高齢化社会の加速化により、「老後生活のためには公的年金のほかに自己資金をしっかりと準備しておきたい」と考えている人は多いでしょう。
働き盛りの間には結婚や子育てなどでさまざまな資金もかかるうえに、老後資金の準備もしていかなければならないのは、どんな人にとっても大変な時代に突入しているといえます。
今の記事ではそのような方々へ向けて、代表的な資産運用方法を15種類ご紹介します。自分に合う方法を見つける参考にしてください。
代表的な資産運用15種類
もともと持っているお金をなんらかの方法で増やすことを「資産運用」と言います。
それぞれ仕組みや成功のコツが異なりますのでご注意ください。
銀行預金・外貨預金
- 手間がかからない
- 銀行が破綻した場合でも預金保険制度により元本1,000万円+利息等は保護される(外貨預金を除く)
銀行預金や外貨預金は、口座にお金を預けておくだけで金利がつくという資産運用方法です。超低金利時代の現在は金利が0.001など非常に低い状態が続いていますので、長期に運用しても大きなリターンは望めません。
50万円、100万円などある程度まとまった資金があり、すぐに使う予定がない人におすすめです。
株式投資
- 大きなリターンにつながるチャンスあり
- 配当金のほか株主優待を受けられる
株式投資では、企業の発行する株式を購入し維持することで配当金や株主優待を得たり、安く購入した株式を高く売却したりして売却益を得ます。
株価は日々動きますので、タイミングによっては大きなリターンを得られますが、ときには損をするリスクもあります。
専門的な知識が必要なため、勉強が苦にならない人、自己資金に余裕のある人におすすめの資産運用方法です。
株式投資は証券会社で口座を開設すると始められます。
投資信託
- 少額(約1万円)の自己資金で始められる
- 複数の銘柄に分散投資が可能なため、リスクが少ない
投資信託(ファンド)は、複数の投資家から募った資金を専門家が運用してくれるという資産運用方法です。
デメリットは1年間換金できない、ファンドの購入時や報酬などで手数料がかかるという点です。
自己資金が少ない人、投資の初心者におすすめの方法といえます。始めるには、証券会社に口座を開設しましょう。
不動産投資
- 家賃収入により、長期的な安定収入を得られる
- 巨額の資金がなくても始められる
- 生命保険の代わりにもなる
不動産投資は、毎月の家賃収入からローン返済をしていくという投資方法であり、投資家にとっては金銭的な負担が少なくて済むのが大きなメリットです。
ただし、空室、災害・火災などによる建物の損壊、家賃下落などのリスクがあります。
ローン完済後には毎月の家賃収入だけが残りますので、長期的に運用したい人におすすめ。
不動産投資を始めるには、複数の不動産投資会社を比較できるサイトに登録するのがベストです。
REIT(不動産投資信託)
- 不動産投資よりも少額な資金で始められる
- 複数の銘柄に分散投資が可能なため、リスクが少ない
REITは投資信託の1つであり、投資先が不動産投資に特化されているのが特徴です。
通常の不動産投資よりも価格変動のリスクはありますが、分散投資により全体的なリスクを減らせます。
不動産投資に興味がある投資の初心者におすすめしたい資産運用方法です。REITを始めるには、証券会社にて口座の開設が必要です。
ETF(上場投資信託)
- 少額から始められる
- 24時間取引可能
- 通常の株式のように時価で売買可
ETFも投資信託の1つです。
投資先は金融商品取引所に上場されている投資信託に限られているのが特徴です。
専門家が運用してくれるので、初心者でも挑戦しやすいですが、取引時などに手数料がかかることに注意しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 掛金の支払年や運用中、受取時にも税制優遇が受けられる
- リスク分散されている運用商品が多い
iDeCoは、公的年金や企業年金のほかに個人で掛ける年金です。
税制優遇を受けられる反面、年金ということで60歳までは引き出し不可、運用商品によっては元本割れリスクあり、などのデメリットがあります。
総合的に見ると、運用失敗のリスクを下げたい人、長期的に運用して老後の資金作りをしていきたい人におすすめです。
iDeCoは証券会社で専用の口座開設をすると始められます。
債券投資(個人向け国債・社債)
- 償還(満期)まで保有していれば元本保証あり
- 利回りが比較的安定している
- 国や地方の公共団体が発行しているため安心
国や地方の公共団体に一定期間お金を貸し、利息とともに返却されるという資産運用方法です。
多くのメリットはありますが、償還期間前に売却した場合には元本割れとなる場合もあります。
また、換金するまで1年はかかるという点も覚えておいてください。
リターンはそれほど大きくなくても、元本保証がある方法を希望する人におすすめです。
国債は証券会社・銀行・郵便局などの金融機関で購入できます。
仮想通貨
- 大きなリターンを得られる可能性がある
- 決済の手段に使える場合もある
仮想通貨の特徴はインターネット上で取り引きされることです。
ビットコインなどいくつか種類はありますが、日本ではまだ発展途上中の取り引きです。
仮想通貨の価格変動は株価と同じように予想が難しく、取引中のハッキングや、システムの障害発生といったリスクもあります。
そのため、自分で仮想通貨についての勉強を続けられる人に向いている資産運用方法だといえるでしょう。
仮想通貨を始めるためには、仮想通貨取引所にて口座開設が必要です。
アンティークコイン投資
- 長期間の保管で価値が上がる
- コレクションとしても楽しめる
アンティークコイン投資は、ディーラーやオークションで手に入れたアンティークコイン(100年以上前のもの)を、購入時よりも高値で売却して儲けるという資産運用方法です。
アンティークコインはすでに現存数が限られていることから、熱狂的な収集家もいます。
気をつけたいのは、盗難リスクや偽物を買わされるリスクです。
アンティークコイン投資は、ある程度大きな自己資金がある人で、長期的に運用できる人におすすめでしょう。
ソーシャルレンディング
- 利回りの比較的良いものが多い
- 少額(約1万円)での投資が可能
- 元本保全率が高い
- 価格変動がない
- 管理の手間がかからない
ソーシャルレンディングは、お金を借りたい企業・人と貸したい人を結びつけるソーシャルレンディング会社が提供している投資サービスです。
メリットは多いですが、貸し倒れのリスクはゼロではありません。
また、キャンセルがしにくいという注意点もあります。
余剰資産を少額から投資してみたいという人におすすめの資産運用方法です。
興味がある場合はソーシャルレンディング事業者を選ぶところから始めましょう。
口座開設・ファンドの決定・入金で始められます。
FX
- ハイリターンの可能性もある
- 少額の証拠金(担保)で大きなレバレッジ効果が期待できる
FXとは、一定の証拠金を取引業者に預け、その額の数倍の通貨(円・ドル・ユーロなど)の売買取引をすることにより、為替差益を得る投資方法です。
外貨預金よりもレバレッジ効果が高いため、ハイリスク・ハイリターンです。
値動きを注視する必要もありますので、投資初心者よりも経験者に向いています。
FX取引を始めるには、証券会社に外国為替証拠金取引(FX)の口座を開設する必要があります。
先物取引
- 証拠金制度(担保)によりレバレッジ効果が期待できる
先物取引では、価格が変動する金融商品などを、取引所にて現時点の価格で将来の特定の日を定めて購入することで、期日の価格との差益を得られます。
将来性を予想して金融商品を購入するためハイリターン・ハイリスクな投資方法だといえるでしょう。
したがって、決断力が高く、積極的に利益を得たい人に向いている投資方法です。
先物取引では、証券会社で先物・オプション取引口座を開設する必要があります。
金投資
- 有限の鉱物のため価値がゼロになることはない
- 株式や国債が暴落した際のリスクヘッジになる
金投資で得られるのは売買差益です。
金の価格は株式や国債などと逆の動きをするため、世界情勢の悪化時には頼りになる資産だといえるでしょう。
デメリットとしては盗難リスク、価格変動の予想が難しいという点があり、長期的にリスクヘッジのある投資を行いたい人に向いています。
金投資には純金積立・金貨・金ETF・金投資信託などがあり、それぞれ宝飾店・地金商・金属メーカー・証券会社・銀行などで投資の手続きができます。
保険
- 万が一の場合に備えられる
- 運用の手間がかからない(保険会社におまかせ)
終身保険・養老保険・学資保険など貯蓄性の高い保険は、資産運用の1つとしても利用できます。
ただし、加入年齢によっては保険料が高くなること、満期前の解約では元本割れのリスクがあることに注意してください。
月々強制的に積み立てをしていきたい人、すぐに引き出す必要のない資金を持っている人におすすめの資産運用方法です。
資産運用の利益には2種類ある
資産運用ではインカムゲインとキャピタルゲインという2種類の利益を得られますが、ご紹介した15種類の方法以外も含め、それぞれの方法で得られる利益の種類が異なります。
インカムゲイン
「インカム(入ってくる)+ゲイン(増える)」という意味で、主に資産を保有していることで得られる金利・利息・家賃収入などがこれに当たります。
キャピタルゲイン
「キャピタル(資産)+ゲイン(増える)」という意味から、金融商品を購入価格よりも高値で売却した場合に得られる差益のことです。
値が動く金融商品の場合は市場を常にチェックし、タイミングを間違えば売却損になる可能性もありますので注意が必要です。
資産運用を成功させるための方法
資産運用で失敗を招かないためにも、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
少額から始める
これは特に投資初心者における資産運用の鉄則です。
はじめから大きな資産を投資してしまうと、万が一大損をした際には生活費や緊急のお金が不足してしまう事態になる可能性もあります。
ハイリスクすぎる商品は避ける
資産運用の基本は「地道に、確実に」です。はじめはリターンが小さくても、リスクの低い商品から始めましょう。
資産運用の勉強をし続け慣れてきたらミドルリスクの商品に挑戦する、という段階を踏むのがおすめです。
利率だけで決断しない
利率が良いものは、その分失敗のリスクも大きい場合が多いです。
また、資産運用では手数料や委託料などの運用コストがかかります。
目先の利益だけにとらわれず、さまざまな観点から投資商品を選びましょう。
中長期的なビジョンをもつ
株式のように売却することで利益を得られる金融商品であっても、売らずにそのまま保有していれば配当金や株主優待などをもらえたり、株価がさらに値上がりしたりする可能性もあります。
また不動産投資の場合は家賃収入からローン返済をしていくこと、10年毎に大規模修繕が必要になることなども見据える必要があります。
このように、資産運用方法や金融商品を選ぶときには、中長期的な視点で見るようにしましょう。
日常生活での無駄づかいをなくす
「資産運用をしていれば、いつか確実に増える」というわけではありません。
資産運用のみを頼りにせず、日常的にも無駄づかいをしないように意識し、貯金などで資産を少しずつ増やしていくことも大切です。
その先に、さらなる資産運用のチャンスが巡ってくるのです。
まとめ
資産運用を成功させるには、リスクをできるだけ抑えるために分散投資をするのがコツです。
どの商品に分散投資をするか、またその割合を決める際には「ポートフォリオ」の作成が役立ちます。
投資初心者の場合、特にポートフォリオを作ることで自分の投資の種類を全体的に把握できるのでおすすめです。