IRR(内部収益率)とは?計算方法や活用するメリット、注意点を解説

不動産投資をはじめる際、「IRR」という金融用語を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
一般的に、「IRRの数値が高いほうが効率良く収益を上げることができる」といわれています。

今回はIRRの概要や具体的な計算方法について解説します
また、IRRが高い物件の特徴も紹介していきますので、不動産投資に興味がある人はぜひ参考にしてください。

IRR(内部収益率)とは?

IRR(Internal Rate of Return)とは「投資額に対する収益率」のことであり、投資物件の収益性を評価するための要素の1つといわれています。
IRRは「得た収益を再投資する」ことを前提としており、さらに以下のような特徴をもっています。

 

時間的価値を考慮するのがポイント

投資対象の収益性を知るための要素はほかにもいくつかありますが、IRRならではの特徴として、「計算の際に時間的価値を考慮する」という点が挙げられます。
時間的価値とは、将来の利益から現在の価値を差し引いた価値のことを指す言葉で、満期までの長さや原資産価格の変動性(ボラティリティー)の大きさなどによって変わっていきます。

 

利回りとの違い

IRRと利回りはともに初期投資とキャッシュフローを考慮します。
両者は似ているように見えるかもしれませんが、実際にはまったく異なる性質をもっています。

 

IRRと利回りの違いは、「時間的価値の考慮を含めるか含めないか」です。
利回りは投資期間に左右されず、いつ収益を得ても物件の価値に変化はあらわれません。
一方、IRRの計算では収益の再投資が前提となっていることから、リターンが早ければ早いほど物件の価値は高いと判断されます。

 

IRRを出す際に重要な項目

IRRをより具体的に説明すると、以下のようになります。

 

「ある一定の期間が経過したときに得られるキャッシュフロー」・・・①(将来価値)

   ↓

①を現在の価値に換算する・・・②(PV:現在価値)

   ↓

②から初期投資額を差し引く・・・③(NPV:正味現在価値)

   ↓

「③=0」となるような割引率・・・④(IRR)

 

投資案件のIRRを計算する際には、以下の3つの項目が大きくかかわってきます。
1つずつ説明していきましょう。

 

「現在価値」と「将来価値」

IRRの計算では、将来得る予定のキャッシュフローを現在の価値(PV)に換算します。(上記②)
これは、現在と将来の間に利息や税金なども考慮する必要があり、結果的に現在と将来のお金の価値は異なるとみなされるためです。

 

初期投資額

投資をはじめる際にかかる費用を「初期投資額」といい、お金の価値を正確に測るためにはこの初期投資額も含めて考える必要があります。
ここで算出されるのが「正味現在価値(③)」であり、NPVとも呼ばれています。

 

ちなみに、初期投資額はその性質上、差し引かれることになるので、その数値には「マイナス」がつくことも覚えておきましょう。

 

割引率

「現在価値」と「将来価値」の違いにおいて、時間の差で生まれた利息分や税金などを出すときに用いるのが「割引率」です。
上記では「正味現在価値(③)=0」とあらわされていますが、つまりは「初期投資額と正味現在価値(③)が同じになる割合=IRR」となります。

 

IRRの計算方法

IRRの計算に重要な3つの項目を説明しましたが、これらを使って実際に計算をしてみましょう。
IRRを求める計算式は以下のとおりです。

 

引用:ファイナンス用語集|みずほ証券×一橋大学

 

上記の「r」がIRRで、このrを求める計算をしていくことになります。
ご覧のとおり分数の計算であり、「t:投資期間」が長くなるほど複雑な計算になっていきます。
しかし、比較的簡単にIRRの計算をする方法があるのです。

 

ExcelやGoogleスプレッドシートで簡単に計算できる

IRRの計算は一見複雑に見えますが、ExcelやGoogleスプレッドシートなど表計算ソフトやアプリの「IRR関数」を使えば、誰でも気軽におこなうことができます。
以下の区分マンションを例に挙げてそれぞれのIRRを比較してみましょう。

 

物件A:区分マンション/物件価格1,500万円、家賃月額5.5万円(年間家賃収入66万円)、表面利回り4%
物件B:区分マンション/物件価格1,000万円、家賃月額4万円(年間家賃収入48万円)、表面利回り4.8%

→ともに丸5年運用後に購入価格の80%の価格にて売却する。

 

IRR関数では、IRRの計算結果を表示させるセルに「=IRR(範囲, [推定値])」を投入します。
また、下表のAのIRRを表示させるセルのように[推定値]は省略することも可能です。
この場合は、IRR関数の計算結果に近い数値が算出されます。

 

 

2つの投資案件のIRRを算出してみると、Aは0.37%、Bは0.74%となり、Bのほうがより効率的な物件であると判断することができます。

 

 

IRRを活用するメリットは?

表計算ソフトやアプリを利用すれば自分で簡単にIRRを知ることができます。
その計算結果を有効活用することにより、以下の2つのメリットを得ることが可能です。

 

さまざまな種類の金融商品を比較できる

先ほどご紹介したIRRの計算式は、不動産投資だけでなく、定額貯金といった運用期間が関係する金融商品にも活用できます
複数の投資商品を並べてそれぞれのIRRを比較することで、より高い収益率の投資案件を選択する材料となります。
どんな投資をすればいいか悩んでいるという人は、IRRを参考にして投資する対象を決めましょう。

 

投資においての重要項目を網羅している

IRRは、ほとんどの投資に共通して重要な項目となる「初期投資額」「保有期間中のキャッシュフロー」「売却価格」という3つを考慮しています。
とくに「保有期間中のキャッシュフロー」は重要です。

 

たとえば不動産投資では、空室発生や大規模改修など、キャッシュフローは毎年変動します。
不動産や株式など、保有期間中に収支が大きく動く可能性のある投資案件を比較する際に、IRRは有効です。

 

【注意】投資規模(収益額)がわからない

IRRを活用する際には、「投資規模(収益額)が把握できない」ということに注意しましょう。
IRRの計算では全投資期間の「総収益率」はわかりますが、具体的な「収益額」は算出されません。

 

そのため、収益額の大きな案件を見逃す可能性もあることを認識し、IRRとともに収益額についてもきちんと計算して把握することが大切です。

 

IRRの高い物件とは?

ここからは、IRR(収益性)が高い物件の特徴をご紹介します。

 

早期にキャッシュフロー(利益)を得られる

IRRの高い物件を選択した場合、早期にキャッシュフロー(利益)を得ることができます。
投資物件は構造別に法定耐用年数が決まっているので、築年数の経過した物件ほど減価償却を短期間でおこなうことができるようになります。

 

高値で売却しやすい

将来のキャッシュフローには「売却価格」も含まれ、IRRの計算に大きく影響します。
よって、IRRの高い物件は売却価格が下がりにくい傾向にあり、結果的に高値で売却しやすくなります。
また、駅近の物件であれば価格が上がる場合もあるので、あえて売却せずに所有し続けるかたも少なくありません。

 

リスクは高めになる場合が多い

IRRには「エクイティIRR(初期投資=自己資金のみ)」と「プロジェクトIRR(初期投資=借入金+自己資金)」の2種類があります。
IRR不動産投資のIRRは、前者のエクイティIRRを用いて計算するのが一般的です。

 

エクイティIRRの計算では、借入金の割合が多くても自己資金の部分のみを反映させるので、ローンの割合が高く、レバレッジ効果が大きい場合でもIRRは高くなります。
現実的に考えれば、フルローンに近い状態はリスクが高いといえるので、借入金を含めて計算するプロジェクトIRRも参考にして、投資全体の収益率も知っておきましょう。

 

まとめ

不動産投資で失敗しないためには、投資対象となる物件の「収益率」がどのくらいなのか知っておくことが大切です。
IRRの高さがその指標となりますので、まずは今回ご紹介したような物件の特徴を押さえて投資物件の候補を挙げましょう。
そして、それぞれのIRRを計算し、比較検討してみてください。

 

初期投資額におけるローンと自己資金の割合は、収入により異なります。
自分の資金計画に合った物件を選択する際にも、IRRの比較が有効です。

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