2020年3月14日、実に49年ぶりの新駅「高輪ゲートウェイ駅」が開業したことは、多くの不動産投資家にとって気になる情報です。
街の再開発によって人が増えれば、マンション経営やテナント経営などになにかしら影響が出ると考えられます。
今回は、品川・高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発について、その概要と現在の進行状況、再開発により東京の都市力は上がっていくのかなど、2023年7月時点での投資家向けの最新情報を解説していきます。
JR高輪ゲートウェイ駅周辺「品川開発プロジェクト」の概要
2019年4月に都市計画が決定、2020年に品川新駅(仮称)としてはじまったのが品川駅北周辺エリアの再開発プロジェクトです。
具体的な場所としては田町駅・品川駅の間にあたり、車両基地スペースであった用地となります。
上位計画となった理由としては、羽田空港やリニア中央新幹線へのアクセスを含め、東京と国内外とのサウスゲートとして交通網を整備し、駅周辺はバリアフリーの歩行者ネットワークを作り上げ、人々が住みやすくする、というものが挙げられます。
そして、公募にて新駅名称を「高輪ゲートウェイ駅」と改め、2024年(令和6年)の工事完了と2025年の街開きをめざし、工事が進められている状況です。
「品川開発プロジェクト」では、北に位置する1街区から南へ2街区、3街区、4街区という4つのエリアに5つの高層ビルの建設が予定されています。
この超高層ビルの全体像としては、低層階に商業施設、高層階にオフィス・ホテル・マンションなどが入り、1街区から4街区にかけて歩行者が車と出会わずに歩けるつくりとなる予定です。
また、そのうちの4街区には高輪ゲートウェイ駅が設置され、すでに暫定開業しています。
これらのエリアにはどのようなマンションや施設が建設され、どのような街並みとなっていく予定なのか、エリアごとに詳しく解説していきましょう。
JR高輪ゲートウェイ駅【2020年3月開業済み】
4街区に建設が予定されている2つのビルのちょうど目の前に、JR高輪ゲートウェイ駅はあります。
所属路線はJR東海道本線ですが、実際にはJR京浜東北線・山手線の2路線が乗り入れています。
駅の構造は地上3階、地下1階建てで、東京オリンピック開催に向けて和を意識した駅舎デザインが特徴的です。
駅構内にはキャッシュレス決済を搭載した「スターバックスコーヒー」、AI活用の無人決済コンビニ「TOUCH TO GO」などのテナントが入っています。
また、高輪ゲートウェイ駅前の特設会場では、2020年7月14日~9月6日までの期間限定で「Takanawa Gateway Fest」が開催されるなど、にぎわいを見せました。
高輪ゲートウェイシティ「1街区」
1街区に建設が予定されている超高層ビルは、地上45階、地下3階建ての国際水準にのっとった居住施設です。
低層階に多言語対応の子育て支援施設やインターナショナルスクール、中層階・高層階には外国人ビジネスワーカーやファミリー向けの住宅が整備される予定となっています。
居住施設は全860戸、うち200戸については国際水準の規模・設備が実装された住宅です。
高輪ゲートウェイシティ「2街区」
2街区の建物は地上6階、地下4階で、ホールやライブラリーなどが入り、文化創造施設としての役割を担う予定です。
1,000席(最大2,000人規模)対応の国際的なイベントを開催できるホールのほか、創作活動やセミナーなどを開催可能なライブラリー、企画展示ができるエキシビション、地域住民も利用可能な創作スペースなどが設置されます。
高輪ゲートウェイシティ「3街区」
3街区は、ちょうど泉岳寺駅の目の前にあたります。
こちらの高層ビルは地上31階、地下5階の建物で下水熱活用施設、多言語対応の医療施設、フィットネスなど地域住民の健康支援施設が中心となります。
高輪ゲートウェイシティ「4街区」
4街区には北棟・南棟というツインタワーの建設が予定されています。
ともに地上30階、地下3階の建物となっており、高層階はホテルやオフィス、中層階にはビジネス支援施設、低層階には商業施設、地下には国際会議等で利用できるコンベンションが設置される予定です。
4街区の前には高輪ゲートウェイ駅の駅前歩行者広場デッキが開発されるほか、芝浦港南地区(芝浦水再生センター・芝浦中央公園側)や、三田・田町地区、高輪地区、品川駅地区など、周辺地域と歩行者専用道などで整備され、さらに4街区の南に隣接する品川駅方面に区域5と区域6の開発の将来構想もあるようです。
JWマリオット・ホテル東京が開業決定
南棟の22階から30階には、マリオットインターナショナルのラグジュアリーホテル「JWマリオット」の進出が決定しました。
客室数は200室。付帯施設としてスイミングプールやフィットネスセンター、スパも等も揃える圧巻の施設です。
オフィスはKDDIが本店を移転
4街区のオフィス棟には、KDDIが2025年をめどに本社を移転させる方針を発表しました。
商業施設のパートナーに選ばれたのはルミネ
高輪ゲートウェイシティの商業施設はJR東日本グループの株式会社ルミネが担当。
「既存の商業施設の領域にとどまらない、エキマチ一体開発だからこそ実現可能なMD・サービスを提供するライフデザイン型の商業空間を提供する」としています。
品川~高輪ゲートウェイ駅間以外も周辺地域で再開発が進む
品川プロジェクトに関連して、以下のエリアでも再開発が進んでいますので、ご紹介していきます。
周辺のエリアにおけるマンション経営のためにも、要チェックな情報です。
泉岳寺駅周辺
品川プロジェクトによる3街区と泉岳寺駅の間に位置するスペースが、再開発の対象地区となります。
泉岳寺駅へは、都営浅草線と京浜急行電鉄本線の2路線が乗り入れています。
こちらの再開発では、商業ビルや駐車場の設置に加え、ビルと地下に設置されている泉岳寺駅ホームが地下通路で結ばれる予定ですが、2020年10月末の時点では「特定建築者の公募なし、再公募の時期は未定」です。
品川駅西口周辺
品川駅の西口地区(現シナガワグース敷地)では、国際交流を目的とするホテルなどの複合施設の建設が進められています。
こちらは京浜急行電鉄とトヨタ自動車が再開発の中心となっているプロジェクトで、施設の一部にトヨタ自動車のオフィスが入居することが発表されました。
田町駅・三田駅周辺
国道15号沿い札ノ辻交差点付近のエリアを対象として、住友不動産が2023年の竣工をめざし再開発を進めているもので、こちらはオフィスビルプロジェクトとなります。
ビルは4棟で、うち2棟は住居中心、ほか2棟は文化交流施設、事務所、商業施設、生活支援施設、幼稚園や学校などが入る複合棟となる予定です。
このエリアの再開発は東京の都市力向上に大きく貢献すると予想
周辺エリアの再開発が複数進んでいる中でも、高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発は規模がより大きいものといえます。
高輪ゲートウェイ駅周辺の特徴である1街区の国際対応の居住施設、2街区の文化交流施設などの導入により、国際競争力の強化が期待されるでしょう。
高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発により、人々が住みたいと感じるような新しい街づくりが進めば、さらなる人口流入やオフィス流入も期待できます。
人口流入・都市力のさらなるアップが期待できる東京は賃貸経営にも最適
東京都公式サイトによると、2020年9月1日における東京都の人口は14,028,040人(総務省調べ)となっています。
前年同月比では56,001人の増加です。
東京都における人口の増加や、ご紹介したような多くのエリアで再開発が予定されていることを踏まえると、今後も東京での賃貸経営は安定する傾向にあるといえるでしょう。
記事まとめ
高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発に関する最新情報と、東京エリアにおける人口の推移、周辺の再開発情報は切っても切れない関係です。
新型コロナによる経済への弊害が発生している状況ではありますが、このような中でも東京は都市力を上げるたくさんの要素を持ち合わせています。
世界的にみても東京の都市力は上がることが期待できますので、東京での賃貸経営はまだまだ大丈夫そうだといえます。