不動産投資では、利益をできるかぎり減らさないようにするために「節税」が必要になります。その一環として、確定申告時の「青色申告」が挙げられます。ここでは、不動産投資における青色申告の必要性やメリット、白色申告との違いについて紹介します。
目次
青色申告を行うと不動産投資における控除が受けられ白色申告に比べて有利
青色申告とは、1年分の所得を税務署に申告する際に利用できる方法(制度)です。日々の取引をすべて帳簿に記録し、そこから所得や税額を求めて申告しなければなりません。 青色申告を行うと、不動産投資における控除が受けられます。白色申告に比べて有利にはたらくので、不動産投資を行って利益を得ている方は青色申告で確定申告を行うことをおすすめします。
青色申告を利用するためには、「不動産所得・事業所得・山林所得」のいずれかを得ていることが第一条件です。会社員は年末調整によって自動的に税金を申告できますが、不動産投資によって得られた所得が20万円を超えると、年末調整とは別に確定申告が必要になります。 また、青色申告の申請に必要な「青色申告申請書」を納税地の所轄の税務署長に提出しなければなりません。これは青色申告を行う予定の年の3月15日までに提出する必要があります。 以上の2点を満たしていれば、少額の利益しか出ていなくても青色申告で節税対策ができるようになります。ただし、所得や経費などについては青色申告制度に定められる帳簿にすべて記帳しなければなりません。
青色申告によって受けられるメリットが白色申告にはない
青色申告と混同されやすい申告方法に「白色申告」というものがあります。いわゆる一般的な確定申告の形式で、1年間に得られた収入、人件費、家賃、その他の費用を記載して記帳を行っていきます。
青色申告よりも記入が簡単で、たとえば少額の経費はいくつかをまとめて「消耗品費」などとして処理できます。青色申告より簡単な申告方法ですが、青色申告によって受けられるメリットが白色申告にはありません。そのため、不動産投資を行っている方は、青色申告で税を申告することが推奨されています。
青色申告のメリット「青色申告特別控除」「青色事業専従者給与」
青色申告は「青色申告特別控除」や「青色事業専従者給与」などが代表的なメリットとして挙げられます。
「青色申告特別控除」は、その名の通り特別に金額を差し引くことを指し、最終的に納付する税金を減らすことができます。所得税・住民税・国民健康保険にも反映されるため、一定額の利益を得ている方はこの控除を利用して損はありません。
不動産所得額は、収入から必要経費を差し引いて求められますが、青色申告特別控除を使うとさらに一定の金額を引くことができます。 差し引ける額は、事業的規模(10室以上もしくは5棟・駐車場経営なら50台以上)で不動産経営をしていて、複式簿記による記帳を行い、そこから貸借対照表や損益計算書を作成して確定申告書とともに提出すれば65万円、それ以外については10万円と決められています。 「青色事業専従者給与」は、一緒に働いている従業員の方はもちろん、家族と一緒に暮らしている場合は前もって「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出し、15歳以上の親族について給与を支払うことで「必要経費」に含めることができます。 給与には上限が定められていますが、白色申告に適用される給与額よりも青色申告の方が高いため、結果的に経費が多く計上できることになります。
青色申告で記載する項目
青色申告の項目は、収入と費用に大きく分けることができます。帳簿の様式などは特に決まっていませんが、正しい税額を算出するために、一つ一つの取引について細かく記載しなければなりません。
収入に関する内容
不動産投資の場合、所有している物件や部屋を人に貸し、そこから得られる収入は一つずつ記載しなければなりません。支払日に「賃貸料」「更新料」「雑収入」のような項目に分け、事由・相手方・収入金額を書き入れていきます。 但し、取引の詳細が確認できるもの(保存している領収書控えなど)は、相手方の記載や事由を省略し、項目ごとにその日の合計金額のみをまとめた記入が可能です。 帳簿等との関係がわかるように、領収書控等の書類は整理して保存するのが良いでしょう。
費用に関する内容
費用については「特別経費」と「その他の経費」に分け、それぞれについて事由、相手方、支出金額を記入します。 特別経費には給料・減価償却費・未収賃貸料のうち回収不能な「貸倒金」・地代家賃・借入金利子・固定資産等の損失が含まれます。
青色申告で賢く節税を
青色申告は通常の白色申告に対して、さまざまなメリットが期待できるものです。節税のためには、必要経費をしっかりと押さえたうえで、正しく青色申告を行うことがポイント。帳簿をこまめに記帳し、投資にかかるお金の流れを追いながら、賢く節税を行っていきましょう。