「AIが判断してくれる投資サービス」と言われると、「任せてみたいけれど難しそう」と感じる人もいるでしょう。
投資の経験者にあっては、「慣れないから試すのも怖い」と思う人もいるかもしれません。
今回は、近年利用者が増えてきているAI投資(ロボアドバイザー)について、その仕組みや種類、メリットとデメリット、向いている人、選び方、さらにはおすすめのAI投資サービスについても解説していきます。
目次
AI投資(ロボアドバイザー)とは?
AI投資(ロボアドバイザー)は、投資の専門家(人間)ではなく、AI(人工知能)を利用する投資サービスのことです。
具体的には以下のような特徴があります。
AI投資の仕組み
AI投資で利用される人工知能は、世界における最新のニュース、市場データなど膨大な量の情報をもとにして、株式など投資対象となる銘柄の将来的な有効性や値下がりリスクなどを判断します。
また、投資にAIを利用する方法には以下のように2種類があります。
「アドバイス型」と「投資一任型」の2種類がある
「アドバイス型」では、投資家のニーズをふまえて銘柄や投資方法までをアドバイスしてくれるのです。
そのため、銘柄の買い付けや資産運用中のリバランスなどのメンテナンスは投資家自身が行うことになります。
こちらは投資経験のある人であれば、アドバイス型で充分かもしれません。
一方の「投資一任型」ではアドバイスに加え、自動運用やリバランスまで行ってくれます。
具体的にはポートフォリオ作成・銘柄の買い付け・定期的なリバランスなどを、そのときのベストな状態を目指して行ってくれますので、投資初心者に向いているといえるでしょう。
AI投資のメリット
それではあらためてAI投資のメリットをご紹介しましょう。
主に以下の4つがあげられます。
知識やまとまった資金がなくても投資を始められる
上述した通り、AI投資では膨大な情報やデータにより適切な分析が行われ、投資家一人ひとりのニーズに合った資産運用方法を提示してくれます。
そのため、投資の初心者でも、資金が少額の場合でも投資を始めることが可能です。
手間や時間をかけずに投資できる
AI投資の始めに投資家が行うことは、Web上で投資家の年齢・年収・金融資産額・初回投資可能金額・毎月積立可能金額などの情報提供のみです。
特に投資一任型では資産運用も自動で行ってくれますので、投資の管理に多くの時間を割けない投資家にとっては好都合でしょう。
運用コストが低い
投資一任型のAI投資では運用まで自動で行ってくれますが、当然ながら運用コストは必要で、年率で1%前後の場合が多いです。
会社によって運用コストはさまざまですが、年率1%前後とはいえ、長期割などで0.01%というところもありますので、平均すれば運用コストは低いといえます。
手数料が安いAI投資サービスも増えてきている
日本でAI投資が取り入れられ始めたのは2016年前後という最近のことです。当時は手数料の高さがデメリットでした。
しかし、2022年の現在では、アドバイス型は口座開設などをはじめ、基本的に無料で利用可能となっています。
また、投資一任型でも手数料が安いサービスも増えてきていて、こちらも利用しやすくなりました。
AI投資のデメリット
メリットが多い現在のAI投資ではありますが、以下のようなデメリットもあります。
投資の知識が身につきにくい
人工知能による冷静な判断はメリットでもありますが、そこに頼り続けることとなります。
そのため投資家自身は熱心に勉強しなくなり、投資の知識が身につかなくなる傾向が強いです。
元本割れするリスクがある
AIによる投資のアドバイスであっても「絶対安全」というわけではありません。
AI投資も「投資」であるからには、失敗のリスクもゼロではなく、場合によっては元本割れのリスクもあるということは、常に意識しておきましょう。
短期的な利益はあまり期待できない
ロボアドバイザーによる資産運用の失敗リスクの回避手段は、「分散投資とその比率」、そして「長期的な運用」の活用によるものです。
長期的に見て下落リスクが少ない銘柄や運用方法をアドバイスしてくれますので、短期的な利益は期待できないと考えておきましょう。
AI投資が向いている人とは?
ご紹介してきたメリットやデメリットをふまえて、AI投資がおすすめの人・おすすめでない人はこちらです。
おすすめできる人
投資初心者・余剰資金で将来のために資産運用を行いたい人・毎月の貯蓄感覚で資産を運用していきたい人に、AI投資は向いています。
おすすめできない人
逆にAI投資をおすすめできないのは、じっくりと勉強しながら投資をしていきたい人・元本割れを避けたい人・短い期間で利益を得たい人などです。
失敗しない!AI投資の選び方
AI投資を扱う会社はたくさんあります。
そのなかで自分に合うものを選ぶためのポイントは以下の4つです。
「アドバイス型」と「投資一任型」どちらが適しているか見極める
AIに頼るのはあくまでアドバイスまでで、自分で買い付けやリバランスなどを行いたい人は「アドバイス型」のロボアドバイザーを選びましょう。
また、投資初心者で不安な人・手間や時間をかけられない人は、銘柄の買い付けや自動運用・リバランスまでを行ってくれる「投資一任型」を選ぶと良いでしょう。
最低投資金額を確認する
投資に最低限必要な金額は、ロボアドバイザーを扱う会社設定が異なります。
たとえばマネックスアドバイザーでは毎月1万円の積立から、THEOでは初回投資金額として10万円から始めることが可能です。
自身の余剰資金で無理なく行える会社を選びましょう。
手数料の許容範囲を決めておく
AI投資でかかる手数料は平均して1%前後ではありますが、大きく見るとやはり会社によって異なります。
手数料の大きさで全体的な損益も変わってきますので、自分でどの程度まで許容できるのか、最初から範囲を決めておきましょう。
NISAに対応しているか確認する
NISAは、一定の金融商品の配当金・分配金・売買金などが非課税になるという「少額投資非課税制度」です。
そのためNISA口座を最大限に活用することで、損益を少なくすることが可能となります。
ただし、一般的な「投資一任型」のロボアドバイザーでは、このNISA口座の取り扱いがありませんので注意しましょう。
おすすめAI投資サービス
数あるAI投資サービスの中から、おすすめのものを4つピックアップしてご紹介します。
Wealthナビ(ウェルスナビ)
2016年に開始され、現在では国内最大手となっているロボアドバイザー。
世界約50ヵ国の1万1,000銘柄(株式・債券・金・不動産など)に広く分散投資することが可能です。
CEOは、アメリカ人の義父母の資産運用方法に衝撃を受け、日本でもオンラインの資産運用サービスを作れないかと奮闘し自らプロトタイプを完成させた柴山和久氏です。
タイプは投資一任型で、最低投資額は10万円となっています。
THEO
京都大学博士・「お金のデザイン研究所」所長の加藤康之氏、世界最大手の資産運用会社「ブラックロック」出身のスチュワートボックス・マット氏などが監修をしているロボアドバイザー。
THEOでは世界86の地域の1万1,000銘柄以上に分散投資することができ、そのポートフォリオは最大30種類以上のETF(上場投資信託)から構成されているのも特徴でしょう。
積立は1万円から、初期投資としては10万円からできる、投資一任型タイプです。
THEOはさまざまな提携もしており、「THEO+docomo」では新産運用額によりdポイントも付くというメリットもあります。
マネックスアドバイザー
マネックス証券が扱うロボアドバイザー。
投資対象は世界中の資産で、運用プランの組み合わせは2,000以上という多様性が特徴です。
料金についても高い透明性が売りであり、投資家自身の考えをリバランスに反映させることもできます。
毎月1万円からの自動積立ができる、アドバイス型タイプです。
投信工房
主な事業としてオンラインで個人投資家を対象に証券取引サービスを行っている松井証券が取り扱うロボアドバイザーのうちの1つ。
なかでも「投信工房」は投資初心者向けのものです。
投資対象は投資信託で、アドバイス型タイプのロボアドバイザーでありながら「自動リバランス」機能も備えているのが特徴でしょう。
投資信託専用のアプリも準備されていますので、投資がはじめての人でも気負うことなく管理できます。
まとめ
AI投資(ロボアドバイザー)は年々進化していて、その機能や正確性は今後もさらに発展していくことが予想されます。
基本的には「アドバイス型」と「投資一任型」にわかれていますので、手数料なども含めて自分に合う会社を見つけましょう。