不動産投資の知識を習得するおすすめ勉強法と資格を紹介
幅広い知識を要する不動産投資では、各種専門用語や物件の選び方、手続きの流れ、物件経営のリスクなど、あらかじめ勉強して最低限の知識を身につけておくことが大切です。
必要な知識を正しく習得すると、事前に想定できるトラブルやリスクを防ぎ、不動産投資の成功率を高めることにつながります。
この記事では、不動産投資の知識を身につけるための勉強方法とともに、不動産の経営に役立つおすすめの資格をご紹介します。
不動産投資初心者の方、これから勉強を始めたい方はぜひ参考になさってください。
不動産投資の勉強方法
インターネットや書籍、セミナー、投資家コミュニティなど、不動産投資について学ぶ勉強方法・機会はさまざまあります。
しかし、不動産投資の基礎知識がまったく身についていない状態でセミナーやコミュニティに参加しても、説明された内容を正しく理解することは難しいかもしれません。
不動産投資の知識を効率よく身につけるためには、以下の流れで勉強を進めていくことをおすすめします。
インターネットで学ぶ
まずは、インターネットを活用して不動産投資の基本的な知識を習得しましょう。
不動産投資会社のホームページやオウンドメディアでは、不動産投資に関するコラムを公開していることが多く、お金をかけずにいつでも気軽に勉強することができます。
また、不動産業者のWebサイト以外にも、実際の経験に基づいた自身の知識や手法を公開している不動産投資家の個人ブログも参考になるでしょう。
過去の失敗談が赤裸々に綴られているブログ記事もあるため、失敗を防ぐためにはどのようなことに気をつければよいのか、そのポイントが明確になるかもしれません。
書籍で学ぶ
不動産投資に関するコラムや投資家のブログなどで基礎知識を勉強できたら、書籍を活用して知識を深めていきましょう。
不動産投資関連の書籍はさまざまな種類があるため、自分の知識レベルや学びたいテーマに合ったものを選ぶことが大切です。
不動産投資初心者であれば、図表やイラストが多く用いられている視覚的にもわかりやすいものが向いています。
まずは初心者向けの書籍で不動産投資の全体像を学び、それから区分投資や一棟投資、戸建て投資など自分が挑戦したい投資手法について詳しく解説している書籍で理解を深めていくとよいでしょう。
また、不動産投資においてはお金の知識を身につけることが不可欠のため、基本的な知識を習得できたら不動産投資の会計・税務についても勉強することをおすすめします。
セミナーを受講する
インターネットや書籍を使って学びを深めたら、不動産投資会社などが開催するセミナーに参加してみましょう。
不動産投資のプロの話を直接聞きに行くことで、インターネットや書籍だけでは得られない「リアルな情報」を手に入れられます。
セミナーでは相談会をあわせて開催していることも多く、自分の疑問に対するプロの見解を聞ける貴重なチャンスでもあります。
不動産投資のセミナーは初心者向けから中級者向けまでさまざまな種類があり、投資方法の種類に特化したものや融資・審査に関するものなどテーマも多種多様です。
オンラインで開催しているセミナーも多数あるため、まずは不動産投資のセミナーにはどのような種類や形態があるのか調べてみることをおすすめします。
不動産投資家のコミュニティに参加する
不動産投資について勉強するうえでは、不動産投資家のコミュニティに加わってつながりを持つことも有益です。
コミュニティに参加すると、すでに不動産投資を始めている経験者の話を聞いたり、自分が抱えている悩みや疑問を相談したりすることができます。
実際にオンラインサロンなどのコミュニティに参加しなくても、SNSやブログ、セミナーなどほかの不動産投資家と交流できる機会はさまざまあります。
コミュニティへの参加は敷居が高いと感じる場合は、まずはSNSから始めてみるのもおすすめです。
情報収集や勉強としてだけでなく、気軽に相談できる仲間をつくるという意味でも、不動産投資家との交流機会は大切にするとよいでしょう。
資格取得を目指す
不動産関連の資格取得を目指して勉強するというのも、不動産投資の知識を習得できるおすすめの勉強方法の一つです。
不動産投資に資格は必要ではありませんが、運用する物件の価値を見極め、確実に利益を出す物件経営を行うためには専門的な知識が必要です。
資格取得を目指した勉強では不動産投資の専門知識を正しく身につけられるうえ、資格を取得し本人の信用力が上がると、不動産業者や金融機関との交渉もスムーズに進むことが期待できます。
不動産投資に役立つ資格として特におすすめなのが「宅地建物取引士」「賃貸不動産経営管理士」「ファイナンシャル・プランニング技能士」の3つです。
これらの資格・試験情報については本記事の後半で詳しく解説しています。
初心者が身につけるべき基礎知識
初心者がまずは勉強しておくべき不動産投資の基本について解説します。
まずはインターネットを活用して不動産投資の基礎知識を学び、そのあとに初心者向けの書籍やセミナーなどで知識を深めていくとよいでしょう。
不動産投資の種類
不動産投資の種類は、大きく「区分投資」「一棟投資」「戸建て投資」の3つがあります。
- 区分投資:建物を部屋単位で運用する投資方法
- 一棟投資:建物を一棟単位で運用する投資方法
- 戸建て投資:戸建て物件を運用する投資方法
不動産投資における利回りや流動性などの観点からそれぞれの違いを下表にまとめました。
あくまで一般的な傾向であり購入する物件によって変わってくるものの、区分・一棟・戸建ての各投資方法には以下のような特徴があります。
区分投資 | 一棟投資 | 戸建て投資 | |
---|---|---|---|
購入費用 | 低い | 高い | 低い |
利回り | 低い | 高い | 高い |
流動性 | 高い | 低い | 低い |
裁量 | 少ない | 多い | 多い |
空室リスク | 大きい | 小さい | 小さい(※) |
(※)戸建て投資は空室になると収入が一切入らなくなるが、数が少ないために入居者が決まりやすく、アパートやマンションと比べると入居期間が長くなりやすい。
利回りの種類・計算方法
不動産投資の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。
表面利回り
表面利回りとは、物件価格に対し1年間で得られる家賃収入の割合のことです。
家賃収入を購入金額で割って算出するもので、物件購入時や経営時にかかる諸経費は考慮しません。
一般的に、不動産業者が広告やポータルサイトなどに掲載する利回りは「表面利回り」を表しています。
● 表面利回りの計算式
表面利回り(%)=年間家賃収入÷購入金額×100
実質利回り
実質利回りとは、物件の購入・経営で発生するコストを含めて算出した利回りのことです。不動産投資には必ずコストがかかるため、自分でシミュレーションする際は実質利回りで算出することをおすすめします。
● 実質利回りの計算式
実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間支出)÷(購入金額+購入時の諸経費)×100
不動産投資のリスク
現物不動産を経営するうえではさまざまなリスクがついてきます。
不動産投資を勉強する際は、想定できるリスクやデメリットを踏まえ、その損害を最小化するためにはどのような対策がとれるのか考えることが大切です。
空室リスク
経営する物件に空室が発生すると、その間は家賃収入を得ることができません。
空室リスクは不動産投資において最も警戒すべきリスクの一つであり、賃貸需要の高いエリアを選ぶ、古い設備を新しい設備に入れ替えるなど、空室を発生させないための対策を練っておく必要があります。
家賃滞納リスク
空室リスクとともに問題になりやすいのが、入居者がいるにもかかわらず予定どおりに家賃が支払われない「家賃滞納リスク」です。
このリスクを回避するためには、入居審査を厳しくする、連帯保証人をつけてもらう、家賃保証会社の加入を必須とするなどの対策が考えられます。
価格変動リスク
物件売却時に資産価値が落ちている場合、滞りなく家賃収入を得られていても、不動産投資全体の収支はマイナスになってしまう可能性があります。
物件の資産価値を維持するためには、人口増加が見込めるエリアを選ぶこと、物件の修繕・メンテナンスを適切に行うことなどの対策が考えられます。
不動産投資の勉強で注意したいポイント
不動産投資の勉強をする際に注意したいポイントを以下にまとめました。
不動産投資の目的を明確にする
不動産投資の勉強を始める前に、不動産投資を行う目的や期待する成果を明確にしておく必要があります。
たとえば書籍で勉強するにしても、自分が知りたいことや知識を深めたいことに合致したものを選ばなければ、効率よく勉強を進めることはできません。
あれもこれもとやみくもに手を出すのではなく、まずは目的を明確にし、それに沿った勉強をすることが大切です。
信頼性の高い情報を選ぶ
不動産投資の勉強をする際は、信頼性の高い情報を見極めることが重要です。
特にインターネット上の情報は、信頼できる発信元かどうか必ず確認する必要があります。
また、不動産投資の成功談・失敗談はあくまでその人が体験した内容であり、すべての人に当てはまるものではありません。
リアルな体験談は参考にできるものの、さまざまな条件や背景によって左右されることを理解しておきましょう。
最新の情報を集める
インターネットや書籍で勉強する際に特に注意したいのが、提供される情報はいつ時点のものであるかということです。
不動産投資の市況やトレンドは変化するため、不動産投資の正しい知識を身につけるには最新の情報を参考に勉強することが大切です。
不動産投資の勉強におすすめの資格
不動産投資は資格を所持していなくても始められますが、現物不動産を経営するうえでは幅広い知識が必要となります。
不動産投資に役立つ資格の取得を目指すことで、不動産価値の見極めや物件経営の手法、お金の知識などをより深く学ぶことができるでしょう。
ここでは、不動産投資の勉強におすすめの資格を3つご紹介します。
宅地建物取引士
宅地建物取引士(宅建士)とは、宅地建物取引業における「重要事項の説明」「重要事項説明書(35条書面)への記名」「契約書(37条書面)への記名」を独占業務として行う不動産取引の専門家です。
不動産投資においては、専門知識をもとに契約内容を細かくチェックできる、信用度が高まることで物件購入や融資審査の際に有利になりやすいなどのメリットがあります。
●宅建士の資格試験情報
試験実施日 | 10月の日曜日(年に1回) |
---|---|
受験資格 | 日本国内に居住であれば年齢・学歴に関係なく誰でも受験可能 |
受験料 | 8,200円 |
試験方法 | 50問・四肢択一式による筆記試験 |
受験者数 | 226,048人(2022年度) |
合格率 | 17.0%(2022年度) |
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構『宅建試験』(https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html#topic2)
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士とは賃貸住宅管理の専門家で、不動産経営に関する知識を幅広く有しています。
資格取得を目指して勉強することで、入居者の募集から賃貸借契約、物件の管理、退去時の対応まで、不動産経営に欠かせない専門知識を習得できます。
●賃貸不動産経営管理士の資格試験情報
試験実施日 | 11月の日曜日(年に1回) |
---|---|
受験資格 | 年齢・性別・学歴に制約なく誰でも受験可能 |
受験料 | 13,200円 |
試験方法 | 50問・四肢択一式による筆記試験 |
受験者数 | 31,687人(2022年度) |
合格率 | 27.7%(2022年度) |
参考:一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会『令和4年度 賃貸不動産経営管理士試験実施要領』(https://www.chintaikanrishi.jp/exam/summary/)
ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士とは、個人の暮らしとお金の相談に対応し、資金計画や生活設計のアドバイスを行う「家計のホームドクター」です。
資格取得に向けた勉強をすることで、不動産に関わる法律知識の習得やキャッシュフロー表の作成など、不動産投資に役立つ知識・技能が身につきます。
●2級FP技能士の資格試験情報
試験実施日 | 1月、5月、9月の日曜日(年に3回) |
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受験資格 | 3級Ftd技能検定の合格者、Ftd業務の実務経験が2年以上ある者など |
受験料 | 学科と実技:11,700円、学科:5,700円、実技:6,000円 |
試験方法 | 学科:60問、実技:40問の筆記試験(実技は記述式) |
受験者数 | 学科:26,265人、実技:21,516人(2022年9月実施) |
合格率 | 学科:42.16%、実技:56.55%(2022年9月実施) |
参考:NPO法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会『FP技能検定』(https://www.jafp.or.jp/exam/)
まとめ
不動産投資の知識を身につけるには、インターネットや書籍を活用した勉強だけでなく、セミナーや相談会に足を運んだり、投資家のコミュニティに参加して気軽に相談できる仲間をつくったりすることも有効です。
また、宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士など、不動産投資に役立つ資格の取得を目指して勉強することもおすすめです。
今回ご紹介した勉強方法を参考に、不動産投資に必要な知識の習得に取り組みましょう。