日本では一定の売上げがある場合、消費税が課せられる仕組みになっており、納税の義務を負う決まりになっています。 では家賃収入のある物件を所有している場合、消費税を支払う義務はあるのでしょうか?
ここでは家賃収入に消費税がかかるのかどうかといった基本的な情報をはじめ、消費税が発生する金額や税の計算方法、納税方法など、家賃収入のある物件を所有している方が知っておきたい情報をまとめました。
目次
家賃収入に消費税がかかるかどうかは用途によって異なる
せっかく家賃収入を得ても、納税額が大きければ収入が大幅に減ってしまうので、家賃収入付きの物件を所有している方にとって消費税がかかるかどうかは非常に重要な問題のひとつです。
結論から言うと、家賃収入に消費税がかかるかどうかは物件の用途によって異なります。 家賃収入のある物件は人が住むための住宅用として利用されるケースと、企業などが事業のために利用するケースの2つに分類されます。
このうち住宅用物件は家賃収入の額にかかわらず非課税となるため、所有者が消費税を納める必要はありません。 一方、事業用物件は課税対象となり、家賃収入の額に応じた消費税を納める必要があります。
事業用物件でも売上高が1,000万円未満の場合は非課税になる
家賃収入のある事業用物件は課税対象になると説明しましたが、実は収入額によっては非課税になるケースもあります。
日本では課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税事業者と認定され、消費税を納める義務が発生します。そのため、家賃収入のある事業用物件から得られる金額が1,000万円に満たない場合は非課税となり、消費税はかかりません。
家賃収入の消費税はどのくらい納めればいいの?計算方法を紹介!
年間の家賃収入が1,000万円を超えた場合は、売上高から算出した消費税額を国に納めることになります。 消費税の計算方法には通常のものと、簡易課税制度を適用した場合の2つがあります。
通常の消費税の計算方法
家賃収入にかかる消費税額から、実際の仕入等にかかった消費税額を差し引いて納税額を求める計算方法です。 具体的な計算式は課税期間の課税売上高×8%-課税期間の課税仕入高×8%となります。
たとえば課税売上高が1,500万円で、課税仕入高が800万円だった場合、1,500万円×8%-800万円×8%=56万円を消費税として納めることになります。
この方法では実際の仕入に係る消費税を分類・集計しなければならないため、家賃収入が一定額より少ない場合は、次に紹介する簡易課税制度を利用するのが一般的です。
簡易課税制度を利用した計算方法
簡易課税制度とは、課税売上にかかる消費税に対して一定割合を支払ったものとみなした上で納税額を導き出す計算方法です。この一定割合を「みなし仕入率」と言い、事業内容によって6種類に区分されています。
家賃収入のある事業用物件の運用は第6種事業の「不動産業」に分類され、みなし仕入率は40%と定められています。 これをもとに、簡易課税制度を利用した消費税額の計算式をまとめると、課税期間の課税売上高×8%-課税期間の課税売上高×8%×40%(みなし仕入率)となります。
先ほど挙げた例で計算すると、1,500万円×8%-1,500万円×8%×40%=48万円を消費税として納めます。比較するとわかる通り、課税売上高が同じでも、簡易課税制度を利用した方が納税額は少なくなります。
さらにみなし仕入率の適用によって、仕入に係る消費税の分類・集計の手間が省けるため、事業者にとっては一石二鳥。 ただ、簡易課税制度を利用できるのは前々年度の課税売上高が5,000万円以下であり、かつ適用する課税期間の開始日の前日までに届出をする必要があります。
消費税の納税には確定申告が必要
家賃収入のある物件に係る消費税を納めるには、確定申告を行う必要があります。確定申告には簿記の必要がない白色申告と、簿記が必要な青色申告があり、任意で選ぶことができますが、後者の場合は税金の控除を受けられるというメリットがあります。
控除額は簿記の仕様によってさらに2つにわかれており、現金式簡易簿記なら10万円、複式簿記なら65万円の控除が適用される仕組みになっています。 初めての方はシンプルな白色申告の方がスムーズに手続きできますが、控除のメリットが大きいので、消費税額が大きい場合は青色申告を行うことをおすすめします。
なお、確定申告は課税期間の翌年の2月16日~3月15日の間に行う必要があります。 最近は国税庁のホームページで確定申告の書類を作成し、電子文書として提出する方法もありますが、わからないことがあったら税務署で相談した方が良いでしょう。
事業用物件の家賃収入が1,000万円を超えたら消費税がかかる!
事業用物件の家賃収入が1,000万円を超えた場合、物件所有者は課税売上高から算出した消費税を支払う義務を負うことになります。
簡易課税制度や青色申告を利用すれば消費税を節約することができるので、積極的に活用しましょう。 わからないことがあったら税務署か、または物件の管理会社に問い合わせてみることをおすすめします。