相続した不動産を売却するときの注意点は?

相続した不動産を売却するときの注意点

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一戸建てやマンション、商業用の建物など、財産として所有する不動産を相続する場合、所有者から自動的に相続が行われるわけではありません。不動産を売却して現金化したいと考えている場合、事前にいくつかの準備が必要です。

ここでは、相続した不動産を売却する際の注意点を3つ紹介します。

注意点1. 相続登記を行わなければ正式に相続できない

不動産を所有している人が亡くなると、新たに相続する人は相続登記(所有権移転登記とも呼ばれる)と呼ばれる手続きを行わなければなりません。民法第882条では、相続は所有者の死亡によって開始するものと規定されています。[注1

ここで不動産などの相続財産を亡くなった人の名義のままにしていると、その土地や建物は亡くなった人のもののままです。相続の権利が得られたからといって、勝手に売却することはできません。

遺言書で相続者の指定がされていれば、その内容にしたがって相続を行いますが、特に指定がなければすべての相続人に所有権が移転することになるので、相続登記の手続きが必ず必要になります。

相続登記は、法定相続分にしたがって取得した不動産に関する権利を公にするため、法務局に登録する手続きのことです。期限は設けられていませんが、不動産を売却・第三者に貸し出す・担保にして融資を受けるといったケースでは、必ずこの手続きを踏むことになります。

財産には不動産以外の預貯金・負債なども含まれ、財産や負債がいくつも重なると手続きが繁雑になる場合も。被相続人の財産状況を調査し、基礎控除額を超過していないかチェックしなければなりません。

さらに登記には戸籍のほか、固定資産評価証明書や法務局に提出する書類を作成しなければならないので、自分ですべての財産を把握しきれない方は、司法書士などに手続きを依頼すると良いでしょう。

[注1e-Gov:民法 第八百八十二条

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3323

注意点2. 相続した不動産には税金がかかる

相続税の対象とならない財産としては、相続した財産の合計額のうち一人あたり500万円までの額、墓所・仏壇・祭具・寄付した財産などが含まれます。それ以外については相続人が共有した状態で受け継ぎます。

共有で引き継ぐため、相続人に遺産を分配するには遺産分割をする必要があり、誰かが代表して相続する場合も必ず法で定められた相続人に同意をとらなければなりません。

不動産を売却した後は、不動産の所有期間や用途に応じて、譲渡所得税というものが課せられます。建物と土地はそれぞれ別にして所有期間が計算されますが、いずれにしても課税の必要があります。

不動産はそれ自体が現金のように簡単に分割できるものではないので、相続人が二人しかいなくても容易に分けられないものです。そこで売却という手段が選択肢の一つに入ってくるのですが、この譲渡所得税の問題も含めて、不動産の相続を受ける際には被相続人全員で話し合いを行う必要があります。

もしも相続人のうち誰かが一人でも反対していたら、勝手に売却することはできません。土地であれば「持分」と呼ばれる細かな区画に分けて売却に賛成する人だけが持分を売ることもできますが、居住用住宅の土地のように限られた一つの土地を区分けしてもそこだけが売れるとは限らないため、あまり現実的な方法ではありません。

事前に相続人が遺産分割協議を行い、不動産を残す場合は誰が管理するのか、どのようなスタイルで相続していくのか、分割をどう進めていくかなどを細かく話し合うことが大切です。

注意点3. 残債の残っている不動産に要注意

住宅ローンなどの残債が残っている不動産を相続するケースでは、その不動産に「抵当権」と呼ばれる権利が設定されています。

これは債権者である金融機関が設定するもので、お金を返しきれない場合金融機関は抵当権を実行し、その不動産を競売にかけることができるのです。金融機関にとっての、貸したお金が返ってこないリスクに備えるための手段とも言えます。

抵当権が付いている状態で不動産を売却することは難しいため、なんらかのかたちで抵当権を抹消しなければなりません。一例として、債権者と交渉をして不動産を売却する「任意売却」や、不動産を売って得られたお金でローンを支払い終える「通常売却」などがとられます。

住宅ローンを返済中にもかかわらず所有者が亡くなり、被相続人に不動産の所有権が移った場合、まず売却を検討する前に不動産の価値を把握しなければなりません。売却代金がどの程度になるかを把握すれば、その代金でローンが完済できるか否かのめどが付きます。

不動産の査定は不動産会社に依頼するのが一般的です。複数の不動産会社をあたり、見積もりを複数とりながら比較検討し、売却価格の相場を把握します。被相続人が複数いる場合は、遺産分割協議の前に不動産の査定とローンの完済について話し合い、順序良く進めていくようにしましょう。

売却前から準備を進めていくことが大切

「不動産の売却」といっても、財産や負債がどの程度の規模で被相続人は何人いるのか、住宅の場合は残債の有無、土地であれば持分について考えなければなりません。

同じ不動産でも所有者の状況や所有期間によって状況は変わりますし、売却までに準備するべきことも異なります。まずは現状をしっかりと把握し、司法書士や不動産会社などのプロのアドバイスも参考にしていくことをおすすめします。

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