日本は世界でも有数の「少子高齢化が進んでいる国」です。
暮らしの中で実際に少子高齢化の波を肌で感じている人も多いでしょう。
しかし、将来私たちにどのような影響を与えることになるのか、しっかりと把握している人はどのくらいいるのでしょうか。
今回は少子高齢化において提起されている問題の1つ「2040年問題」について、その概要や弊害、2040年問題を生き残る方法について解説します。
目次
「2040年問題」とは?
国立社会保障・人口問題研究所は2015年国勢調査をもとに行った全国将来人口推計によると、2040年には第2次ベビーブーム世代が65歳以上の高齢者層に入ること、そして高齢者人口(65歳以上)が約4,000万人となりピークに達することが予想されています。
2040年における日本の推計人口に対し、高齢者層が34.5%~36.2%を占めることになり、社会保障制度の維持などさまざまな問題点が発生することは確実視されています。
これが「2040年問題」と呼ばれるものです。
2025年問題との違い
2025年問題とは国民の約3割が高齢者となり、さらに第1次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれた団塊世代が75歳以上の後期高齢者になることで起こる社会問題の総称。
やはり、原因は2040年問題と同じく超高齢化社会の進行と人口減少であり、労働力不足や経済成長の鈍化、医療や介護の負担増加が懸念される点も共通しています。
しかし、大きな違いはその深刻さと社会に及ぼす影響の大きさです。
2025年は高齢者人口増加の「過渡期」、一方で2040年は「ピーク」
2025年は、まだ高齢者人口増加の過渡期にすぎません。
しかし、65歳以上の高齢者人口と75歳以上の後期高齢者人口はその後も増加の一途をたどり、2040年にピークを迎えると予測されています。
有効な対策を施さなければ、2040年には多くの問題がさらに深刻化するでしょう。
2025年は社会保障の「費用の不足」、一方で2040年は「持続可能性」が大きな問題に
2025年問題では社会保障費の「不足」が大きな問題ですが、2040年問題では社会保障制度の持続可能性つまり「継続自体」が危惧されています。
解決するためには社会保障費の給付と負担の見直しなどの抜本的な改革、健康寿命の延伸、医療・介護サービスの生産性向上などが必要であると言えるでしょう。
2040年問題が引き起こす弊害
2040年問題により、以下の2つの弊害が引き起こされると考えられます。
- 社会保障費の増大
- 労働者人口の減少
それぞれ詳しく説明しましょう。
社会保障費が増大する
厚生労働省が2040年を見据え平成30年に公表した「社会保障給付費の見通し」は、以下のようになっています。
社会保障の内訳は、年金・医療・介護・子ども子育て・その他の5つです。
これまでの実績 | 今後の見通し | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
年 | 2000 | 2005 | 2010 | 2015 | 2018 | 2025 | 2040 |
高齢者数 (万人) |
2,204 | 2,576 | 2,948 | 3,387 | 3,561 | 3,677 | 3,921 |
社会保障給付費 | 78.4兆円 | 88.6兆円 | 105.4兆円 | 114.9兆円 | 121.3兆円 | 140.2~140.6兆円 | 188.2~190.0兆円 |
対GDP比 | 14.8% | 16.9% | 21.1% | 21.6% | 21.5% | 21.7~21.8% | 23.8~24.0% |
出典:「今後の社会保障改革について-2040年を見据えて-」|厚生労働省
2040年には高齢者人口がピークを迎えることから、社会保障給付費として190兆円が必要になると予想されています。
この数値は2040年におけるGDP(国内総生産)に対して、24.0%に値するものです。
これまでに比べると、2018年2018年~2040年にかけて高齢者数の増加率は緩やかになるものの、高齢者の総数は40年間で約2倍に達すると推定されます。
高齢者の社会保障給付費を支えるためにも、生産年齢者の社会保障費の負担はさらに大きくなるでしょう。
労働者人口の減少
次に、65歳以上の人口の変化に対し、就業者数がどのように推移していくのかを見てみました。
2018年 | 2025年 | 2040年 | |
---|---|---|---|
65歳以上人口 (万人) |
3,561 | 3,677 | 3,921 |
就業者数 (万人) |
6,580 | 6,350 | 5,650 |
出典:「今後の社会保障改革について-2040年を見据えて-」|厚生労働省、「日本の将来推計人口(平成29年推計)」|国立社会保障・人口問題研究所
2018年~2040年では高齢者人口が400万人(約1.1倍)増えているにもかかわらず、就業者数は930万人(約0.86倍)減少となることが予想されています。
日本の社会を維持していくためにも、ますます増加の見込まれる高齢者数に対し、労働者人口の確保は深刻な課題だといえるでしょう。
2040年問題を回避するために政府が行っている政策
2040年問題がもたらす課題を克服すべく、日本政府はすでに以下のような施策を行っています。
消費税の増税
重要な働き手である現役世代の社会保障を充実・安定させるために、国は2019年10月に消費税率を8%から10%へと引き上げました。
これは基本的に子ども・子育て分野に充当されています。
社会保障制度の見直し
子ども・子育て分野の手当や制度の充実に加え、医療保険や年金に関わる社会保障制度も見直されました。
介護保険1号保険料の軽減、年金生活者支援給付金制度の創設などをはじめ、社会保険制度が改善され、さらにこれらの負担軽減や給付等による社会保障を持続していけるように、国が努力をしています。
定年退職年齢の引き上げ
2040年問題の中でも最大の課題といわれているのは「現役世代・労働者人口の減少」です。
別の側面から見ると、近年は食の変化や医療の進化により「高齢者の若返り」が見られ、年齢が上がっても就業し続ける、意欲のある高齢者が増えてきているという事実もあります。
そこで、定年退職年齢の引き上げや、就労・社会参加の環境を整備するなど、高齢者の活躍の場を広げ、労働者人口を確保するための取り組みが積極的に進められています。
医療や介護サービスの生産性向上
少子高齢化のピークを迎える2040年に向けて、医療や介護・福祉の現場において必要とされるサービスが適切に確保されるためにも、ロボットやAIの実用化が検討されているのです。
また、要介護者が増えると共に介護者人口の増加も急務な課題です。
そこで、シニア層が看護助手として活躍できる環境を整える方策も検討されています。
将来どう生き残る?自分でできる対策とは?
ご紹介したように、2040年問題に対して国はすでにさまざまな施策を実行・検討しています。
しかし、未来についての予想は「必ず」その通りになると断言できるものではありません。
地球温暖化や昨今の新型コロナウィルス感染症の蔓延など、他の要因によって国の描いている未来のビジョンが大きく変わる可能性もあるのです。
2040年問題を生き残るためには、結局のところ、自分でもできる以下のような対策をしていくことが重要となってくるでしょう。
健康寿命を延ばす
何事も、やはり体が資本です。
人生100年時代ともいわれていますので、なるべく長く働けるように、健康寿命を延ばす努力がポイントとなります。
高齢者になった後の人生も長いはずです。
健康に気をつかい、自分で生活費を稼ぎ、誰に遠慮することなく楽しく生きていけるようにしたいものです。
自己資産を増やす
2040年問題に備えて、以下のような方法で今から自己資産を少しずつ増やしていきましょう。
- 日常的に無駄な出費を減らし貯金に回す
- ネットビジネス等の副業をする
- 株式投資
- 不動産投資
それぞれについて詳しく解説していきます。
日常的に無駄な出費を減らし貯金に回す
自己資産を増やす前に、現在かかっている生活費を見直し、支出を減らすことも大切です。
特に食費・光熱費・交際費などは減らしやすい項目でしょう。
ネットビジネス等の副業をする
身近なネットビジネスでは「アフィリエイト」や「せどり(転売)」などがあります。
ネットオークションやブログなどは、利用したり読んだりするだけの人も多いかもしれません。
これらのネットビジネスは、重い腰を上げてその気になれば、比較的短期間で収益をあげられます。
株式投資
株主優待や配当をもらえるのが、株式投資のメリットです。
株式の銘柄を厳選する必要があり、失敗するリスクもありますので、ハイリスク・ハイリターンな投資方法だといえるでしょう。
不動産投資
中古ワンルームマンションなど手頃な価格の収益物件を購入し、賃貸に出して家賃収入を得るという資産形成の方法です。
ご紹介した自己資金を増やす方法の中でも、ミドルリスク・ミドルリターンな「不動産投資」がおすすめです。
将来のためにも、マンション経営を考えてみよう
2040年問題に太刀打ちするための有効な方法の1つとしてマンション経営を紹介します。
現役の間にローンを返し終えれば、老後は家賃収入を得ることで減少した年金の補填でき、豊かな老後生活ができる可能性が高まります。
ここでは、マンション経営のメリットとデメリットについて少し紹介します。
マンション経営のメリットとデメリット
区分マンションをはじめとするマンション経営では、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【マンション経営のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
---|---|
・比較的収入が安定している ・保険の代わりになる ・節税効果あり ・少ない自己資金で始められる ・手間がかからない |
・空室リスク ・家賃滞納リスク ・災害リスク ・修繕費を準備しておく必要がある |
賃貸物件への入居者は通常年単位で入居し続けるため、大家側は比較的安定した収入を得られます。
ローン完済後は家賃収入のみが残りますので、老後の生活費も安心です。
投資なので、いくつかのリスクはもちろんありますが、2040年問題対策にもじっくり取り組める資産形成の方法だといえます。
記事まとめ
65歳以上の高齢者数のピークを迎えることにより、さまざまな弊害が引き起こされることも予想される「2040年問題」。
乗り切るためには、国による施策だけに頼らず、自身でも自己資金を貯めていくことが重要でしょう。
不動産投資では管理会社に管理を任せられますので、初心者でも無理なく始められる資産形成の方法だといえます。
自分に合う方法で自己資金を作っていき、2040年問題を乗り切りましょう。
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