不動産投資で確定申告が必要な場合と提出方法を解説
不動産投資で確定申告が必要な場合と提出方法を解説

不動産投資で確定申告が必要なケースとやり方・流れを紹介

確定申告とは、1年間の所得金額を税務署に申告し、所得にかかる税額を確定する手続きのことです。

確定申告はすべての人が対象とは限らず、手続きが必要かどうかは個々の状況によって異なります。

不動産投資で収入を得ている投資家の場合、どのようなケースで確定申告が必要になるのでしょうか。

この記事では、不動産投資で確定申告が必要になるケースや提出方法、経費項目など、不動産投資家が知っておくべき確定申告の基礎知識をわかりやすく解説します。

不動産投資初心者の方はぜひ参考になさってください。

不動産投資で確定申告が必要なケース

不動産投資で確定申告が必要なケース

確定申告はフリーランスや個人事業主だけが行う手続きではなく、給与所得を得ている会社員も確定申告の対象となる可能性があります。

ここでは、不動産投資で確定申告が必要か判断する基準について解説します。

確定申告の判断基準

不動産投資で収入を得ている場合、勤務先で年末調整を行うサラリーマンであっても確定申告が必要になるケースがあります。

その基準は「給与所得および退職所得以外の合計所得金額が20万円を超えているかどうか」です。

所得税法上、所得には次の10種類があります。

  • 給与所得
  • 退職所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

20万円の基準は給与所得・退職所得以外の所得の合計となります。

そのため、不動産投資において不動産所得を得ている投資家は、その金額によっては確定申告の対象となる可能性があります。

ただし、不動産所得などの所得の合計が20万円以下であっても、年末調整をしていない場合や年収が2,000万円を超える場合は確定申告が必要です。

参考:国税庁『No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人』(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)

不動産所得の計算方法

不動産所得とは土地や建物などの不動産の貸付けで得た所得のことで、収入から経費を差し引いて算出します。

不動産所得の計算方法は次のとおりです。

総収入金額−必要経費=不動産所得の金額

不動産投資で得た家賃収入や更新料などの収入がそのまま所得になるのではなく、不動産の購入・運用において発生するさまざまな経費を収入から差し引くことがポイントです。

そのため、収入が20万円を超えていても、かかった経費との差し引きによって20万円以下の所得になれば、確定申告が不要になる場合があります。

参考:国税庁『No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)』(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)

不動産投資による収入とは

不動産投資の収入には以下が該当します。

  • 賃貸料収入
  • 礼金
  • 権利金
  • 更新料
  • 敷金や保証金のうち返還不要のもの
  • 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代、掃除代など

etc.

不動産投資による必要経費とは

不動産投資の必要経費には以下が該当します。

経費については本記事の後半でも詳しく解説しています。

  • 税金(固定資産税など)
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 修繕費
  • 管理費
  • 水道光熱費
  • 借入金利子
  • 地代家賃
  • 仲介手数料
  • 広告宣伝費
  • セミナー参加費・勉強代

etc.

確定申告のやり方・流れ

確定申告のやり方・流れ

不動産投資における確定申告のやり方と流れを以下にまとめました。

1. 税務署に届出を行う

まずは、必要に応じて税務署に届出を行います。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

白色申告は届出の必要はありませんが、青色申告を行う場合は「青色申告承認申請書」を事前に税務署へ提出しなければなりません。

原則として開業日から2か月以内、もしくは青色申告を行う年度の3月15日までが提出期限となっています。

また、e-Taxによる電子申告を行う場合は、はじめに利用者識別番号(半角16桁の番号)を取得する必要があります。

届出書を税務署へ郵送もしくは持参するほか、推奨環境を満たしたパソコンやスマートフォン、タブレットがあれば自宅から手続きすることも可能です。

【注意】不動産投資が「事業」かどうかで青色申告特別控除額が変わる

確定申告を青色申告で行うメリットとして、最大65万円の青色申告特別控除を受けられることが挙げられます。

不動産投資による所得においては、それが「事業として行われているかどうか」によって適用される控除額が変わってきます。

不動産投資による建物の貸付けが事業的規模とみなされる条件は以下のとおりです。

建物の種類 事業として認められる条件
貸間、アパート等 貸与できる独立した室数がおおむね10室以上であること
独立家屋 おおむね5棟以上であること
参考:国税庁『No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分』(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm)

上表の条件に該当し不動産投資が事業として認められる場合は、青色申告特別控除として55万円、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行えば最大65万円の控除が受けられます。

なお、賃貸する部屋が10室未満もしくは家屋が5棟未満の場合は事業として扱われず、青色申告特別控除額は10万円が限度となります。

2. 必要書類を準備する

次に、不動産投資の確定申告で必要となる以下の書類を準備します。

  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書(不動産所得用)※青色申告の場合
  • 収支内訳書(不動産所得用)※白色申告の場合
  • 売買契約書
  • 賃貸借契約書
  • 家賃明細
  • ローン返済表
  • 固定資産税通知書
  • 管理費や修繕費などの領収書
  • 源泉徴収票※給与所得がある場合

etc.

3. 確定申告書類を作成する

不動産投資の収支をまとめた帳簿・書類をもとに確定申告書類を作成します。

不動産所得の申告においては確定申告書のほか、青色申告の場合は「青色申告決算書(不動産所得用)」、白色申告の場合は「収支内訳書(不動産所得用)」の作成が必要です。

確定申告書類の主な作成方法は次のとおりです。

  • 手書きで作成する
  • 国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用する
  • 会計ソフトで作成する
  • 税理士に依頼する

会計ソフトを使って帳簿を付けている場合は、そのまま確定申告書類まで作成できることがほとんどです。

1項目ずつ帳簿を見ながら手書きで転記したりシステムに打ち込んだりする必要がなく、時間の短縮とミスの防止につながります。

自分で確定申告書類が作成できるか不安な場合は、税理士に丸投げしてしまうのも一つの手です。

依頼料はかかるものの、時間や手間がかからないことや安心して任せられることを考えると、本業で忙しいサラリーマンなどは費用対効果が高いといえるかもしれません。

4. 税務署に提出する

確定申告書類が完成したら、期限までに税務署へ書類を提出します。

確定申告は1月1日から12月31日までの1年間の所得について、その翌年の2月16日から3月15日までに申告する必要があります(申告期間は土日の関係で変動あり)。

確定申告書類を提出する主な方法は以下のとおりです。

  • 税務署に持参する
  • 税務署に郵送する
  • e-Taxで電子申告する

提出方法についてはこの後に詳しく解説しています。

5. 納税する/還付を受ける

税金の納付方法は以下のとおりです。

  • 現金で納付する(税務署または金融機関にある納付書を用いる)
  • 口座振替で納付する(事前に依頼書を税務署または金融機関に提出する)
  • 電子納税する(インターネットバンキングやダイレクト納付を利用する)

なお、確定申告書類の申告期限と同様に、所得税の納付も3月15日が期限となっています。

口座振替の場合は3月15日までに書類を提出、4月中旬ごろに口座振替が行われます。

還付を受ける場合は、確定申告書で指定した金融機関の口座に還付金が振り込まれます。

書面による申告は書類提出から1〜2か月以内、電子申告はデータ送信から3週間以内を目安に還付されます。

確定申告書類の提出方法

確定申告書類の提出方法

作成した確定申告書類は「税務署に持参する」「税務署に郵送する」「e-Taxで電子申告する」のいずれかの方法で提出します。

税務署に持参する

税務署まで足を運び、窓口にて直接提出する方法です。

税務署が開いていない時間帯は、時間外収受箱への投函による提出も可能です。

税務署に持参し提出するメリットには、不動産投資の確定申告に必要な書類が揃っているか確認してもらえることが挙げられます。

ただし、税務署で申告手続きや必要書類について相談したい場合は、電話による事前予約が必要になる場合があります。

毎年、確定申告の時期になると税務署内は非常に混み合うため、持ち込みでの提出を希望する場合はなるべく早めに足を運ぶことをおすすめします。

税務署に郵送する

郵便ポストや郵便局の窓口から税務署に郵送する方法です。

確定申告書は「信書」(特定の受取人に対して差出人の意思を表示したり、事実を通知したりする文書のこと)に該当する書類のため、税務署に送付する際は「郵便物」または「信書便物」として送る必要があります。

確定申告期間の混み合う税務署まで足を運ぶ必要がなく、いつでも都合のよいときにポスト投函もしくは窓口郵送できることがメリットです。

確定申告書の控えを希望する場合は、申告書の控えと返信用封筒(宛先の記入と切手の貼付が必要)を同封しておくと、収受日付印が押された控えを返送してもらえます。

参考:国税庁『申告書の提出方法』(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/b/02/2_03.htm)

e-Taxで電子申告する

パソコンやスマートフォンから手軽に提出できるのが「e-Tax(イータックス)」による電子申告です。

税務署に持参したり郵送したりする手間が省けるうえ、青色申告の場合はe-Taxを用いた確定申告により最大65万円の特別控除が受けられます。

e-Taxによる確定申告には「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つの方法があります。

ID・パスワード方式はマイナンバーカードが不要で、カードを持っていない人もe-Taxによる申告が可能です。

ただし、マイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応とされているため、今後も不動産投資による継続的な収入が見込める場合はマイナンバーカードを取得しておくことをおすすめします。

不動産投資で認められる経費項目

不動産投資で認められる経費項目

不動産投資を行う過程で発生する経費は、確定申告を行う際に収入から差し引くことができます。

経費が多ければ多いほど不動産所得を少なくすることはできるものの、当然ながら不動産投資において必要だと認められるものしか経費にすることはできません。

不動産投資において必要経費と認められる主な項目を一覧にまとめました。

経費項目 内容
税金 不動産取得税、登録免許税、都市計画税、固定資産税、印紙税、事業税など
損害保険料 火災保険や地震保険などに加入する際の損害保険料
減価償却費 建物部分の取得金額を耐用年数に応じて割った金額を毎年計上する(建物・設備のみで土地は対象外)
修繕費 故障に伴う設備交換や原状回復など建物の修繕で支払った金額
管理費 建物の設備点検・保守や共用部分の清掃などにかかった費用
水道光熱費 建物の共用部分の電気代や水道代
借入金利子 土地や建物を購入する際に借り入れた借入金の利子
地代家賃 土地の地主に支払う地代(土地を借りている場合)
仲介手数料 不動産会社などに支払った仲介手数料
広告宣伝費 入居者募集のためにかかった広告宣伝費
セミナー参加費・勉強代 不動産投資の勉強や情報収集において必要となったセミナーの参加費やコンサルティング代、書籍代など

不動産所得を申告しなかったらどうなる?

不動産所得を申告しなかったらどうなる

不動産投資において確定申告が必要な所得を得ている場合は、定められた期間内に正確に申告することを徹底しましょう。

確定申告の対象であるにもかかわらず申告しなかった場合や申告内容に誤りがあった場合は、その状況に応じて以下のペナルティが発生します。

加算税

加算税には、期限までに申告をしなかった場合に課される「無申告加算税」、本来納めるべき税額よりも少ない金額を納付した場合に課される「過少申告加算税」、意図的な仮装隠蔽行為があったと判断された場合に課される「重加算税」などがあります。

ただし、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、期限内申告の意思があったと認められた場合は無申告加算税は課されません。

過少申告加算税に関しても、税務署による調査の前にミスに気づき、自主的に修正申告をした場合は課されないことになっているため、誤りがあった場合はすぐに訂正することが重要です。

延滞税

確定申告で確定した税金を定められた期限までに完納しなかった場合は、納期限の翌日から納付日までの日数に応じた延滞税を納める必要があります。

ここで言う「納期限」とは、期限内に申告した場合は「法定納期限」、期限後申告または修正申告をした場合は「申告書の提出日」となります。

まとめ

まとめ

勤務先で年末調整を行うサラリーマンも、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

ただし、不動産投資で得た収入はそのまま所得になるのではなく、かかった経費を総収入から差し引いた金額が「不動産所得」となります。

不動産投資においては、不動産取得税や固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などが必要経費として認められます。

確定申告の時期が近づくと、申告や税金に関する相談窓口は混み合うことが予想されます。

不動産投資の確定申告について疑問がある場合は、税理士などの専門家や管轄の税務署に相談し、早めに解決しておくことをおすすめします。

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