための4つのポイント
現物での不動産投資においてもそうですが、投資で失敗しないためには不動産投資型クラウドファンディングでも会社選びが重要です。
以下の4つのポイントに注意して、頼りになる会社を選びましょう。
会社のバックグラウンドを調べる
その会社の出資元は大きい会社なのかどうか、そして会社の規模などバックグラウンドをしっかりと把握しておきます。
初心者の場合は、大手会社の系列かどうかといった簡単なものでもいいですので、できる限りの情報を調べましょう。
会社の健全性を調べる
会社の健全性は、「損益計算書」や「貸借対照表」といった財政情報で調べます。
これらの情報開示をきちんと行っている会社でなければ、会社の財政面がどのような状態であるのか分かりません。
情報をきちんと公開している会社を選ぶことをおすすめします。
返済遅延などの履歴がないか確認する
まだまだ歴史の浅い不動産投資型クラウドファンディングでは、返済遅延などが発生することが多々あります。
その履歴を確認するとともに、その対処が素早く行われているかどうかにも注目してください。
インターネット上での会社のプレリリースを参考にするといいでしょう。
他の投資家と触れ合う機会があればなお良い
不動産投資型クラウドファンディングを扱う会社で、無料の初心者向けセミナーを定期的に開催しているところもあります。
また同じ物件に出資した、メンバー同士がコミュニケーションを取ることができる場所(ネット上のスペース他)を準備している会社もあります。
こうしたところで多くの先輩投資家と意見交換できますと、その後の投資方法にも大きく反映させることができます。
その他の不動産投資手法もあわせて検討しよう
不動産投資をする手法はさまざまあります。
不動産投資型クラウドファンディングだけでなく、その他の方法のメリット・デメリットもよく理解してから検討することをおすすめします。
数多くの不動産投資会社を比較するには、企業規模や成長率、入居率などの情報で優良な会社を複数に絞ることができる「不動産投資会社比較ガイド」がとても便利です。
まとめ
発展途上の不動産投資型クラウドファンディングではありますが、少額からでも始めることができリスクも少ないことから、多くの投資家が注目する手法です。
挑戦するか迷っている方は、他の手法とあわせて比較し、自分のスタイルに合ったものを選ぶようにするといいでしょう。