不動産投資のエリアを検討する際、都心部や関西圏など、日本の主要エリアに絞る方も多いのではないでしょうか。
しかし、ある程度まとまって資金がなければ大都市圏への投資は難しいのが現状です。
そこで今回は、大都市圏以外の不動産投資に向いている地域の1つである沖縄県について解説します。
沖縄県の家賃相場やおすすめのエリアなども紹介していきますので、不動産投資をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
押さえておこう!沖縄県の家賃相場と利回り
おすすめできる理由はたくさんありますが、まずは沖縄県の家賃相場と利回りについてまとめましたので、参考にしてみてください。
基本情報・家賃相場
人口 | 145万人(2020年6月時点)今後も増加が見込める |
---|---|
家賃相場(那覇市) | 1R、1K:5.03万円 1DK、2DK:6.46万円 2LDK、3DK:10.73万円 |
賃貸需要 | 高い |
平均年収 | 310万円(那覇市) |
家賃相場が低く、人口増加も見込めるため、大都市だけではなく、沖縄県も不動産投資に向いているエリアといわれています。
利回り
利回り(%) | 価格(万円) | |
---|---|---|
一棟アパート | 9.06 | 6,353 |
一棟マンション | 9.23 | 16,693 |
区分マンション | 10.14 | 927 |
上の表は健美家(けんび)が発表した2023年4月~6月期の収益物件市場動向の四半期レポートを抜粋したものです。
※値は、九州・沖縄地方のものであるため、沖縄県のみの値とは若干のずれがあります。
結論からいうと、沖縄県で不動産投資を行った場合の利回りは、他の都道府県に比べて低めです。
理由は、賃貸家賃が比較的低いこと。
沖縄県は県民所得が低い地域なので、賃貸物件の家賃も低く設定されていることがほとんどです。
さらに、気候の問題により、建築単価が高いことも理由の一つ。
沖縄県の物件の多くは台風・シロアリ被害に強い「鉄筋コンクリート造」です。
鉄筋コンクリート造の物件の建築単価は比較的高いため、物件の購入価格も必然的に高くなります。
不動産投資の利回りは「投資した金額に対して得られる利益の割合」なので、購入価格に対して家賃収入が少ないと、当然に利回りは低い値となってしまいます。
実際、沖縄県には表面利回りが6%以下の物件が多い傾向にあり、高利回りの物件はなかなかありません。
とくに沖縄県の中心地である那覇市は、物件価格の高騰から利回りが低くなっているといわれています。
そのため、沖縄県で不動産投資を行う際は利回りだけでなく、入居率など他の要素も確認して計画を立てることが大切です。
沖縄県での不動産投資をおすすめできる4つの理由
沖縄県での不動産投資がおすすめの理由として、主に以下の 4 つが挙げられます。
- 賃貸需要が高い
- 不動産投資の種類が豊富にある
- 今後も人口の増加が見込まれる
- 観光需要が旺盛
上記について詳しく見ていきましょう。
①賃貸需要が高い
沖縄県は、東京や関西圏などに比べて持ち家比率が低く、マンションやアパートの需要が高いです。
沖縄県が発表しているデータによると、平成30年時点の借家率は49.5%。全国の借家率が35.6%なので、13.9%も高いことが分かります。
ワンルームマンションや1LDKなどの単身者向けの物件はもちろんですが、ファミリータイプの広いマンションや一軒家のニーズも常にあります。
持ち家比率は年収が上がるに連れて高い傾向にありますが、沖縄県の平均年収は全国的に見て低い水準です。
今後、劇的に平均年収が上昇することは期待できないといわれているため、沖縄県の高い賃貸需要は続くといえるでしょう。
②土地の価格が上昇傾向にある
国土交通省が発表している「令和2年都道府県地価調査」によると、沖縄県の住宅地の対前年平均変動率は+4.0%。
他の都道府県はマイナスであることが多く、プラスだとしても0.1〜0.8%の変動率となっています。
この点から、沖縄県の土地の価格は他の都道府県に比べて上昇傾向にあると分かります。
これは「売却時に満足な利益を得やすくなる」という魅力につながるため、沖縄県で不動産投資を行う上で大きなメリットになるでしょう。
③不動産投資の種類が豊富にある
沖縄県は不動産投資の種類が豊富にあります。
費用や立地面などで選ぶ投資法は異なりますが、一般的に以下のような投資方法があります。
リゾートマンション
リゾートマンションの1室を購入し、賃貸収入を得る不動産投資のことです。
一棟投資に比べて少ない資金で始められるので、費用負担が少ないのが特徴です。
コンドミニアム
分譲マンションを購入し、賃貸収入を得る不動産投資のことです。
オーナーが使いたいときは自分で使用し、自分が使わないときは賃貸収入を得られます。
軍用地
軍用地を購入し、国からの借地料を受け取る不動産投資のことです。
軍用地とは米軍基地や自衛隊基地のことを指し、これらの土地も不動産投資として購入することができます。
購入した場合、借主である国から借地料が支払われるため、家賃滞納の心配がありません。
また、管理料や手数料などの諸費用がかからないので、支出を抑えつつ利益を得られます。
民泊運営
旅行客相手に宿泊施設を提供して収入を得ます。
人気が出れば、安定的な収入が見込めるようになります。
駐車場経営
沖縄県は観光が主要産業なので、一定の需要を高い確率で取り込めるのが駐車場経営のメリットです。
トランクルーム経営
収納しきれない荷物の置き場所としてスペースを提供し、利用料金を受け取るという不動産投資の一種です。
沖縄県は高温多湿のため、一定のニーズがあるといわれています。
④今後も人口の増加が見込まれる
沖縄県は、日本で唯一人口が自然増加している都道府県で、2025年頃までは安定的に人口が増加するといわれています。
人口が増加すれば、当然賃貸物件に対するニーズは高いといえます。
⑤観光需要が旺盛
沖縄県は、北海道や京都などと並ぶ日本有数の観光地です。
沖縄県にはさまざまな観光資源があり、当面の間は人気が落ちるようなことはないといえるでしょう。
5つの注意点とは?考えられるリスクやデメリットを確認
沖縄県で不動産投資をするメリットはたくさんありますが、事前に確認しておくべきリスクやデメリットもあります。
- 家賃相場は総じて安め
- 建設やリノベーション費が高くなりがち
- シャワーのみ物件が多い
- 雨や台風、潮風やシロアリ対策が必須
- 沖縄県は車社会
上記5つについて、しっかり確認するようにしましょう。
①家賃相場は総じて安め
沖縄県での不動産投資において、最大のデメリットとなるのが家賃相場。
冒頭の表でまとめましたが、沖縄県の家賃相場は、主要都市と比べると非常に低いため、利回りの高い物件を選ばないと投資資金を回収できなくなるおそれがあります。
②建設・リノベーション費が高くなりがち
沖縄県での建設やリノベーションは、その費用が高くなりがちです。
沖縄県は台風が多く、木造住宅では耐えられないため、鉄筋コンクリートの建物を建てる必要があるからです。
木造住宅に比べ、鉄筋コンクリートの建物は丈夫ですが、その分費用がかさみます。
このように建設費やイノベーション費用が高くなりがちなので、事前に確認するようにしましょう。
③シャワーのみ物件が多い
日本のなかでは珍しく、沖縄県はシャワーのみの物件が多いです。
高温多湿の気候なので、バスタブがなく、シャワーのみでお風呂を済ませる人が多いためです。
シャワーのみの物件が多いことも、事前に確認しておくべきポイントの1つといえるでしょう。
④雨・台風・潮風・シロアリ対策が必須
前述のとおり、沖縄県は高温多湿の気候のため、湿気対策が非常に重要です。
また台風や潮風などもあるため、各種災害対策も必要でしょう。
定期的にやってくる自然災害に備えて、しっかりとした内容の保険に入っておくことも必須といえます。
⑤沖縄県は車社会
モノレールなどの交通網が発達してきましたが、沖縄県での生活には車が欠かせません。
車がないと買い物など非常に不便になりますので、沖縄県で不動産投資をおこなうのであれば、駐車場は非常に重要なポイントになります。
駐車場がないと借り手が集まらない可能性がありますので、しっかり現地調査をおこない、需要を確認するようにしましょう。
おすすめのエリア6選を紹介
ここからは、沖縄県での不動産投資におすすめのエリアについて解説していきます。
- 那覇市
- 名護市
- 浦添市
- 豊見城市
- 糸満市
- 軍用地
上記5つのエリアの特徴を詳しく見ていきましょう。
那覇市
那覇市はいわずと知れた沖縄の主要都市です。
物件の需要が沖縄県のなかでもとくに高く、平均家賃も年々上昇しており、今後も高い観光需要が見込めます。
那覇市には、「那覇新都心」と呼ばれる、市内北部の再開発地区は、大型ショッピングモールや高層ビルもあり、市民の生活に欠かせない施設が揃っています。
さらに那覇国際空港が市内にあるので、国内外へのアクセスもしやすいのが魅力。
また、沖縄県はかつて、鉄道の無い県として知られていましたが、2003年に沖縄都市モノレール線(ゆいレール)が開通し、2020年現在では那覇空港から那覇市内を通り、浦添市内の駅を終着とする路線が運行しています。
市内の交通が発達したことにより、利便性も非常に高まりました。
家賃も年々上昇傾向にあり、特にモノレールの駅近辺は相場が高いことから、不動産投資をする上では安定した経営が見込まれると言えます。
沖縄県での不動産投資を検討するのであれば、まずは那覇市を検討対象に入れるようにしましょう。
名護市
名護市(なごし)は、沖縄本島北部に位置する総面積210.90平方キロメートルの地域です。
沖縄自動車道(高速道路)を経由した場合、那覇空港から約1時間でアクセスできます。
そんな名護市の特徴は、名護岳や嘉津宇岳(かつうだけ)、さらにはブセナビーチやカヌチャビーチなど、緑と海に囲まれた立地であることです。
自然が豊かなので、この地で不動産投資をすれば非日常的な空間を求める観光客からの宿泊需要が大いに見込めます。
浦添市
浦添市は、那覇市に隣接したベッドタウンです。
浦添市から那覇市までは車で20分ほどであり、非常に便利なエリアになります。
58号線、330号線、パイプラインといった大きな道路が通っているので、那覇市だけでなく県内を車で移動するにはとても便利な地域です。
2019年には大型ショッピングモールがオープンしたことや、モノレールが延伸化されたことで、生活するにも非常に便利な地域になりました。
ファミリー層だけではなく都心に通勤・通学する単身者にとっても、生活しやすい環境が整ったエリアだと言えるでしょう。
豊見城市
豊見城市は、那覇市の南側にあるエリアです。
国道331号線を経由した場合、那覇空港から約20分でアクセスできます。
豊見城市の特徴は、観光地として定着しつつあるところです。
那覇空港から短時間でアクセスできる上に、「瀬長島ウミカジテラス」や「DMMかりゆし水族館」などの観光スポットもあるため、観光客だけでなく地元民も多く訪れます。
この点から、豊見城市で不動産投資を行えば宿泊施設・賃貸物件としての需要を大いに得られると考えられます。
糸満市
糸満市は、将来を見据えた投資をおこなうのであれば非常におすすめのエリアです。
糸満市は沖縄最南端に位置し、「ひめゆりの塔」でも有名なエリアになります。
1R・1Kの平均家賃は3.97万と、都心部に比べると1万円ほど下がりますので、投資しやすいのが特徴です。
2019年から2020年の地価変動率は16.33%と、非常に高い数値であることから、今後も上昇が期待されます。
今後沖縄モノレールが糸満市まで延長される可能性もありますので、今後を見据えた投資をするのであれば非常におすすめのエリアといえるでしょう。
軍用地
軍用地は、沖縄ならではの投資手法になります。
軍用地は一般の人でも買うことができ、借主である国から安定的なインカムゲインを得ることが可能です。
競争率が比較的高いという特徴があるものの、もし購入することができれば安定的な収益源となるでしょう。
沖縄県での不動産投資を成功させるためにオーナーがやるべきこと
沖縄県での不動産投資を成功するためにやるべきことはいくつかありますが、とくに以下の6つを意識して行動してみてください。
- 必ず現地に足を運ぶ
- 複数の不動産投資会社を比較して選ぶ
- 利回りを最重視して選ぶ
- 分散投資をする
- 新築や狭いワンルーム物件を避ける
1つずつ見ていきましょう。
必ず現地に足を運ぶ
沖縄県の不動産投資を成功させるためには、最初の1回のみではなく定期的に現地へ足を運ぶようにしましょう。
沖縄県は目まぐるしく変化している地域であり、災害なども多いエリアなので、実際に見ないとわからないこともたくさんあります。
移動が大変になるかもしれませんが、こまめに足を運び、土地勘や街並みなどをチェックしてみましょう。
複数の不動産投資会社を比較して選ぶ
沖縄県の不動産投資に限った話ではありませんが、不動産投資をおこなう際は、必ず複数の不動産投資会社を比較して選ぶようにしましょう。
複数の不動産投資会社を比較することによって、よりよい物件を見つけられる可能性が高まります。
利回りを最重視して選ぶ
沖縄県は、首都圏や関西圏、名古屋間などに比べると家賃相場が安いため、利回りを重視しないと採算が合わなくなってしまう可能性があります。
ただし、需要が非常に高い那覇市ではキャピタルゲインをねらえる可能性もありますので、多少物件価格が高くても投資する価値はあるかもしれません。
分散投資をする
沖縄県は、台風などさまざまな自然災害が想定されます。
1つの物件に集中して投資してしまうと大きなリスクになってしまうので、なるべく分散投資を心がけ、トータルでの資産を守るようにしましょう。
新築や狭いワンルーム物件を避ける
沖縄県は、比較的広い賃貸物件の需要が高く、ワンルームのような狭い物件は避けたほうが無難です。
また新築物件は価格が高騰しており、採算が合わなくなってしまうおそれがあるため、なるべく中古物件を検討してみましょう。
駐車場がある物件を選ぶ
沖縄県は国内有数の車社会です。ゆいレール(モノレール)が通っているもののその範囲は限られているため、地元民の多くは車で移動します。
この点から、沖縄県を舞台にした不動産投資を成功させるには「駐車場」が必須になるといえます。
車を停められるか否かで物件の需要が大きく変わってくる可能性があるため、駐車場がある物件を選ぶ、もし駐車場がなければ新設するようにしましょう。
記事まとめ
今回は、沖縄県の不動産投資について詳しく解説しました。
沖縄県は、家賃相場は低いものの、今後も価格の上昇が期待でき、賃貸事業も非常に旺盛な地域です。
投資対象として非常に魅力的なので、不動産投資に興味ある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。