すでに不動産投資をおこなっている人の中には、利益を増やすためにホテルへの投資に興味を抱き、実際にホテル投資を始める人が増えてきています。
実は、マンションを賃貸に出すような一般的な不動産投資と、事業収益を得るための運営ノウハウが必要なホテル投資とでは、さまざまな点で異なることをご存じでしょうか?
今回は、そんなホテル投資の仕組みや民泊との違いをご紹介し、ホテル投資がオススメなのかどうかを検証していきたいと思います。
ホテル投資の始め方や失敗しないための注意点も、あわせて参考にしてください。
今ホテル投資を始めるメリットは?
そもそも今、ホテル投資にトライすることはオススメなのでしょうか?以下の3つの観点から、現在の日本におけるホテル投資について、どんなメリットがあるのか解説していきましょう。
インバウンド増加で収益増加が見込める
「インバウンド」とは、外国人観光客が日本へ訪れることを表す旅行関連の用語です。
外国人観光客に人気の高い東京、京都、大阪などでは、常にホテルの需要は高い状態です。
また、温泉地やスキーリゾート地においてもインバウンドの増加は見逃せません。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2025年の大阪万博では、インバウンドのさらなる増加が予想されます。
ただでさえ不足しているホテルを投資対象とすれば、収益増加をかなりの確率で期待できると言えるでしょう。
民泊と異なり365日営業できる
民泊は親しみやすく、比較的低価格で利用できる宿泊施設として、外国人観光客に人気があります。
しかし、民泊物件での営業には「180日/年間」という営業日数の制限が設けられているのです。
ホテルであれば365日の営業が可能ですので、トラブルなどがなければ、単純に収益も増えます。
期待利回りが低下している
「期待利回り」とは、不動産投資家が対象となる不動産から期待する利益のこと。
一般財団法人日本不動産研究所が半年ごとに行っている「投資家調査」によると、2019年4月の東京の宿泊特化型ホテルにおける期待利回りは4.4%となっていて、10年前から比べると大幅に低下しています。
これは、ホテルの物件価格は非常に高い反面、需要が高いため、稼働率も高く一定の事業収益が見込めるということにつながります。
ホテル投資はどんなやり方がある?
ホテル投資を始めるには今がオススメだという理由を解説しました。
そんなホテル投資には以下の5つのやり方があります。
それぞれメリットや注意点が異なりますので、知識としてぜひ覚えておきましょう。
ホテルを新築して運営
すでに保有している土地、もしくは新しく土地を購入してホテルを新築し、運営するという投資方法です。
設計の自由度が高いのがメリットですが、建築設計から運営開始まである程度の時間が必要です。
土地探しからの場合は、さらに時間がかかります。
その間に不動産投資ローンの金利や建築資材の価格状況などが変化する可能性もありますので、計画を立てる際にはさまざまな予測を含めて進める必要があるでしょう。
建物をホテルに用途変更して運営
以前は賃貸マンションや学生寮、オフィス、病院などに使われていた建物の用途を宿泊施設に変更して運用する方法です。
リフォームやリノベーションをおこなえば、すぐにでも営業を開始できます。
宿泊施設への用途変更となると、消防設備追加などリノベーションに意外とお金がかかってしまうこともありますので、収益物件としては一概に安いとも言えないケースもあります。
コンドミニアム投資
リゾートホテルの1室を購入し、別荘のように利用するかたわら、使わない期間は一般の客室としてホテルに貸し出すことで収入を得るという方法です。
自分ではまったく利用しない方法もあれば、運用率に関わらず固定収益を得るタイプなどさまざまあります。
投資ファンド・リート
リート(REIT)とは、不動産投資信託の1つでホテル特化型のものです。
ホテルリートが宿泊施設の運営会社から得る賃料収入や不動産売却益から、諸経費を引いた分配金が投資家の利益です。
少額から挑戦できること、特定のホテルの業績に影響されるものではないということから、株式投資よりも手堅い投資方法と言えるでしょう。
ホテル運営会社への株式投資
上場しているホテル運営会社の株式を売買する方法です。
どのホテル運営会社の株式を選ぶのか、また、そのホテルの業績の良し悪しによって、運用益の大きさや損益のリスクに大きく差が出るのが特徴です。
ホテル投資を成功に導く! 必ず意識しておくべきポイント
ホテル投資における投資額は、どの方法を選ぶかによって異なりますが、すべての方法において基本的に気を付けたいポイントは以下の5点です。
不動産投資会社選びが最重要
ホテル投資を成功へ導く第一歩は、信頼度の高い不動産会社を選ぶこと。
1社だけで即断せず、必ず複数社を比較し話を聞いてから、どの不動産会社へ依頼するのか決めましょう。
そのためには、ホテル投資について事前にある程度の勉強をしておくことも大切です。
不動産投資会社の比較サイトを利用するほか、プロに相談するのもよいでしょう。
空室リスクが小さいエリアを狙う
空室ができてしまっては事業収益が減ってしまいます。
稼働率を上げるためにも、物件を選ぶ際は利便性が高いエリアなどを選び、空室リスクを減らしましょう。
リゾートホテルの1室を貸し出すコンドミニアム投資では、とくに気を付けたいポイントです。
相場にあった取得価格の物件を選ぶ
投資ファンドのリートを扱うインヴィンシブル投資法人がネット上で公開している「決算説明資料」では、収益物件一覧・ホテルの取得価格・客室数などの登録情報を見ることができます。
投資希望のエリアを絞ったら、そのエリアにおけるホテルの取得価格の相場を確認しましょう。
相場にあった取得価格のホテル物件を選ぶことが大切です。
客室の質を確保する
ホテルの評判は空室リスクに大きく関わってきます。
利用しやすい間取りの部屋を増やしたり、設備を整えたりすることで部屋の質を保ちましょう。
収益の上がる客室単価を設定する
損益を出さない客室単価を設定するためには、そのホテルの運営販売指標を測る数値を知ることが重要です。
これがRevPARと呼ばれる値であり、客室平均単価に客室稼働率をかけることで算出できます。
収益を上げるためには、客室単価が極端に高すぎるのも低すぎるのもよくないということです。
ホテル投資資金の回収期間は長期になる可能性が高い
大都市エリアの期待利回りが年々低くなっていることから、ホテル投資における事業収益の安定性は望めるものの、ホテル投資資金の回収期間は長期になることが予想されます。
宿泊特化型のビジネスホテルを例に挙げて、シンプルに算出してみますので参考にしてください。
・ホテル物件価格:10億円
・宿泊率:約80%
・収入合計(年間):20億円
・運営諸経費(年間):19.6億円
・純利益(年間):4,000万円
・実質利益率:4%
→利子を含めると、不動産投資ローンの完済までは25年以上かかる見込みです。
まとめ
老後資金を増やすために不動産投資を考えている方には、今であればホテル投資がオススメです。
民泊と違って営業日数に制限がないこと、ホテル投資の種類にもいくつかあることなどを踏まえ、ご自身に合った投資方法をよく検討しましょう。
取得価格が大きい方法の場合は、なるべくリスクを減らす手段を取るようにするのが、ホテル投資のコツです。