不動産投資では物件選びや購入ばかりに気を取られがちですが、その不動産をいつどのように売るかを考えなければなりません。いわゆる「出口戦略」と呼ばれる、売却の方策をしっかりと考えておくことで、最大限の利益が得られるようになります。ここでは不動産投資における出口戦略について詳しく紹介します。
目次
不動産投資の世界における出口戦略とは「いかにして高く売却するか」
出口戦略の本来の意味は、「撤退のための作戦」となりますが、不動産投資の世界ではいかにして高く売却するかを意味します。物件や土地を購入し投資を始めるところを「入口」とすると、売却が「出口」となります。
もちろん良質な物件を安く購入したり、部屋を貸し出して安定収入を得続けたりすることも利益につながりますが、出口戦略を立てておくことで損失のリスクまでも視野に入れることができるようになります。
購入から何年か経っている物件については、早い段階から出口戦略を考えておくことが大切です。売却には最適なタイミングというものがありますが、そのタイミングを掴むには準備が肝心。
たとえば、売却益にかかる税金の税率が変わるころに売却をしようと思っても、タイミングが買わずに所得税が2倍近くもかかってしまう可能性も。 また、ローンの金利が変動金利もしくは短期固定金利であれば、切り替えを行うところで借り換えか売却を検討することになります。
このように、出口戦略は金利や課税などお金に関わる問題を無難に切り抜けるためにも、避けて通れないものなのです。
出口戦略で急なトラブルにも備えられる
出口戦略は、物件を購入して2、3年程度経ったあたりから、比較的余裕のある段階で考え始めるのが理想的。 ある日、何らかの理由で物件の収益性が下がってしまったら、物件を手放すことを考えなければなりませんが、いつどのようにして収益に影響が出るかは予測が付きにくいものです。 自然災害や犯罪など、収益に影響を与える突然のトラブルにも、出口戦略を立てておけば備えることができますよ。
出口戦略成功のポイント:購入時と売却時の両方で戦略を立てること
出口戦略の成功には、購入時と売却時の両方で戦略を立てることがポイントになります。集客の見込める物件かどうかを見極め、さらに物件の周辺環境にも注目しましょう。売却時にはタイミングを逃さないよう、不動産の価格や周辺環境の変化に注意を。
集客の見込める物件かどうか
出口戦略は「出口」と付いていますが、入口となる購入時にも一定レベルでの慎重さが必要になります。 物件を購入するときは、「売却したときに十分な価値があるか」「次にこの物件を選ぶ人が魅力的と感じてくれるか」を考える必要があります。
不動産はずっと同じ人が所有するものというよりも、多くの人の間を渡っていく資産です。そのため、次に買う人の目線に立って考えることが出口戦略のポイントになるのです。
物件の購入前には、「立地条件の良さ」「物件の状態や設備」はもちろん、「空室率」や「利回り」など数字で得られるデータをすべて確認し、比較しておきましょう。
周辺環境にも注目 可能な範囲で予測を
投資家にとって、不動産の価値を決める要素は物件だけではなく、周辺環境も含まれます。 しかし周辺環境は再開発などで変わっていく可能性があるので、所有する期間が満了した時点でどのくらいの需要が見込めるか、可能な範囲で予測をしておきましょう。
人口減少によって往来が少なくなる地域は、交通の便も最小限に縮小される可能性があります。反対に、再開発で商業施設や公共施設が建てられる予定の場所は、将来的な需要増が見込めます。
自身で新しい情報を取り入れつつ売り時を掴む
物件を購入したあとは、具体的な売却をイメージしていくことになります。高く売るためには「いつ売るか」が肝心で、たとえば周辺環境が変わって物件が値上がりすれば、その時が絶好の売り時と言えるでしょう。
いかにして価格が下がる前に売るかを考えていかなければなりませんが、提携している不動産業者と話し合いのうえ、売却の提案をしてもらうのも一つの方法です。 自分自身でも常に新しい情報を取り入れつつ、売り時がいつやってくるかを予測することが、出口戦略には欠かせません。
入口と出口を押さえて戦略を練る
出口戦略は売却だけのことを指すわけではなく、購入時点からすでに将来を予測するものです。 不動産の価値は常に変化しており、環境の変化やタイミングによって大きく変わるため、アンテナを敏感にして情報を収集するようにしましょう。
賃料による収益ももちろん魅力的ではありますが、いつか手放すときのことを視野に入れておいて損はありません。まずは入口をしっかりと押さえつつ、時期に合わせて出口戦略も練っていってはいかがでしょうか。