新築か中古かにかかわらず、不動産投資をする場合、土地・家そのものだけの価格を支払えば良いというものではありません。付随する税金、税金に対する控除、光熱費などのランニングコストなど、幅広い視点から算術する必要があります。
こちらでは、新築と中古が実際どっちがお得なのかという疑問に対し、税金面、ランニングコストの面から解説していきます。
目次
不動産を取得すると物件の価格に応じて毎年税金がかかる
不動産を手に入れた後に発生する支払いはローンだけではありません。
家・土地・マンションなどの不動産には、以下のような税金がかかってきます。
*不動産取得税
*登録免許税
*消費税
*固定資産税
*都市計画税
不動産取得税、登録免許税、消費税は不動産の取得時に1度だけ支払えば済むものですが、固定資産税や都市計画税は、建物と土地を所有する限り、毎年納めなければいけない税金です。
新築・中古に関わらずこの税率は同じであり、土地・建物の価格に対してかかってきます。したがって、基本的には低価格の物件ほど税金も安くなるということになります。
ただし、住宅によっては税額控除を受けられるケースもあります。
「認定長期優良住宅」または「認定住宅」の新築は税額控除を受けられる
以下に該当する新築住宅については、”認定住宅の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10%“に相当する額に対して、所得税額から控除を受けられます。[注1]
*“長期優良住宅等の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のもの”[注1]
*“都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋若しくは同法の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋で一定のもの”[注1]
[注1]国税庁:No.1221 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1221.htm
中古物件でも適切な省エネ対策を搭載すれば税額控除を受けられる
中古物件でも、適切な省エネ対策などを搭載すれば、認定長期優良住宅と同じような控除を受けることは可能です。
具体的には、
*省エネ改修工事
*太陽光発電装置の設置工事
*バリアフリー改修工事
*三世代同居対応改修工事
*耐震改修工事
*省エネ改修工事
などの耐久性向上改修工事を受ければ、標準的費用額の10%相当する額を所得税額から控除できます。[注2]
税額控除を受けられる条件で中古物件を購入できれば、税金をおさえながらも優れた物件を手に入れることは可能なのです。
[注2]財務省:既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除(pdf)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/b05_2.pdf
「住宅性能評価書」でランニングコストがかかる家かどうかを判断できる
住宅の品質確保促進のため、平成12年4月1日より「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施工されています。注目は、この法律をベースとした住宅性能表示制度。
平成28年1月29日に国土交通省による見直しが行われ、「日本住宅性能表示基準」及び「評価方法基準」の改正がなされました。
この改正によって、
*構造耐力
*省エネルギー性
*遮音性
*耐久性
*火災・防犯対策
といった目に見えない性能が数値化され、「住宅性能評価書」に記載されるようになりました。
これらの評価は第三者機関に委託されるため、公平な視点から一つひとつの住宅性能を推し量れることが特徴です。消費者側からも、数値から客観的に建物の性能を比較できるようになりました。
「住宅性能評価書」を活用すれば、「新築だから大丈夫だろう」「中古で安価だから損は少ないだろう」といった安易な結論で不動産投資に手を出し、失敗してしまうといったリスクが避けられるでしょう。
中古物件はより「住宅性能評価書」を重視しよう
新築住宅には10年間の瑕疵担保責任期間が定められています。瑕疵担保責任期間とは、もし購入した住宅に購入時には知り得なかった何らかの不良が見つかった場合、補修や賠償を売り主へ要求できる期間のことです。
一方中古物件には、基本構造部分の保障制度は義務付けられていません。物件に何かしらの問題が発生した時には、自費で対応することになります。
したがって、中古物件では新築以上に「住宅性能評価書」の有無、そして内容についてしっかりとチェックしておいたほうが安心でしょう。
税金やランニングコストなど長期的な視点から投資に最適な物件を見つけよう
優れた断熱材を使用している高性能の新築や、認定長期優良住宅・認定住宅の新築であるならば、購入費用は高額になりますが、その分光熱費や税金が少なくなるというメリットがあります。
中古物件では購入費用は抑えられますが、税金面において、新築と比較するとあまり優遇されていないことが多いです。耐震性や断熱材が最新でないことで、安全性も確保されず、光熱費などのランニングコストが高くつくという場合も。これらのリスクを避けるには、「住宅性能評価書」を参考にすれば、中古でも優良物件が見つかる可能性が高くなります。
物件の価格だけでなく、税金やランニングコストなど、長期的な視点から投資に最適な不動産物件を見つけましょう!