賃貸マンションのオーナーにとって、大きなリスクとなるのが空室です。
退去者が出た後、新しい入居者がなかなか決まらないと、空室の期間が長引いてしまいます。賃料をアパートローンへの返済に回している場合は、空室の増加で返済が滞りかねません。
本ページでは、賃貸マンションオーナーの方に役立つ10の空室対策を解説します。空室が増えるときの原因も解説するため、入居率を上げたいと考えているオーナーの方はご参考になさってください。
目次
賃貸マンションで空室が増えてしまう原因
賃貸マンション・賃貸アパートで空室が増えてしまう原因を解説します。まずは空室の原因から知り、その後の空室対策に役立てたいところです。
物件の魅力度が落ちている
賃貸マンションは、古いよりも新しいほうが入居希望者に好まれやすいです。
築年数の経った古い賃貸マンションはキッチンやトイレ、バス、洗面所などの設備も古くなります。賃貸マンションの見た目(外観や内装)が古くなり、物件の魅力度が落ちると空室が増えやすくなってしまいます。
賃料が相場に見合っていない
賃貸マンションの賃料には、相場というものがあります。
賃料が相場に見合っていない場合も、賃貸マンションの空室が増えやすくなります。
募集を1社のみに頼っている
大家自身で賃貸管理している場合は、不動産会社に入居者募集を依頼、管理会社に賃貸管理を任せている場合は、その管理会社に入居者募集を依頼する形がよく見られます。
力量のある管理会社・不動産会社なら、入居者が見つかりやすいです。
しかし、力量の乏しい管理会社・不動産会社1社に頼ってしまうと、入居者がなかなか見つからずに、空室が増える恐れがあります。
オーナーができる空室対策10選
オーナー(大家)が空室に悩まされている場合、どんな対策があるのか紹介します。
賃貸物件のオーナーの方はご参考にしてみてください。
競合物件をリサーチする
マンション経営・アパート経営の空室リスクを抑える際、まずやるべきなのが、競合物件のリサーチです。
競合物件の設備や賃料をリサーチし、賃貸住宅の設備を整えること、相場に見合った賃料の設定を考えていきます。
賃貸物件の検索サイトであれば、手軽に競合物件のリサーチが可能です。自力でリサーチするのが難しいときは、仲介会社に情報をもらえるかどうか相談してください。
募集方法を見直す
賃貸マンションの入居者募集に対し、応募が少ないときに行いたいのが、募集方法の見直しです。
具体的には、次のような募集方法の見直しがあります。
- 大家が直接入居者を募集している場合は、仲介会社に募集を呼びかけてもらう
- 入居者の募集を1社のみに依頼している場合は、複数社で募集をかける
- 内覧の機会を増やす(リフォーム中でも部屋に通路を設けるなど)
大手の仲介会社は集客力がある、地元の仲介会社はその地元に精通しているのがメリットです。
上記のほかにも、入居者募集する際の宣伝文言や、物件写真の見直しなどの空室対策があります。
共有部分を清掃する
賃貸マンションの共用部分が汚れていると、見学者の印象が悪くなってしまいます。
次のような見学者の目につきやすい共有部分は、とくにきれいに清掃したいところです。
- 外壁
- エントランス
- エレベーター
- 共用灯
- 共用廊下 など
上記のほかにも、マンションの正面玄関にある植栽も目につきやすいです。植栽が枯れていると見学者の印象が悪くなりかねないため、手入れを行いましょう。
リフォームする
経年劣化による傷みのある賃貸マンションは、リフォームして見た目の印象をよくしたいところです。
しかし、リフォームするには大きな資金が必要となります。資金が限られている場合は、次の場所を重点的にリフォームしてみてください。
- オシャレな内装
- 水回り(キッチン・バス・トイレ・洗面台)
とくにオシャレな内装は、競合物件と差別化したいときに手っ取り早く行えます。
インターネットを整備する
新しいマンションの多くで、インターネット回線の設備を導入しています。
大家の賃貸マンションだけインターネット回線の設備がないと、競合物件との差が広がりかねません。そのため、光回線を整備して、物件の魅力度を上げるといいでしょう。
ほかにも警備会社のホームセキュリティや防犯カメラ、オートロックなど、セキュリティに関する設備も入居者に喜ばれやすいです。
条件を緩和する
空室リスクを抑えたいときは、入居条件を緩和するといった対策もあります。具体的な入居条件の緩和は次をご参考ください。
- ペット可(フローリングなど内装の汚れ対策)
- シェアハウス可
- 単身高齢者可
- DIY可
- ピアノやヴァイオリンなど楽器可(音漏れしないよう防音対策)
入居希望者に連帯保証人を求めている場合は、家賃保証会社に加入して連帯保証人不要にするといった入居条件の緩和方法もあります。
家賃を減額する
上記の空室対策を行っても改善されない場合は、家賃を減額してみてください。数か月以上半年以上空室にするより、家賃を減額して入居してもらったほうが得策です。
周辺の賃貸マンション状況によりますが、相場より2,000円から3,000円ほど家賃を減額すると、入居希望者からの注目が集まりやすくなります。
敷金・礼金を減額または廃止する
賃貸マンションの入居希望者にとって、大きな負担となるのが、敷金・礼金です。地域によって異なりますが、敷金・礼金、ともに家賃1か月分が目安となります。
具体的な敷金・礼金の減額、廃止のパターンは、次のとおりです。
- 敷金2か月分・礼金2か月分 → 敷金1か月分・礼金1か月分
- 敷金1か月分・礼金1か月分 → 敷金・礼金ゼロ
敷金・礼金の空室対策なら、家賃を減額できないときでも行いやすいです。リフォームのような大きな費用がかからないため、手軽な空室対策となります。
管理会社を見直す
管理会社の力量が乏しく、なかなか空室が埋まらないときは、力量のある管理会社へ乗り換えたいところです。
契約中の管理会社であっても、契約解除ができます。契約解除の方法は、次の3種類です。
契約解除方法 |
主な特徴 |
---|---|
合意解除 |
オーナーと管理会社との話し合いで合意に至った場合 |
約定解除 |
管理委託契約書で定めている解除理由に当てはまる場合 |
法定解除 |
法律で定めている解除理由に当てはまる場合 |
合意解除と法定解除のケースは少なく、約定解除となるのが一般的です。
約定解除を希望するときは、管理委託契約書に解除理由があるかどうかよく確認してください。管理委託契約書に解除理由がないときでも、民法第651条1項にそった契約解除が可能です。
ターゲットを絞る
次のように入居者のターゲットを絞るのも、空室対策の一つです。
- 学生向け…学生が暮らしやすいよう家具・家電・インターネット環境などの設備を充実させる)
- 女性向け…女性一人でも安心して暮らせるようセキュリティを充実させる)
- 外国人向け…外国人でも契約しやすいよう保証人不要、敷金・礼金ゼロにする)
- 高齢者向け…バリアフリーなど高齢者が暮らしやすい設備を充実させ、シニア入居可と宣伝する)
大学生向けの賃貸物件は4年間、高齢者向けの賃貸物件は長期入居してもらえる可能性が高いです。
大学が物件の近くにある、留学生の多い学校が近くにあるなど、周辺環境と需要にあったターゲットに絞ってください。
不動産投資では家賃下げを極力避ける
入居者からの家賃が安定収入となるのが、マンションという投資物件です。しかし、家賃を下げると、トータルでの収益が大きく下がる恐れがあります。
たとえば家賃5万円を4万円に下げた場合、1年で12万円、2年で24万円、3年で36万円分の収益悪化です。
また、マンションが古くなり、経年劣化が進むごとに家賃は下がっていきます。なぜなら、周辺に新しい物件が建つと、古い物件の競争力・魅力度が下がるからです。
家賃を下げた後にマンションの経年劣化が進むと、さらに家賃を下げないといけません。そのため、不動産投資の場合、家賃下げは極力避けたいところです。
入居者を増やすだけでなく、退去者を減らすことも重要
物件の競争力が下がると、退去者が増えやすくなります。安定した賃料を期待したいときは、入居者を増やすだけでなく、退去者を減らす工夫も重要です。
退去者を減らすための具体的な工夫は、次をご参考ください。
- 相場に見合った家賃を設定する
- 共用部分を清掃し、清潔に保つ
- トラブルが起きたときはスピーディーに対応(トイレの水漏れやエアコンの故障など)
- 長期入居者には設備をプレゼントする
退去者へのアンケートを行うと、物件が抱えている問題点がわかりやすいです。わかった問題点を改善していくと、退去者が減りにくくなります。
まとめ
賃貸マンションの空室対策を紹介してきました。
賃貸マンションにあるリスクのうち、1番に挙げられるのが空室リスクです。空室が増えると、収益が大きく落ちてしまいます。
そのため、賃貸マンションの入居率はなるべく高める工夫が必要です。
物件管理を管理会社にすべて任せると、アパート・マンションの賃貸経営が楽になります。
しかし、入居者募集をかけてもらっても空室がなかなか埋まらないときは、本記事を参考にしながら対策してみてください。