マンション投資を検討しているとき、仮に運用がうまくいかなくなった場合はオーナー自身がその収益物件に住もうと考えることがあります。
投資用マンションへオーナーが自分で住むことは、果たして可能なのでしょうか?
今回は、シンプルながら誰もが気になるこの疑問について解説していきます。
目次
そもそも投資用マンションに住むことはできる?
投資用マンションも住宅の1つではありますので、オーナー自身が住むことは可能です。
ただし、いくつかの面で以下のような問題が発生します。
不動産投資ローンは金利が高く、自分で住むと損をする
オーナー自身が投資用マンションに住んだ場合に、資金計画的に損をするのは、アパートローンなどの不動産投資ローンを利用しているケースです。
通常の住宅ローンに比べて、不動産投資ローンの金利は高めに設定されているのが一般的です。
そのため、実際に住むことになると、高い金利のローン返済を続けていかなければならなくなります。
住宅ローンとして組み替えるのは非常に難しい
不動産投資ローンを通常の住宅ローンに借り換えすればよいと考える人も多くいますが、これは契約上なかなか難しいのが現状です。
たとえば1Rの場合、住宅ローンの審査基準にある最低床面積に達しないこともあり、住宅ローンへの申請自体ができないケースも少なくありません。
自分が住むため入居者に退去してもらうことはできない
投資用物件が空室でないにもかかわらず、オーナー自身がその物件に住みたくなった場合はどうなのでしょうか?
入居者の居住権利は「借地借家法」という法律で守られていますので、オーナーの都合で入居者を追い出すことはできません。
法律上だけでなく、モラルにも反している行為だといえるでしょう。
投資用マンションに自分で住むのはデメリットが多い
賃貸物件にオーナー自らが居住することは、デメリットのほうが多いです。
代表的なものでは、以下の3点が挙げられます。
家賃収入が入らなくなる
投資用物件を所有していても、居住者は自分ですので家賃収入は当然なくなります。
ローン返済が完了していれば資金的に問題はありませんが、仮にローン返済中の場合では、高いローン金利や修繕費用の積み立てなどの支払いに悩んでしまう可能性が高いです。
税負担が増える
投資用マンションなどで得た年間の家賃収入が20万円を超えると、不動産所得として翌年の2月~3月に確定申告を行う必要があります。
その際に、管理費・固定資産税・設備の減価償却費・ローン金利などを、不動産所得を得るための経費として計上することが可能です。
また、ほかに給与所得がある場合は、不動産投資で出た赤字を損益通算できますので、さらに節税となります。
しかしその投資用物件に自分で住むと、物件を維持するための費用を経費として計上できなくなりますので、税負担が増えることになってしまいます。
ちなみに、不動産投資ローンを組んで収益物件を購入した際には通常の住宅ローンに組み替えない限り、住宅ローン控除の適用にもなりません。
不動産投資ローンから住宅ローンへの組み替えは、前述の通り非常に難しいのが現状です。
設備に物足りなさを感じる場合もある
「お風呂にミストシャワーをつけたい」「海外製のガステーブルを設置したい」など、マイホームとして購入するマンションへは自分のこだわりを詰め込んでしまいがちです。
一方、投資用として購入する物件では、できるだけ質素な部屋にしたいと考える人も多いです。
賃貸用物件のキッチンや浴室・洗面台・エアコンといった大型設備、壁紙やフローリングなどの内装などについて、グレードを下げたものを選ぶことがほとんどでしょう。
多くの入居者は設備のグレードの高さよりも、駅への近さや周辺の環境、日当たりなどを賃貸物件に求めます。
このように需要と供給が合っていれば問題はありませんが、オーナー自身が住むとなると、設備のグレードに満足できない部分が出てくることが予想されます。
投資用マンションに自分で住むのは最終手段
「収益物件に初めから自分で住む」というケースはさまざまな面でデメリットが多いため、実際に住んでいる人はそれほど多くはありません。
たとえば、数ヶ月後に転勤が決定している場合など、限られた状況の場合であれば選択肢の中に入ることもあるでしょう。
そのため、投資用マンションに自分で住むという方法は、最終手段として考えておくのがよいでしょう。
ただし、自分で住むことを前提に投資用物件を探すと、設備費用が余計にかかってしまいます。
まずは、いかに投資物件として軌道に乗せるかを考えるようにしましょう。
まとめ
投資用物件に自分で住むことは可能ですが、家賃収入がなくなる、節税ができなくなるなどのデメリットを考えると、あまり賢い選択とはいえません。
長期間の運用で家賃収入を得ることができた事実があり、十分に投資用物件としての役目を果たした後に自分が住みたいと思っていればそこに住むという流れがベストです。
まずは、いかに投資物件として軌道に乗せるかを考えるようにしましょう。