初心者が知っておくべき不動産投資の始め方・流れを紹介
長期的に安定した収益が期待できる不動産投資は、老後の資金対策としても注目されている投資方法です。
しかし、「不動産投資の始め方がわからない」「どのような流れなのかいまいち理解できていない」など、不動産投資に興味があってもなかなか一歩が踏み出せないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産投資の始め方を5つのステップにまとめてわかりやすく解説しています。
初心者が知っておくべき基礎知識やリスクについてもご紹介していますので、不動産投資の始め方を知りたい方や知識を身につけたい方はぜひ参考になさってください。
不動産投資の始め方5ステップ
不動産投資とは、購入した投資用物件を他者に貸し出して賃料収入を得ること、また投資した金額以上で売却し売買差益を得ることをいいます。
株やFXなどさまざまな投資方法があるなかで、不動産投資は損失(リスク)と利益(リターン)の変動幅が中程度である「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資といわれています。
比較的初心者でもチャレンジしやすい投資方法ではあるものの、まずは不動産投資の始め方やその流れについて具体的に知っておく必要があります。
ここでは、初心者向けに不動産投資の始め方を5つのステップに分けて解説します。
ステップ1. 知識習得と目標設定
最初のステップは不動産投資の知識習得と目標設定です。
不動産投資の知識を習得する
不動産投資の始め方として、まず取り組むべきは不動産投資に関する知識の習得です。
不動産投資ではさまざまな専門用語が出てくるため、その用語の意味や使い方についてあらかじめ理解しておく必要があります。
不動産投資について学ぶには以下のような方法があります。
- 不動産投資関連の書籍で勉強する
- 不動産投資会社のコラムや資料を参照する
- 不動産投資会社のセミナー・相談会に参加する
不動産投資の基本的な知識は、本やインターネットの情報から身につけることができます。
しかし、不動産投資の実践的なノウハウを学ぶためには、不動産投資会社が主催するセミナーや相談会に参加するのがおすすめです。
初心者向けのセミナーでは、不動産投資の目的や物件選びのポイント、収支シミュレーションなど、不動産投資に必要な基礎知識を体系的に学ぶことができます。
投資目標を設定する
不動産投資の基礎知識が身についたら、なぜ不動産投資を始めるのか、不動産投資によってどのような成果を得たいのか明確にし、投資目標を設定しましょう。
最初に目標を立てておくことで、目標達成のために適切な投資方法を選びやすくなり、不動産運用を続けるモチベーションが高まります。
不動産投資におけるゴール(目標)の一例には以下が挙げられます。
- 少額でも長期にわたって安定的な利益を得ること
- 短期間で大きな利益を得ること
- 生命保険代わりになること
- 所得税・住民税の節税や相続税対策になること
まずはこのような大枠のゴールを設定したうえで、金額や期限などの具体的な目標を立てるとよいでしょう。
たとえば老後資金の確保を目標とし不動産投資を始める場合、65歳までに毎月10万円の家賃収入を得るなど、客観的な数値をあてはめて考えることをおすすめします。
ステップ2. エリアの選定
不動産投資の始め方・流れとして、物件選びの前に行うのがエリアの選定です。
投資用物件を購入・運用するエリアの選定は、不動産投資の成功を左右すると言っても過言ではありません。
エリア選びがうまくいけば、不動産投資において最も避けるべき空室リスクが発生しにくくなり、物件経営に行き詰まる可能性を減らすことができます。
不動産投資におすすめのエリアには以下が挙げられます。
- 人が集まるエリア
- ワンルームの賃貸需要が大きいエリア
- 通勤・通学のアクセスが良好なエリア
- 「住みたい街」にランクインしているエリア
- 再開発が進んでいるエリア
- 災害リスクの少ないエリア
不動産投資のエリア選びにおいては、賃貸需要が大きい場所を選ぶことに加えて、入居者目線で「どこに住みたいか」を考えることが大切です。
人が集中する都心の物件は利回りが低くなる傾向があるものの、長期にわたって安定した物件経営を続けることが目標であれば、常に需要が見込めるエリアを選ぶ必要があります。
エリアごとの利回り推移や人口動態などの情報はインターネットで調べられるため、エリア選びの際は客観的な情報も活用しながら最適な場所を見極めましょう。
ステップ3. 物件選び
不動産投資の始め方として、エリア選定の次に行うのが実際に購入・運用する物件選びです。
物件選びにおいてもエリア選定と同様に、入居者がどのような物件に住みたいのか、入居者の目線で考えることを意識しましょう。
不動産投資の物件選びにおいては、実際に現地に行って物件や周辺環境をチェックする現地調査が重要となります。
インターネットだけでもさまざまな情報を得られますが、実際に自分の目で見てみなければわからないこともあります。
また、自分一人だけでは主観的な見方になる可能性が高いため、第三者の客観的な目線から見てもらうことも大切です。
現地調査で見るべき主なポイントは以下のとおりです。
- 物件の管理状況
- 物件の設備・騒音
- 物件の地盤
- 最寄り駅・バス停までの距離
- 周辺環境
- 入居者の状況
上記のようなチェックポイントを把握できれば、入居者が住みたい物件かどうか判断しやすくなります。
実際に現地に行って自分の目で確認することで、より納得感のある物件選びができるでしょう。
ステップ4. ローン審査・契約・引渡し
不動産投資の始め方4つ目のステップは、金融機関や融資事業者が提供する不動産投資ローンの申請です。
不動産投資ローンとは、その名のとおり不動産投資を目的とした収益物件の購入にあたって利用できるローンのことです。
物件の購入にあたっては多額の資金が必要となるため、不動産投資を始める方の多くは自己資金だけでまかなわず、不動産投資ローンによって融資を受けています。
不動産投資ローンには以下のような審査項目があります。
- 年収
- 職業
- 資産状況
- 物件の収益性
- 物件経営の実績
通常のローンと異なる点として、不動産投資ローンでは投資物件に関する情報や経営実績についても審査対象となります。
審査基準は一律ではなく金融機関によって異なり、一般的には都市銀行は審査が厳しいといわれています。
ローン審査と契約の具体的な流れは以下のとおりです。
- 事前審査を受ける
- 物件の売買契約を締結する
- 本審査を受ける
- 金融機関とローン契約を締結する
契約手続きが終わったらいよいよ引渡しです。
売主と買主、不動産会社が立ち会って最後の現地確認を済ませ、登記と融資の実行、決済手続きを行います。
すべての手続きが終わったら物件の鍵や書類を受け取り、引渡し完了となります。
ステップ5. 管理会社との委託契約
不動産投資の始め方として、最後に行うステップは管理会社との委託契約です。
不動産投資では入居者の募集や物件の管理などの手間がかかりますが、これらは自分で行うことも、管理会社に任せることもできます。
一般的には管理会社に委託するケースが多く、本業のあるサラリーマンが副業として不動産投資を始めることも可能です。
物件経営の経験やノウハウがない初心者も、管理会社に一任できれば安心して不動産投資に挑戦できるでしょう。
不動産投資で管理会社に任せられる主な業務は以下のとおりです。
- 入居者の募集
- 契約の手続き(更新・解約)
- 家賃の集金
- クレーム対応
- 退去時の立ち合い
- 日常清掃
- 定期メンテナンス
- 共用部分の保守点検
- 修繕計画の策定
管理会社に委託すると手数料はかかるものの、これらの管理業務を自分の手で行うのは大変です。
また、しっかりと管理が行き届いている物件であれば、入居者の満足度と物件の資産価値を同時に高めることができます。
別途手数料を支払っても、管理会社に委託する方がメリットが大きいといえるでしょう。
ここまでのステップを経て、ようやく不動産運用がスタートします。
実際に運用を開始した後も、定期的に収支計画を見直したり空室対策を徹底したりと、最初に設定した不動産投資の目標を達成するための努力が欠かせません。
物件を取得して終わりではなく、取得してからが不動産投資の本当の始まりといえるでしょう。
初心者が押さえておきたい基礎知識
不動産投資を始めるにあたり、初心者が知っておきたい基礎知識を以下にまとめました。
不動産投資の種類
不動産投資は主に「区分投資」「一棟投資」「戸建て投資」の3つに大別されます。
区分投資
区分投資とは、マンションやアパートを一室単位で購入・運用する不動産投資です。
一室から運用できるため、不動産経営に慣れていない初心者や自己資金が少ない方でも始めやすい投資方法です。
一方で、空室や家賃滞納が発生した際の影響は、一棟投資よりも深刻になると考えられます。
一棟投資
一棟投資とは、マンションやアパートの一棟すべてを購入・運用する不動産投資です。
投下する資金が高額になる分、得られるリターンの大きさに期待を持つことができます。
しかし、区分投資と比べ流動性が低く、出口戦略が取りにくい一面も。多額の資金が必要となるため、年収が高い方、資産に余裕がある方に向いています。
戸建て投資
戸建て投資とは、一戸建て物件を購入・運用する不動産投資です。
中古であれば数百万円で購入できる物件も多く、少ない資金でも始めやすい投資方法です。
リスクを抑えてコツコツ運用したい方、時間にゆとりがある方に向いているでしょう。
不動産投資で利益が出る仕組み
不動産投資で得られる利益には「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。
インカムゲイン
不動産投資におけるインカムゲインとは、投資用物件を貸し出すことで得られる家賃収入のことです。
継続的に安定した利益を得やすいことから、リスクとリターンの程度は「ローリスク・ローリターン」といえます。
キャピタルゲイン
不動産投資におけるキャピタルゲインとは、投資用物件を売却したときに得られる売買差益のことです。
短期間で大きな利益を得られる可能性もあれば、大きな損失を被ってしまう可能性もあるため、リスクとリターンの程度は「ハイリスク・ハイリターン」といえます。
利回りの種類・計算方法
不動産投資の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。
表面利回り
表面利回りとは、物件価格に対して年間で得られる家賃収入の割合のことです。
不動産投資で発生する諸経費を一切考慮していないため、実質的な利回りを算出したい場合は「実質利回り」で計算することが大切です。
●表面利回りの計算方法
表面利回り(%)=年間家賃収入÷購入金額×100
実質利回り
実質利回りとは、物件の購入・維持でかかる諸経費を含めて算出した利回りのことです。
物件を探す段階であれば表面利回りも参考にできますが、購入する物件を絞り込む段階に入ったら、諸経費を考慮した実質利回りで計算することをおすすめします。
●実質利回りの計算方法
実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間支出)÷(購入金額+購入時の諸経費)×100
知っておくべき不動産運用のリスク
不動産投資を始める前に、現物資産を運用する不動産投資ならではのリスクやデメリットについて理解を深めておく必要があります。
起こり得るリスクをあらかじめ知っておくと、それを回避するための対策を練ることができ、大きな失敗や損失を生まないためのリスクヘッジとなります。
不動産投資で注意すべきリスクには以下が挙げられます。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 建物老朽化リスク
- 家賃下落リスク
- 物件価格下落リスク
- 金利上昇リスク
- 災害リスク
このように不動産投資にはさまざまなリスクがあるものの、不動産投資は株やFXと比べると先が読みやすく、リスクを最小限に抑えるための対策をとりやすいといえます。
たとえば、事前の情報収集を念入りに行い、賃貸需要が高いエリアや評判の良い管理会社を選んでいれば、空室や家賃滞納、物件価格下落などのリスクは起こりにくくなるでしょう。
また、火災保険や地震保険に加入したり、地盤の強い地域を選んだりしておくことで、予測しにくい災害にも備えることができます。
このように、不動産投資にもリスクやデメリットがあることを理解したうえで、どのような対策が有効なリスクヘッジとなるのか考えることが大切です。
不動産投資に関して不安や疑問がある場合は、信頼できる不動産投資会社に相談しアドバイスを受けるとよいでしょう。
不動産投資の始め方まとめ
今回は、不動産投資の始め方として以下の5ステップをご紹介しました。
- 知識習得と目標設定
- エリアの選定
- 物件選び
- ローン審査・契約・引渡し
- 管理会社との委託契約
不動産投資を始める際は、最低限必要となる基礎知識を身につけておくこと、起こり得るリスクを把握し対策を講じておくことが大切です。
不動産投資のプロである不動産投資会社の手も借りながら、まずは知識の習得から始めてみてはいかがでしょうか。