マンションなど賃貸経営を始める際、購入価格が高額になることから、金融機関にてローンを組むケースがほとんどです。
そこで、頭金を入れない「フルローン」を利用する人もいます。
今回は、不動産投資のローンの種類で悩んでいる人やフルローンを検討している人へ、フルローンを組んだ場合のメリットやデメリットを解説していきます。
自己資金はどのくらいあったほうが良いのか、総額資金に対して望ましい自己資金の比率についてもご紹介します。
目次
頭金ゼロで借入できるフルローン
冒頭でも説明したとおり、「ローン」を大きく分けると、多少なり頭金を入れて残金分のみ金融機関から融資を受けるローンと、かかる費用をすべてローンで賄うというフルローンの2種類があります。
たとえば、投資用に4,000万円の区分マンションを購入する場合、頭金として1,000万円を入れて残りの3,000万円をローンで借り入れる方法がありますが、フルローンではその頭金を入れずに、物件価格の4,000万円すべてを融資で賄うことになります。
フルローンで不動産投資をするデメリット
頭金ゼロで借入をするフルローンですが、不動産投資においてはメリットもデメリットも存在します。
まずは、知っておくべき4つのデメリットからご紹介しましょう。
デメリット①:返済金額が大きくなる
フルローンは頭金を入れないため、借入金の額は単純に大きくなります。
返済総額が増えるにともない、毎月のローン返済額も増えるのです。
デメリット②:銀行での審査が厳しくなるかもしれない
金融機関が融資の可否を決める基準として、年収・勤続年数(社会的信頼性)、融資希望額・融資限度額(無理のない返済かどうか)、購入物件の資産価値・収益性(返済の将来性)という3つが挙げられます。
フルローンとなると融資希望額は大きくなり、返済期間も長めになりますので、ローン完済までの間に賃貸経営がうまくいかなくなる可能性も高いと判断されるのです。
このような理由から、金融機関によってリスクの高いフルローンは、審査が厳しい場合が多くなります。
デメリット③:資産拡大がしづらくなるかも
不動産投資の目的をシンプルにいえば「資産を増やしていくこと」です。
すでに所有している物件を担保にして、さらに2件目の投資用物件を購入し資産を拡大していくのが一般的な手法です。
しかし、1件目の物件をフルローンで購入した場合、その返済期間が長いことから残債もなかなか減らず、物件の担保評価は低くなるケースが多いのが現実です。
そうなると融資限度額も下がり、2件目の物件購入が難しくなってしまいます。
1件目の物件の収益性にもよりますが、フルローンを組んで購入した場合には資産を拡大させていくのに時間がかかるケースが多いでしょう。
デメリット④:売却が難しくなる可能性
不動産投資では、空室が続いたり増えたりなど物件の収益性が持続できなくなってくると、最終的な判断として「物件を手放す」ことも視野に入れていくことになります。
これを「出口戦略」といいますが、物件を売却するにはローンを完済し、物件を自己資産にしておく必要があるのです。
フルローンを組んで購入した場合は、返済期間が長く返済額も大きいことがほとんどです。
そのため、ローン完済まで時間がかかることから、物件を売却するまで長い期間がかかってしまうことになります。
フルローンで不動産投資をするメリット
フルローンについてデメリットからご紹介しましたが、以下のようなメリットもあります。
メリット①:自己資金を手元に残すことができる
不動産投資は物件を購入したら終わりではありません。
運用していくにも固定資産税や集客広告費といったランニングコストや、時には修繕費やリノベーション費などもかかります。
フルローンを組んだ場合には物件価格のすべてをローンで賄うため、このような維持費や、万が一のための医療費などを手元に残しておくことが可能です。
また、フルローンの場合には頭金を貯める時間が不要になるので、物件購入までの時間を短縮できる、という見方もできるでしょう。
メリット②:レバレッジ効果が高められる
不動産投資でよく聞かれる「レバレッジ効果」という言葉ですが、これは「小さな資産で大きな資産を得る」という意味の言葉です。
このレバレッジ効果が高ければ高いほど、不動産投資は成功に近づきます。
では、レバレッジ効果と不動産投資における利回り(収益)について詳しく解説していきましょう。
レバレッジ効果とは「小さな資産で大きな資産を得る」こと
投資額に対する収益の算出方法は「保有資産額×利回り」となります。
たとえば自己資金が1,000万円あるケースを考えてみましょう。
→物件価格1,000万円(含諸費用)までの物件に限られる。築古物件など収益性が低くなる可能性もあり。
2. 自己資金1,000万円+フルローン2,000万円を利用
→物件価格3,000万円(含諸費用)までの物件を購入可能。築浅で利便性があるなど収益性の高い物件を購入できる確率が高くなる。
物件の収益性により、儲けに繋がる利回りは大きく変わります。
また、利回りが同じ6%の場合でも収益は①の60万円に対し、フルローンでは180万円と3倍になるのです。
今回のように1,000万円の自己資金ではなく、たとえゼロ資金でも大きな収益を得ることが可能ですので、レバレッジ効果は高いといえます。
フルローンにおける利回り
利回りとは「投資額に対するリターン率」のことで、「利益÷投資金額×100」という式で計算できます。
不動産投資における利回りには、さらに2つの計算方法があります。
1つは「表面利回り」で、シンプルに年間家賃収入を物件価格で割ったものになります。
2つ目は「実質利回り」で、年間家賃収入から年間経費を差し引いた額を物件価格で割ったものです。
フルローンでは表面利回りが高くなり、レバレッジ効果も高くなります。
不動産投資における利回りについては、以下の関連記事も参考にご覧ください。
【重要】フルローンを組む前にキャッシュフローを計算しよう
フルローンではローンの元本返済額が大きいため、利息も大きくなりがちです。
月々の返済額が大きくなると、結果的に実際の儲け(キャッシュフロー)が少なくなります。
- 元本返済額が大きくなるため、利息も大きくなり、月々の返済額も大きくなりがち
- キャッシュフローが少なくなる可能性が高い
そこで、フルローンを組む前にキャッシュフローをきちんと計算しておくことが重要になります。
キャッシュフローの計算方法
キャッシュフローの良さは、以下の返済比率の低さで判断します。
たとえば3,000万円フルローン、固定金利1.5%の元金均等型35年、返済は月々のみ、毎月の家賃収入22万円というケースの返済比率を計算してみましょう。
収支が健全に回る返済比率の目安は、税金・修繕費などの出費も考えて40~50%だといわれています。
これよりも比率が高くならないように、キャッシュフローをシミュレーションしておきましょう。
自己資金に余裕を残して不動産投資を始めるのが鉄則!
キャッシュフローを考えると、自己資金は多いほうが無難ではあります。
物件購入後に起こりうる2つのリスク(設備交換や修繕による出費、空室による収入減)のためにも、不動産投資における自己資金の比率は全体の30%前後が望ましいとされています。
上記2つのリスク管理を徹底して、自己資金に余裕を残した投資をおこない、さらに利益が出てきたら次のステップへ準備を進めましょう。
まとめ
不動産投資でフルローンを利用する場合には、ご紹介したようなメリットやデメリットをしっかり認識するのが大切です。
早めにキャッシュフローを求めるのであれば、少しでも自己資金を貯めてから始めることをおすすめします。
また、不動産投資のプロにキャッシュフローのシミュレーションをやってもらうなど、事前に熟考してから物件の購入に踏み切るようにしましょう。
不動産投資を成功させるためには不動産投資会社選びはとても重要なステップです。
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