アパートの補修工事にかかる費用は戸建てに比べて大きな負担となりますが、国から支給される補助金を利用すれば、費用負担を抑えながら改修を進められます。
ここでは、アパートの補修工事に活用できる補助金について詳しく紹介します。
目次
アパートリフォームに活用できる補助金制度
国土交通省が2017年に施行した「新たな住宅セーフティネット制度」では、同年4月に交付された「改正住宅セーフネット法」を元にして、以下の内容に刷新されました。
- 住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度
- 登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
- 住宅確保要配慮者に対する居住支援
このうち、一般のオーナーがアパートの改修に活用できるのは「登録住宅の改修や入居者への経済的な支援」の部分です。
具体的には、「住宅確保要配慮者」に入居者を限定した場合に限られてしまいますが、登録された住宅に低額所得者が入居する際、地方公共団体と国が補助を行うという内容になっています。
住宅確保要配慮者に該当するのは、外国人・生活困窮者・子育て者・帰国被害者等・国土交通大臣が指定する災害の被災者(2019年現時点で対象となっている災害は東日本大震災のみ)、その他保護観察対象者や犯罪被害者も含まれます。
入居者が制限されるものの、アパート経営を行ううえでこれらの入居者の受け入れ先となれば、補助金制度を活用することが可能です。
「新たな住宅セーフティネット制度」を使用して改修・補修工事を行ったアパートは、ウェブサイトに掲載されて周知されるため、住みやすさに配慮された集合住宅として多くの人に目に留まります。アパートが条件に一致していれば、積極的に制度を活用していきましょう。
現在、補助対象工事に指定されているのは以下の通りです。
- 共同居住用住居への変更
- 間取りの変更
- 耐震改修工事
これらの工事が含まれれば、1戸あたり最大で100万円の補助金が受けられます。
ちなみに、共同居住用住居とは、血縁関係によらない2つ以上の世帯がそれぞれに専用の居室を備えており、さらに共同で利用できる居間や食堂のある住居を指します。
補助対象となる3つの工事
国から補助の対象として認められる工事は以下の通りとなります。
1. バリアフリー改修工事
バリアフリー改修には、最大で1戸あたり50万円(改修工事にかかる費用の3分の1以内まで)が補助されます。具体的には手すりの設置、階段の段差解消や出入り口の拡張工事、集合住宅の場合エレベーターの設置工事も含まれます。
高齢の入居者が多いアパートでは、必要に応じてこれらの改修工事を行うことで、入居者の安全に配慮しつつ補助金の支給も受けられますので、ぜひ検討したいところです。
2. 居住支援協議会等が必要と認める改修工事
上記で紹介した住宅確保要配慮者が安心して住めるように、居住支援協議会が必要と認めている工事を実施した場合に、最大で1戸あたり50万円が支給されるものです。
車いすに対応した設備工事や防火対策・防音や遮音といった基本的な住宅性能に関わる工事も含まれます。
3. 居住のために最低限必要と認められた工事
専門家がアパートを診断し、そのアドバイスに沿って改修などが必要になった場合、工事にかかる費用は1戸につき最大で50万円補助されます。
ただし賃貸物件として貸し出しており、使用しているものについては対象にならないのがデメリット。3ヶ月以上空き家状態が続いているアパートについて対象となります。
省エネ改修工事に支給される補助金
一般社団法人 環境共創イニシアチブが実施する「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」では、「断熱リノベ」「次世代建材」の2種類の工事について一定の要件を満たすことで、国から補助金が支給されます。
交付対象となるのは戸建て・集合住宅の所有者及び所有予定者に限られ、全戸改修の場合、管理組合の代表者が申請を行うことで対象となります。
このうち「断熱リノベ」は、家庭用蓄電システムや蓄熱設備の導入、また高性能健在を使った断熱材・窓・ガラスの改修工事(窓のみでも可)となります。
「次世代建材」は、断熱パネルや潜熱蓄熱建材を使った改修に加え、玄関ドア・窓・ガラス・断熱材・調湿建材の改修を追加することが可能。
補助金額の上限は断熱リノベの場合、補助対象費用の3分の1以内。次世代建材は補助対象費用の2分の1以内(集合住宅は1住戸あたり125万円まで)となります。
リフォームには補助金制度を活用しよう
「新たな住宅セーフティネット制度」は住宅の確保が難しい人のために整備された制度ですが、アパート経営においてこれらの人々に住居を提供する場合は、補助金を有効活用できます。
省エネ改修工事は住宅の性能そのものを高めるという目的があり、改修工事とは別にして考える必要はありますが、こちらもあわせて検討してみてはいかがでしょうか。