不動産投資をはじめる際には、さまざまな専門用語を覚えておくことがあります。その専門用語のなかでも比較的に耳にすることが多い、「イールドギャップ」について解説します。
目次
イールドギャップとは表面利回りと借入金利の差
イールドギャップとは、不動産の表面利回りと銀行からの借入金利の差を指します。 例えば所有する不動産の表面利回りが13%、借り入れている金利が2%であれば、
・13−2=11
となり、イールドギャップは11%となります。
イールドギャップの目安となるのは2%
イールドギャップの目安は、2%以上が良いといわれています。2%を下回ると借入金利よりも低くなる可能性もあり、金利を返済するだけで終わってしまい、運用利益が生まれない可能性がでてきます。
イールドギャップを考慮するときはランニングコストも加味する
イールドギャップを運用利益の指標と考えるとき、大切なのは修繕費や固定資産税といったランニングコストがかかることを忘れてはいけません。イールドギャップを求める際に用いる表面利回りは、予想される年間家賃収入から物件の購入価格を割ってでた数字のため、不動産運営に必要なその他コストは含まれていません。 そのため、イールドギャップが2%だとしても、ランニングコストを含めると、借入金利を下回ることもあります。
「マイナス金利」の日本では高いイールドギャップが期待できる
現在日本は、マイナス金利政策が導入されています。これに応じて各銀行が用意しているローン金利も2%ほどとなっており、イールドギャップも高い値になります。ですが、金利の条件が良くても、物件自体の利回りが低ければ当然イールドギャップの値も低くなってしまいます。
イールドギャップを把握しておけばリスクヘッジにつながる
イールドギャップを把握しておくことで、リスク回避に繋げられます。そのためにも不動産運営を行うには、イールドギャップを意識しておく必要があります。
イールドギャップがマイナスの場合は損切を検討する場合も
イールドギャップがマイナスになっている場合、金利を上回る利益が出ていないということです。もし空室があれば、この問題を解消させて利回り向上に繋げましょう。それでも空室が埋まらないのであれば、損切をする必要も出てきます。不動産投資における損切とは、その物件を売ることにあります。 不動産投資は、家賃による収入「インカムゲイン」と売却時に発生する「キャピタルゲイン」で利益を生む投資です。そのため、損切で売却することでの収益も期待できます。
イールドギャップは融資期間にも注意が必要
イールドギャップは金利と物件利回りに加えて、融資期間も重要な要素となってきます。 イールドギャップを求める際には、融資期間という項目がありません。 例えば、利回りが6%の物件を金利2%で借り入れた場合のイールドギャップは4%です。この物件の年間家賃収入が600万円だとした場合、融資期間25年と40年では大きな差が出てきます。
このように142万円もの差が出てきてしまいます。
融資期間も考慮したイールドギャップの求め方
融資期間も考慮したイールドギャップは、以下のように求めます。
・イールドギャップ=利回り−K
このKとは、ローン定数と言われ、
・年間ローン返済額(利息+元本)÷借入残高総額
で求められます。つまり、この計算式を用いることで、融資期間も考慮したイールドギャップが求められます。
イールドギャップは不動産投資成功に繋げるひとつの指標
イールドギャップは不動産投資の成功に繋げるひとつの指標です。ですが、ランニングコストの点や融資期間の点で、正確性に欠けるところもあります。 イールドギャップを求める際は、融資期間も考慮した計算式を用いて、より正確な数値を求めましょう。そうすることで、空室対策でいいのか、売却をしてキャピタルゲインを狙うのかなどがみえてきます。