立ち退き料とは?決め方や金額相場、トラブルなく安く済ませる方法を詳しく解説

立ち退き料とは?

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「立ち退き料の決め方や相場はどのくらいなのかな」
「老朽化の建替えだったら立ち退き料は必要ないのかな」
「トラブルなく安く済ませる方法を知りたいな」

 

上記のようなお悩みを抱えている方に向けて、本記事ではアパートなどの賃貸不動産における立ち退き料の決め方や相場について解説しています
立ち退きのポイントや安く済ませる方法を知りたいという方はぜひ最後までお読みください。

立ち退き料とは?

立ち退き料とは

立ち退き料とは「入居者に退去してもらうために大家さんが損害を補償する対価」のことです。
退去には大家さんである貸主側の『正当事由』が必要になり、正当な立ち退き料を支払って退去してもらうのが一般的です。

 

立ち退き料の相場は家賃6ヶ月分程度ですが、立ち退き料は通例として支払われているものであり、金額の規定はなく双方の合意によって決められます
家賃3万円の15㎡シングルタイプと家賃6万円の70㎡ファミリータイプの場合、引越し費用や移転先の初期費用などが異なり、立ち退き料に差が生じるケースも珍しくありません。

 

このように、広さや家賃、賃料相場により立ち退き料の金額は変わっていきます。
これまでと同等レベルの生活を保てる金額+慰謝料(迷惑料)」が立ち退き料の相場といえるでしょう。

 

立ち退き料が必要になるケース

立ち退き料が必要になるケースは主に以下の2パターンです。

 

大家の都合で退去を求める場合

売却、建替え、自己使用など大家さんの都合で退去を求める場合は立ち退き料が必要になります。
「老朽化による建替え」が大家さん都合による退去に含まれる理由は、建替えすることで大家さんの収益につながると考えられるためです。

 

建替え・再開発に伴い退去を求める場合

建替えまたは再開発に伴った退去を求める場合にも立ち退き料が必要になります。
こちらも大家さんの収益につながると考えられ、正当事由にはあてはまらないためです。

 

立ち退き料が不要なケース

立ち退き料が不要なケースは、定期借家契約、入居者の契約違反、正当事由が十分に認められる場合の3つです。

 

①定期建物賃貸借契約を結んでいる場合

定期建物賃貸借契約を結んでいる場合、原則として立ち退き料は必要ありません。
普通借家契約と異なり、更新の必要がない契約になるためです。

 

②契約違反を理由に退去を求める場合

入居者の契約違反がある場合は、違反を理由に契約を解除することが可能です。
具体的には3ヶ月以上の家賃滞納、ペットの飼育、ごみ屋敷化による悪臭、騒音の繰り返しによる迷惑行為などが挙げられます。
入居者と大家さんとの信頼関係の悪化とみなされ、書面での解除通知、その後建物の明渡し請求がおこなわれます。

 

③建物に重大な危険があるため退去を求める場合

建物に重大な危険があって退去を求める場合、正当事由として認められる可能性があります。
たとえば「地盤沈下による建物崩壊」「建物の老朽化による事故発生リスクの上昇」などが挙げられます。
ポイントは、命にかかわる重大な危険性がある場合は正当事由と認められる可能性があるという点です。

 

立ち退き料の決め方・金額相場

立ち退き料の決め方・金額相場

立ち退き料は、「移転先でも不便なく生活を送れる環境」を前提に支払われるケースが一般的です。
金額相場は住居では6ヶ月分程度、事務所や店舗では賃料の1~2年程度が目安になります。
事務所や店舗については初期費用が高いほか、移転することでの売上減少などのリスクもあり、立ち退き料も高額になります。

 

居住用賃貸物件での決め方・金額相場

アパートなどの居住用賃貸物件では、家賃6ヶ月程度を支払うのが一般的とされています。
入居者は以下の3つの費用を支払うことになり、それらを賄うには6ヶ月分程度の家賃が必要だと考えられています。

 

  1. 引越し費用
  2. 移転先の初期費用(仲介手数料、敷金、火災保険、家賃の差額分など)
  3. 通信関係の費用(インターネット接続料、電話など)

 

また、立ち退き料は以下4つの計算方法で求められますが、アパートなどの賃貸物件で使用することは一般的ではありません。
理由は借地権・借家権での価格算出は賃貸物件にあてはまるケースが少なく、入居者もわかりづらいからです。

 

  1. 収益還元方式(差額賃料還元方式)→賃料の差額を一定期間(一般的には2年)補償
  2. 割合方式→借地権割合に応じて借地権価格を算出
  3. 収益価格控除方式→自用した場合と借家の場合の差額から借地権価格を算出
  4. 比準方式→取引事例から借地権価格を算出

 

店舗やテナントでの決め方・金額相場

店舗やテナントの立ち退き料は、賃料の1~2年分程度が相場です。
金額相場にすると、数百万円~数千万円ほどになります。

 

また店舗やテナントは、立地条件によって生じる売上が大きく異なるのが特徴です。
特に飲食店などの店舗では立地の影響を強く受けるため、ほかのケースと比べて立ち退き料が増える傾向にあります。
また、移転先の内装工事や営業保証なども必要になります。

 

オフィスや事務所での決め方・金額

オフィスや事務所の立ち退き料は、貸室の賃料の約2年分が相場です。
店舗に比べ、場所の移転に伴う売上減少リスクが少なく、立ち退き料が下がる傾向にあります。

 

立ち退き料をトラブルなく安く済ませる方法

立ち退き料をトラブルなく安く済ませる方法

貸主としては、あまりもめごとを起こさず、できるだけ費用を安くして終わらせたいものです。
ここからは、立ち退き料を安く済ませる方法を5つ紹介していきます。

 

①入居者が少なくなってからおこなう

立ち退き料は、立ち退く人が少なくなれば安くなるため、入居者が少なくなってからおこなうのが基本です。
新規の募集はストップし、自然退去を待つことで立ち退き料の合計を少なくすることができます。
また店舗や事務所の場合、テナントが退去した際もよいタイミングになります。

 

②定期建物賃貸借契約への切り替えを提案する

定期建物賃貸借契約への切り替えを提案するのも重要です。
入居者に対し、賃料の減額を交換条件に定期建物賃貸借契約の打診をおこないましょう。

 

ただし、2000年(平成12年)3月1日よりも前に契約された住宅の普通借家契約の場合は切り替えが認められていません
これは「定期借家制度施行」によるもので、2000年3月1日以降の普通借家契約や店舗や事務所の契約であれば、お互いの合意のうえで切り替えをおこなうことができます。

 

③代替物件を準備する

移転先の明確な提示があれば入居者の不安が解消され、退去の話がスムーズに進みます。
また、代替物件が近隣にある場合、より費用を抑えることができるでしょう。

 

④賃料の支払いを一部免除する

賃料の支払いを一部免除するのも効果的です。
退去までの賃料を大幅に値下げするなど、入居者のメリットを増やすことで立ち退き料を少なくできる可能性があります。

 

⑤正当な解除事由の有無を確認する

ペットの飼育など禁止事項にあたる行為をしている場合、正当な解除事由にあたります。
立ち退き料を支払うことなく退去してもらえる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

 

まとめ

入居者の権利は法律で守られており、建物の老朽化だけでは正当事由にあてはまらず立ち退きは難しいです。
また立ち退き料はその状況によって変わるものの、アパートなどの住居であれば6ヶ月分程度が目安とされています。

立ち退き料の明確な基準はありませんが「同等レベルの生活を保障する金額+慰謝料(迷惑料)」を含んだ金額が一般的です。
トラブルなく立ち退いてもらえるよう、今回ご紹介したポイントを押さえて各種手続きを進めていきましょう。

 

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