不動産投資型クラウドファンディングはおすすめ?魅力や注意点を紹介
少ない資金でも価値の高い不動産に投資できる「不動産投資型クラウドファンディング」。
インターネット上で手続きが完了する投資方法で、大型マンションやホテル、商業施設などさまざまな不動産が投資対象となっています。
この記事では、不動産投資型クラウドファンディングとはどのような投資手法なのか、選ぶ際のポイントや注意すべきリスクとともにわかりやすく解説します。
不動産投資に興味がある方、クラウドファンディングの仕組みを知りたい方はぜひ参考になさってください。
不動産投資型クラウドファンディングとは
不動産投資型クラウドファンディングとは、複数の投資家から集めた資金で不動産を購入し、運用で得た賃料収入や売買差益を投資家に分配する投資方法をいいます。
不動産の管理・運用はすべてクラウドファンディングの事業者に一任できるため、プロジェクトに参加する投資家は利益の分配を待つのみで手間をかけずに不動産投資を楽しめます。
初心者でも始めやすい少額不動産投資
不動産投資型クラウドファンディングは、1口1万円程度から出資できる不動産投資です。
複数の投資家が共同で資金を出し合って不動産を購入・運用する仕組みのため、少額の投資でも大きなプロジェクトに参加できます。
個人ではなかなか手が出せない大型の不動産にも投資できるうえ、少額のために複数の不動産に分散投資しやすく、リスクヘッジが容易となるメリットもあります。
不動産投資に慣れていない初心者や、大きな資金を用意することが難しい方にもおすすめの投資方法です。
利回りは4〜7%程度が相場
不動産投資型クラウドファンディングの利回り(年利)は4〜7%程度が相場です。
一般的な現物不動産投資と異なり、不動産投資型クラウドファンディングでは不動産の管理を事業者に委託するため、管理コストが引かれた利回りが掲載されています。
そのため、現物不動産投資の利回り相場は不動産投資型クラウドファンディングよりも高い傾向があり、年利5〜8%程度が相場です。
ただし、現物不動産投資であっても忙しいサラリーマンなどは不動産の管理を委託するケースも多く、その場合は別途委託費用がかかることになります。
クラウドファンディングとソーシャルレンディング
クラウドファンディングの一種に、融資型・貸付型の「ソーシャルレンディング」と呼ばれるものもあります。
ソーシャルレンディングとはインターネットを通じ、お金を借りたい事業者とお金を運用したい投資家をマッチングするサービスのことです。
不動産特定共同事業法のもとで運営される不動産投資型クラウドファンディングに対し、ソーシャルレンディングの運営には第二種金融商品登録事業登録と貸金業登録が必要です。
ソーシャルレンディングは、貸したお金の返済金利から運営会社の報酬を差し引いた金額が分配される仕組みで、一般的に固定金利となり、投資家に配られる分配金は一定額です。
一方、不動産投資型クラウドファンディングでは不動産運用による利益が分配されるため、物件の入居率や不動産価格の変動が投資家の収入に影響します。
しかし、損失が発生した際に事業者が一定額までカバーする「優先劣後方式」や、入居状況にかかわらず毎月の収入が固定される「マスターリース契約」など、不動産投資型クラウドファンディングには収入が途絶えてしまうリスクを軽減できる仕組みがあります。
他の不動産投資との違いを比較
不動産を対象とした投資には、不動産投資型クラウドファンディング以外にもさまざまな種類があります。
ここでは、不動産投資型クラウドファンディングを現物不動産投資やREITと比較し、どのような違いがあるのか解説します。
現物不動産投資との違い
現物不動産投資と不動産投資型クラウドファンディングの特徴を下表にまとめました。
現物不動産投資 | 不動産投資型クラウドファンディング | |
---|---|---|
資金 | 数百万円以上 | 1万円程度から |
融資 | ローンを利用する場合が多い | 利用できない |
運用・管理 | 自分で運用するor管理会社に任せる | プロに任せられる |
利回り相場 | 5〜8% | 4〜7% |
価格変動性 | 低い | 低い |
流動性 | 低い | 低い |
現物不動産投資とは、投資家が不動産を購入・運用して利益を得る一般的な不動産投資のことです。
実際の不動産を購入するには多額の資金が必要となるため、金融機関から融資を受けるのが一般的です。
しかし、融資が受けられる現物不動産投資では、少ない自己資金から大きなリターンを得る「レバレッジ」を効かせられるメリットがあります。
不動産投資型クラウドファンディングと比較するとさまざまな面で違いがあるものの、不動産における価格変動性の低さ、流動性の低さでは共通しています。
REIT(リート)との違い
REITと不動産投資型クラウドファンディングの特徴を下表にまとめました。
REIT(リート) | 不動産投資型クラウドファンディング | |
---|---|---|
資金 | 数万円から | 1万円程度から |
融資 | 利用できない | 利用できない |
運用・管理 | プロに任せられる | プロに任せられる |
利回り相場 | 3〜4% | 4〜7% |
価格変動性 | 高い | 低い |
流動性 | 高い | 低い |
REIT(リート)とは「不動産投資信託」のことで、投資家から集めた資金でビルやマンションなどの不動産を購入し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品をいいます。
不動産投資型クラウドファンディングと同様に、REITも数万円から始められる少額不動産投資です。
しかし、REITは不動産を対象とした上場投資信託のため、市場の影響を受けて値動きしやすく、不動産投資型クラウドファンディングよりも価格変動性は高くなります。
流動性の面では株式や債権と比較すると低いものの、市場で売買をおこなうことで流動性を確保しており、他の不動産投資よりも現金化しやすいメリットがあります。
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶ際のポイント
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶ際は、運営会社の「プラットフォーム」と出資する「ファンド」の両方について押さえておきたいポイントがあります。
不動産投資型クラウドファンディングは新しい不動産投資手法のため、投資を始める際はプラットフォームやファンドに関する情報を集め、さまざまな角度から慎重に見極めることが大切です。
ここでは、不動産投資型クラウドファンディングを選ぶときのポイントをご紹介します。
不動産の種類
不動産投資型クラウドファンディングのプラットフォームを選ぶ際は、投資対象となる不動産の種類が豊富かどうか確認しましょう。
個人で現物不動産を運用する場合はアパートやマンションを対象とするケースが多いですが、複数の投資家から資金を集める不動産投資型クラウドファンディングでは、オフィスビルやホテルなど個人では投資が難しい不動産も投資対象となります。
不動産の種類が豊富なプラットフォームであれば、ファンドを選ぶ際の選択肢が多くなり、種類の異なる不動産に投資することでリスクの分散にもつながります。
案件の供給量
そのプラットフォームでどのくらいの案件が供給されているかについても、不動産投資型クラウドファンディングを選ぶ際に見るべきポイントです。
現物不動産投資などの直接投資、REITなどの間接投資に次いで新たに誕生した不動産投資型クラウドファンディングは注目度が高く、人気の案件には多くの出資者が集まります。
供給量が少ないプラットフォームでは選択肢が少なくなかなか投資機会を得ることができないうえ、気になる案件を他の案件と見比べたいときに比較対象が存在しないことも考えられます。
募集頻度の高さも含め、案件数が多く供給量が安定しているプラットフォームを選ぶのがおすすめです。
適切な開示情報
不動産投資型クラウドファンディングでは、不動産に関するさまざまな情報が開示されています。
しかし、どこまで詳細に開示するかは運営会社によって異なるため、簡単な概要しか掲載されていない会社もあります。
不動産投資型クラウドファンディングで見ておきたい情報には以下が挙げられます。
- 築年数
- 所在地
- 交通(最寄り駅)
- 設備
- 施工会社
- 運営会社
- エリア情報
- 分配シミュレーション
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶ際は、情報開示が適切におこなわれているかどうかもチェックポイントとなります。
開示されている情報が詳細であればあるほど、自分の投資目的に合ったファンドを選びやすくなりますし、対象物件にどのようなリスクが考えられるかあらかじめ把握しておくこともできます。
運用期間
不動産投資型クラウドファンディングのファンドを選ぶ際は、案件ごとに不動産の運用期間をチェックしましょう。
基本的には満期まで解約できない仕組みのため、運用期間の長さは自分の投資目的に沿って選ぶのがおすすめです。
リターンは低くてもすぐに収入を得たい場合は運用期間が短いファンド、資金を長期間動かせなくても安定した収入を得たい場合は運用期間が長いファンドを選ぶとよいでしょう。
収益の種類
不動産投資型クラウドファンディングで得られる収益には、不動産運用による賃料収入を指す「インカムゲイン」、不動産の売却で得られる利益を指す「キャピタルゲイン」があります。
不動産投資型クラウドファンディングのファンドを選ぶ際、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらをねらうかによって見るべきポイントが変わってきます。
インカムゲインを重視する場合は、エリアの賃貸需要や利回りの高さ、運用期間の長さなどがチェックポイントとなります。
一方、キャピタルゲインを重視する場合は、開示情報から不動産の資産価値を見極めて投資判断をすることになるでしょう。
注意すべきリスクとデメリット
不動産投資型クラウドファンディングで注意すべきリスクとデメリットを以下にまとめました。
どのような投資にも少なからずリスクはあるため、メリットだけでなくリスクやデメリットについても理解しておくことが大切です。
中途解約不可の事業者が多い
不動産投資型クラウドファンディング事業者の多くは、原則として運用期間中の中途解約を不可としています。
事業者の信用低下や倒産など、やむを得ない事由がある場合はその限りではありませんが、基本的に不動産投資型クラウドファンディングを途中で解約することは難しいと考えておきましょう。
しかし、なかには一定の条件を設けて中途解約に対応する事業者もあるため、解約不可に不安を感じる場合は調べてみることをおすすめします。
出資者が集まりすぎる
不動産投資型クラウドファンディングは、それぞれのファンドに募集期間を設定し、出資を希望する投資家が申し込む形をとっているのが一般的です。
人気の高いファンドには多くの出資希望者が集まるため、募集後すぐに完売したり応募しても抽選で外れてしまったりと、希望のファンドに投資できない可能性があります。
不動産投資型クラウドファンディングのプラットフォームは、なるべく案件の供給量が多いところを選ぶのがおすすめです。
流動性・換金性が低い
不動産投資型クラウドファンディングは、流動性・換金性が低い投資方法といわれています。
原則としてファンド運用中の中途解約に応じていない事業者が多いため、一度出資すると運用期間が終わって利益が分配されるまでは現金化できないからです。
しかし、不動産投資型クラウドファンディングの運用期間はファンドによってさまざまで、数か月のものもあれば数年にわたって運用するものもあります。
短期間のファンドを選べばすぐに現金化できるため、不動産投資型クラウドファンディングにおける流動性・換金性は投資家がどのファンドを選ぶかによって異なるともいえるでしょう。
まとめ
不動産投資型クラウドファンディングとは、複数の投資家から資金を集めて不動産を運用し、発生した利益を出資者に分配する仕組みをいいます。
インターネットを介しておこなう新しい不動産投資の手法で、1口1万円程度の少額から投資できること、不動産運用をプロに任せられることがメリットに挙げられます。
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶ際は、取り扱う不動産の種類や案件の供給量が豊富か、適切な情報開示をおこなっているかなどを確認しましょう。
また、投資するファンドは運用期間の長さや収益の種類に着目し、自分の投資目的に合うものを選ぶのがおすすめです。
まずは不動産投資型クラウドファンディングのサービスを比較し、プラットフォームや募集案件の特徴をチェックしてみるとよいでしょう。